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サイバーセキュリティだけじゃない!写真編集アプリで大人気となったイスラエルのユニコーンLightricksに迫る!

SNSや動画配信サービスが流行するまでは、クリエイティブ活動というとプロのアーティストというイメージが強くありました。

しかし、「インスタ映え」という言葉も流行り、InstagramやTikTok、YouTubeなどで誰もがコンテンツを制作しシェアできる時代になり、クリエイティブ活動がより人々の身近なものとして捉えられるようになりました。

Lightricksはそんなクリエイティブな活動に欠かせない写真加工や動画編集ツールをモバイルアプリとして提供しているイスラエルのユニコーン企業です。

より詳しく知りたい方は、こちらの公式サイトをご覧ください!

1.サービス概要|Lightricksとは

Lightricksは、写真・ビデオ編集アプリを開発し、様々な賞を受賞しています。今でも人気のアプリであるFacetuneを発売して以来、様々なコンテンツ制作アプリを次々と開発し、世界中で数百万人の方に利用されています。

https://docs.google.com/document/d/1majm-wubFjnP6TQpQ9F5_4dM4LCXysRLEgbHIyshViQ/edit?usp=sharing

顧客はSNSで友人と写真を共有している方から、デジタルアートの制作に情熱を注いでいるアーティストの方、オンラインでサービスを伝えたいと考えているビジネスマンの方まで幅広く存在します。
Lightricksが開発したコンテンツ制作アプリはFacetune、Facetune2、Facetune video、Filtertune、Seen、Photoleap、Videoleap、Lightleap、Motionleap、Artleap、Beatleap、Boostedが存在します。

Lightricksがこのように複数のコンテンツ制作アプリをスーパーアプリ化しない理由としてはスーパーアプリの管理コスト削減が考えられます。
CNBC社によると、中国や東南アジアと違い、ヨーロッパではGDPRによるユーザーのデータを取り扱いが厳しく、スーパーアプリ化すると多くのデータを保有することになるため、規制にかかるリスクが伴い、よりコストがかかります。

Facetuneは自撮り写真を中心とした写真編集アプリです。
高価で複雑なデスクトップソフトを使わずとも、簡単にファッション誌のような編集が可能です。Facetuneの最も優れた点は、質の高い写真編集アプリでありながら、モバイルのタッチ操作に完全に最適化されていることです。指でスワイプするだけで、他のアプリ(Instagram)とは異なり、1ピクセルも失うことなく、リアルタイムで写真を編集することができます。
https://www.huffpost.com/entry/facetune-is-an-ios-photoe_b_3501920
Facetune2はFacetuneの次世代版でレタッチ機能が新たに追加されています。
わずか数回のタップで、歯を白くすることや、シミを消すこと、肌を滑らかにすること、顔をスリムにすることなど、多くのことが可能になりました。
Facetune videoは動画内の顔を加工することができ、又、ショートビデオも編集できるといったアプリです。
このアプリを利用することで肌をなめらかにし、歯を白くし、唇や眉の輪郭を整えたり、新しい目の色を試したり、口紅を塗ったり、オーバーレイや光の漏れを加えたりと様々な編集を行うことができます。又、ビデオの任意のフレームを編集すると、それが自動的にクリップ全体に適用されます。Filtertuneは、写真の編集に利用するフィルターやスタイルを作成して共有できるアプリです。又、カスタマイズ可能なプリセットフィルターを作成、共有できるだけでなく、収集や交換もすることが可能です。
Seenは、インスタグラム等のストーリを編集、作成できるアプリです。
1,000種類以上のストーリーテンプレート、他のアプリにはないトランジションや豊富なステッカー、Gif、アニメーションテキストなどを利用することができます。
Photoleapは写真編集アプリです。
レイヤー、ブレンドモード、特殊効果、ブラシ、フォント、色調調整、フィルム、モノクロ等、高機能な写真編集機能が備わっています。
Videoleapは動画編集アプリです。
プロのアーティストには強力なハイエンド編集機能を、アマチュアの方にはシンプルで直感的な操作でクリップをカットしたり組み合わせたりして編集できる機能を提供しています。
Lightleapは写真の背景を合成したり、空加工を行うことができるアプリです。
カスタマイズ可能な手作りフィルターのコレクションから選ぶことや自分でオリジナルのスタイルを作ることができ、フィルターやスタイルを一度にすべての写真に適用することも可能です。
Motionleapは数回タップするだけで、写真のあらゆる部分をアニメーション化できるアプリです。
動きの速さを選んだり、流行のオーバーレイを追加したり、AIを搭載したSkyツールでシーンを完全に変えることもできます。
Artleapは写真を楽しく、素早く、簡単に、不思議なデジタルアートやクリエィティブな作品に変えることができるアプリです。ワンタップで数多くのエフェクトやオプション機能で写真をアート作品のように変化させます。
Beatleapはユーザーが選択した音楽とユーザーのビデオクリップを自動的に合うように組み合わせることを可能にするアプリです。
エフェクトやフィルター、オーバーレイが満載のBeatleapは、誰でも数回タップするだけで、プロ品質のリミックスビデオをより速く、より簡単に作成することができます。Boostedではユーザーがソーシャルメディア用の動画やアニメーション・グラフィックで、ビジネスが成立するようにサポートします。Boostedでは、ユーザーの映像やLightricksの映像を使って動画を作成したり、ユーザーの写真を動画に変えたり、アニメーショングラフィックを作成することができます。3分以内で、最高品質のビデオ広告や専門知識を共有するためのヒント、チュートリアル、接続、エンゲージメント、コンバージョンを目的としたあらゆるソーシャルコンテンツを作成することができます。
ビジネスモデルはサブスクリプション形式でユーザーに応じていくつかのプランに分かれており、自由に選択することができます。

