超速民一斉謹慎事件について《後編》
実のところ、タイトルである「謹慎事件」についてのお話は前編ですべて回収されている。
この後編は「謹慎事件」の後日譚。
それでも「隙間」を攻め続けた、男たちの物語である。
―――『プロジェクトS』―――
「地上の星」でも流しながらお読みいただけると幸いだ。
※前提として
所謂システムのグレーゾーンを楽しんだ。というお話です。
サービス終了前ということで大目に見てください。
「超速民一斉謹慎事件」翌日
あの時を共有した男達は、再びひとところに集まった。
それは「慌ただしかったけど楽しかったね」
などと、余韻を噛みしめるためでは無かった。
有志数名が集ったところで、此度のシステム的隙間を発見した
怖いほどに優秀な検証班Sがこう、発言した。
「まだ、楽しめる隙間がある」
直前に謹慎を明けたばかりの面々である。
あの行いには、Twitter(現X)や5ch掲示板などでの批判や中傷の声も少なくなかった。
しかし、男達の表情に迷いは無かった。
「祭り」の続きがある。
その目には渇望に似た野心があった。
満足そうに頷くとSるんはルールを提唱した。
『周遊』
そう銘打たれた祭り(プロジェクト)が再び始まった。
―――『プロジェクトS』―――
この遊びは以下の条件下で行われた。
・同一チームでのポイント付与は一日一回
ただしチーム移動すればその移動先チームで再度ポイントを獲得できる
・チーム対抗戦コースを走れば80pt貰える
こちらも移動先毎にptが獲得できる
・チームポイント累積報酬は到達時にその場にいた場合に貰える
そして
・超速GPには1~2名の少数チームが無数に存在していること
そう、「隙間」とは
チームポイント獲得は1日1回という縛りが
同一チームだけにしか適用されていない事だった。
これらを踏まえて参加メンバーは次のように行動した。
1.チームポイントが貯まっていない小規模オープンチームにいく
2.チームポイント累積報酬を1~2段目まで貰う(ゴルチケ100枚シルコ10000程度)
3.報酬獲得後は速やかに次のチームに向かう
提唱者Sを中心とし
参加者たちはかつて見せたことの無いほどの統率力を発揮した。
やってる事は畑に飛来するイナゴそのものだけど
まぁ畑主にも報酬を与えてるわけだしイナゴより有益だな、うん。
知らんけど。
―――『プロジェクトS』―――
かくして毎晩行われた『周遊』はチームの垣根を越えて大いに盛り上がった。
決して褒められた方法では無いと自覚した上で、限られたメンバーだけに周知された地下的な盛り上がりではあったけれど。
『周遊』中に入ったチームに自分たち以外の他のチームのメンバーを見かけた時は「やってんなぁ、お互い!」と得も知れぬ連帯感を覚えたものだ。
謹慎騒ぎにまで発展したあの時のバカみたいな報酬は得られなかったけれど
一つの目標に向けて皆でバカ騒ぎできたのは、今思えば超速をやっていて屈指の思い出だったように思う。
その後のアップデートによりチームポイントは個人で1日1回付与に固定され
前述した方法が不可能になった。
楽しかった『周遊』もやはり長くは続かなかった。
―――『プロジェクトS』―――
残念だなと少し思いつつも
しかし、これで良かったと考える。
『周遊』はあくまで「隙間」で遊んでいただけの泡沫の夢。
手元に残る目に見えた実利はそこまで多くはなかったけれど
「楽しかった」という目に見えぬ大きな思い出は、確かに残る出来事だった。
―――『プロジェクトS』―――
以上で「超速民一斉謹慎事件」関連の報告を終える。
あの時、こんなやり方はけしからんと憤った方も多くいた事は理解している。
しかしながらこのnoteは懺悔などでは決してなく
「あー楽しかった」
と、振り返るために書いた。
あなたには超速グランプリをやっていて楽しかった事はありましたか?
サービス終了を前に、今一度あなたの超速グランプリを振り返り
楽しかった思い出を掘り返してみるのも一興かと考える。
了。