誰のどんなペインを解決している

クリエイター経済は、約5,000万人のクリエイターで構成され、そのうち約230万人がフルタイムの仕事として成り立つだけの収入を得ていますが、その収入は均等ではなく、一部、多くの収入を得ている人が存在していますが、彼ら以外はほとんど収入を得ておらず、適正な収入を得ているいわゆる「中間層」が存在していませんでした。そこでマイクロインフルエンサー(中間層)であるクリエイターがよりスムーズにコンテンツを制作・公開できるようなツールやサービス、コネクションを提供し、クリエイターが相応の収入を得られるようなクリエイター経済を構築できるようなサービスを提供しています。
https://www.entrepreneur.com/article/375480

価格感やどんな市場に対してのソリューション

3年前にサブスクリプションモデルに移行して以来、Lightricksの収益は年々3倍に増加しています。同社の7つのアプリは、全世界で1億8,000万回以上ダウンロードされ、約300万人の有料会員を抱え、Best of Google Play、3つのApple’s App of the Year、名誉あるApple Design Awardなどの権威ある賞を受賞しています。2018年11月にLightricksが6,000万ドルの資金調達を行って以来、Lightricksのイスラエル本社のオフィスを拡大するとともに、ロンドンにもオフィスを構えて国際的にも急成長を遂げています。

2.企業概要(2023年7月時点)|Lightricksの情報

3. 創業の経緯・ファウンダーBIO|Lightricksの創業者について

創業の経緯

ある日、SIGGRAPHの締め切りに向けて夜遅くまで作業をしていたYaron(後のCTO)は、Zeev(後のCEO)に”You know, if we invested all this hard work and time into an actual product, we could be millionaires by now.” と言ったことが創業のきっかけとなったそうです。
当時、Instagramのようなビジュアルストーリーテリングプラットフォームが登場したことで、コンテンツの作成と消費の両面で重要な進化を遂げていました。それまで、Adobeのようなコンテンツ制作ツールは、主にデスクトップによって行われ、利用できる人が限られていました。
しかし、モバイルへの移行に伴い、誰もが簡単にリアルタイムでアクセスできる同様のツールが必要になりました。そのため、あらゆるタイプのビジュアルコンテンツ制作者が利用しやすいモバイルツールを開発するというミッションを掲げてLightricks社が創業されました。
https://www.lightricks.com/about
https://www.forbes.com/sites/nealtaparia/2021/04/30/why-this-founder-stuck-with-his-vision-after-striking-unexpected-gold/?sh=bb516c31c27f

ファウンダーBIO

イスラエル人創業者であるZeev Farbmanは1979年9月9日、ウクライナ中南部の都市、ザポリージャで生まれました。幼少期のほとんどをソビエト地域で過ごし、その後、ロシアのヤクーチアでにも住みました。
Zeevが10代前半の時、弟が気管支炎になったため、暖かい地域に引っ越すことになり、医師の勧めでイスラエルに行くことになりました。
2004年にヘブライ大学でコンピュータサイエンスの学部を卒業し、その後、同じ大学の同じ分野の大学院に入学しました。2007年にコンピュータサイエンスの修士号を取得した後、今度はコンピュータサイエンスの博士号取得をしようとしていましたが、2013年に会社の都合で中退することになります。彼がコンピュータサイエンスに興味を持つようになったのは彼の両親はともに機械・電子技術者で、地下の衛星放送局を運営していたことが影響しています。
イスラエルでは、成人は全員兵役に就かなければならないため、Zeevも同様に兵役に就きました。この時、配属先で知り合った友人たちは、後にLightricksを設立する際のパートナーとなります。そして、2013年にLightricks社を創業しました。

4. 過去のラウンド概要

過去のラウンドの概要としては、過去3回のラウンドを経験しており、合計で$205 Mを調達しています。

ラウンド参加のファンドの国籍はイスラエル2社、アメリカ2社となっております。 2019年7月31日には、ゴールドマン・サックス・プライベート・キャピタル・インベスティングが主導し、他にもインサイト・パートナーズやクラルテックなどの投資家が参加したラウンドで、評価額10億ドルのシリーズC資金として1億3500万ドルを調達したことを発表しました。この資金調達により、Lightricks社のこれまでの資金調達総額は2億500万ドルとなりました。

Lightricks社は、数々の賞を受賞した人気の写真・動画編集アプリを開発し、世界中の何百万人もの消費者や企業に利用されています。過去3年間で毎年収益を3倍にし、急速に事業を拡大してきました。この投資は、戦略的買収や世界各地のオフィスの拡大により、より強力で最先端のAIで強化されたコンテンツ制作ツールの開発を加速させるために使用されます。又、イスラエル、英国に加えて、ドイツにもオフィスを開設する予定です。

5. 業界の動向、分析

現在、デジタルコンテンツ作成ツールは、マーケティングや販売戦略に広く利用されているされています。

https://www.prnewswire.com/news-releases/global-digital-content-creation-market-size-is-expected-to-exceed-16-billion-by-2025–with-a-cagr-of-9-1-301314435.html

360 Reserch Reportによると、デジタルコンテンツ作成の世界市場規模は、2020年から2025年まで、9.1%の年平均成長率で成長を遂げ、2015年の119億2千万ドルから2025年には169億ドルに到達すると予想されます。

https://www.360researchreports.com/global-digital-content-creation-market-15115262

特に写真編集ツールの市場規模は、2019年時点で2億9302万ドルと評価され、2019年から2027年にかけて3.57%の年平均成長率で成長し、2027年には3億8783万ドルに達すると予測されています。

業界の動向としては、様々なビジネス分野でデジタル化されたコンテンツに対する需要が増加していることが、世界のデジタルコンテンツ作成ツール市場の成長を促進する主な要因とされています。

動的なグラフィック表示や連続的な画像処理など、コンテンツ作成ソフトウェアが提供するさまざまな機能により、デジタルコンテンツ作成ソフトウェアアプリケーションが世界各地のマーケティング部門を中心に利用されていることも、近い将来に世界市場の成長を促進すると予想される主な要因です。

しかし、マーケティング分野のデジタルコンテンツでは、無料のコンテンツ作成ツールが容易に利用できることが、世界のデジタルコンテンツ作成ツールの市場の成長を抑制する大きな要因になると予想されます。又、一部の国ではデジタルコンテンツ作成ツールを制限する法律の施行が必要になっていることも、タ市場の成長を一定程度妨げる要因になると予想されます。

https://marketresearch.biz/report/digital-content-creation-market/

6.競合との差別化ポイント(2023年7月現在)

Lightricksと画像を中心とした編集ツールにおける競合をまとめた表は以下となります。

上の表から、ほとんど全ての項目において、Adobeが他社を圧倒しており、オフィスのある国数、従業員数、資金調達額、バリュエーションの面でCanvaがAdobeに続く形となっております。

Adobeは1986年に上場を果たし、現在では時価総額が3,172億ドルに到達し、世界のSaaS企業のトップとして存在しています。PostScriptやPDF、Photoshop、Illustrator等を開発したことで知られています。

https://craft.co/adobe

Lightricksはソーシャルメディア、特にFacetune2等の自撮り画像や動画に特化した編集アプリという点で他社と差別化しています。又、本格的な写真、動画編集をデスクトップだけでなく、モバイル上で利用でき、直感的に容易に編集できるといった点が特徴です。

又、Lightricksは従来のコンテンツ作成者とは異なり、コンテンツを市場に出すのに、仲介業者を利用しません。このことは、著作権フリーの音楽等の新しいツールやプラットフォーム、そして、高品質な動画や画像のコンテンツの作成によって成り立っています。

https://www.entrepreneur.com/article/375480

Canvaは様々なタイプのデザインを無料で作成できるプラットフォームを提供しています。Canvaの特徴は高度な画像編集に関する知識が無くても、ドラッグアンドドロップするだけで、写真を編集できる点や、zoom背景から、ポスター、プレゼン資料、チラシ、カード、インフォグラフィック、インスタグラムに投稿するための画像、履歴書、招待状、本のカバー、ニュースレター等、様々なタイプのテンプレートが50,000種類と豊富に存在するという点、トリミングやテクスチャの追加、色調補正等の基本的な機能以外にも、テクスチャのある背景を追加して写真をより立体的にしたり、テキストを挿入してオリジナルのミームを作成したり、フォトグリッドを作成したり、写真をぼかしたりすることができるなど、豊富な編集機能が備わっているという点、グラフィックデザインについて学習したい場合はCanvaが無料のチュートリアル動画を提供しているため、視聴して学習することができるという点です。

https://www.businessinsider.com/what-is-canva

しかし、モバイルアプリのUXがそれほど良くなく、バグが多い点や、カラーピッカーを利用できないという点、写真のレタッチ機能がないといった課題が存在します。

PicMonkeyの特徴としては、豊富なレタッチ機能が備わっている点や、描画機能が備わっている点、カラーピッカーが優れているという点、モバイルアプリの目立ったバグが存在しないという点です。

しかし、PicMonkeyには無料のデスクトップ版がない点やワークスペースがそれほど整理されておらず、利用しにくいといった課題が存在します。

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