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Vol.4 国境を超えて『コト』を起こす、釣具屋の店主
五輪堂 小島慶太さん。(以下、慶太さん)
宮津市の釣具屋さん「五輪堂」の店主。
国際交流イベントの発起人。
外国人向けの日本語教室の先生。
海洋高校の非常勤講師。
他にも多様な顔を持ち、
宮津中、いや日本中、いや世界中に多くの友人がいる慶太さん。
____多くの人に慕われる慶太さんの素顔とは。
____様々な経験を経てきた中で、今宮津に思うこととは。
慶太さんの『出発』を読み解きます。
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学生時代
「どうせ出るなら、日本の首都・東京に行ってみたい!」
高校卒業後、進学のため東京へ。
当時は宮津を出てみたいという気持ちが強かったそう。
学生時代は、あるきっかけから障がい者ケアのボランティア活動に従事することに。
「同じ大学に、ちょっとだけ脚が不自由な友人がいて。彼に誘われて、障がいを持つ方々が集まるクリスマス会に行きました。」
「そこで色んな人に出会って。僕の中では、新鮮で全く違う世界だった。自分がその人たちのためにやってあげますよという感覚はなく、むしろ色んなことを経験させてもらってる気持ちが強くて、楽かったのです。」
その後も、ボランティア活動を通じて、様々な人と出会い、視野が一気に広がったそう。人にも恵まれ、何十年経った今でも繋がりがあるといいます。
さらに、ボランティア活動とは別で、学生時代に従事した取り組みの1つが『日本語』の学び。
「自分の中でなにか、外国人向けに日本語を教えたい、というのがありました。大学とは別で、夜は日本語を勉強しに行っていました。」
そうした様々な経験を経て、大学卒業後は2年間東京で働くも、
家業が忙しくなり、手伝うために宮津に戻ることを決意しました。
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取り組みの始まり
五輪堂さんは、宮津の釣り具・釣りエサ店です。
慶太さんは家業を継ぎ、お店を運営しながら、
海洋高校の非常勤講師としてダイビングの実習や、夏は観光客向けに素潜り体験をするなど、自らの潜水経験を活かした活動をされています。
(世界各国の海を潜り、ダイビング数でいうと国内外合わせて600本を超えるという、、!!!)
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さらに別軸の活動として、国境を越えた交流イベントの開催や外国人向けの日本語教室の実施など、グローバルな取り組みの一面も。
今回は、そんな慶太さんの国際的な取り組みを中心に、お話をお伺いしました。
___国際的な活動を始めるに至った、最初のきっかけは何だったのでしょうか?
「結婚してすぐ、生まれて初めての海外旅行で、かみさんとニュージーランドに行きました。かみさんは英語が分かるのに、自分は全く分からなかったのがなんか悔しくて(笑)すごいショックだったんです。」
そんなちょっぴり悔しい出来事があったすぐ後、宮津でAET制度(英語指導助手制度)が取り入れられ、海外の方が宮津に来るようになりました。
「これがチャンスだ!!この人たちと友達になったら、聞き取りできるんちゃうかなと思うて。」
最初にAETとして宮津に来たのは、カナダ人のご家族。
さっそく慶太さんは、彼らの自宅を直接訪問しました。
「うちも子どもいるし、困ったことがあればいつでも。もし良かったら飯食ったりしようやって。」
そんな突然の始まりから、子どもの面倒をみたり、送り迎えをしたり。
コミュニケーションを積極的にとるうちに、いつの間にか英語が話せるようになったそう。
「彼らとは家族ぐるみで仲良くなって。カナダ人のご家族が帰る頃には、何かあったら慶太に尋ねるようにって周りに言ってくれたみたいで。その繋がりで歴代のAETはずっと仲良くしてます。」
そんな小さな始まりから、人が人を繋ぎ、いつの間にかAETを始め、宮津に住む海外の方との繋がりが増えるように。
そしてその繋がりは、今でも続いているという。
「月1回程度LINEグループで、様々なメンバーと交流会があります。例えば東京のタクシードライバー兼歌手の方がライブをしたり、ニュージーランドからコーヒーの豆知識スピーチがあったりと。緩く気楽な交流会です。また東京では異業種交流会を毎年冬にしています。どちらも誰でも参加OKです!」
慶太さんのエネルギー溢れる活力と優しいお人柄があって、そこに人が集まり、繋がり、輪が広がっているように感じました。
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姉妹都市ネルソン・ワーキングホリデー
突然ですが皆さん、宮津市の姉妹都市の1つ、ニュージーランドのネルソン市をご存知でしょうか。
(お恥ずかしながら、私は今回初めて宮津の姉妹都市について知りました(焦))
その始まりは、当時衆議院議長の前尾繁三郎先生を団長とする国会議員親善訪問団がニュージーランドを公式訪問。ネルソン市に、天橋立に似た『砂嘴(さし)』があることや風土・産業等が似通っていることから姉妹都市縁組みが進展したそう。
慶太さんは、姉妹都市・ネルソンと宮津の交流促進に向けた活動に従事しています。
「今から30年程前くらいかな。個人的にネルソンへワーホリを探しに行きました。それで現地の新聞に大々的に掲載してもらうことになって。そしたら、1人の募集に対し、40名ほどの募集がありました。そん時はどうしようと思って(笑)」
1人の人探しからまさかの40人の希望者が。
急遽、観光協会にお願いをして働き口を用意し、面接をネルソンで行い、20名ほどのニュージーランドの若者が宮津に滞在し、期間限定で働くことになりました。
「全くの初めての経験で、大変なことも多かったです(笑)受け入れていただいた事業者が皆、英語が話せる訳ではなかったから、すれ違いが多くて。両者側から連絡が来て、ケアしに東奔西走の日々でした(笑)今思えばいい経験でしたよ。」
言葉の壁や文化の違いがある中、多くのニュージーランドの若者と地域の人を巻き込んだ取り組み。両者間の架け橋となり奮闘しながらも、ご自身にも、あるすれ違いエピソードが。
「自分のところでも1人、女の子を受け入れてました。本当に家族みたいな感覚で。でもニュージーランドの子たちは18歳を過ぎると、『自立する』という気持ちが強いんです。で、私に一言も言わずに夜遅くまで帰ってこないことがあって。お預かりしている大事な娘さん、だからこそ強く叱ってしまって、、そこから一言も口を聞いてもらえなくなってしまいました。あん時は本当辛かったですね(笑)」
「最後に号泣しながら仲直りしたのは忘れられないですね。何年か後には彼女のニュージーランドの実家に泊まり、お父さんにその事を謝って胸の中のわだかまりが取れました。」
慶太さんの真摯に人と向き合い、関わる姿勢が、人と繋がって終わるだけではない、濃く深い関係を作っているようです。
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丹後の食材をネルソンへ
2018年、丹後の食材を和食を通じて伝えるイベントをネルソンにて開催。
和食料理を提供し、美味しい食事を楽しみながら、丹後の特産品をプレゼンしました。
このイベントは、とある人との偶然の出会いから始まったと言います。
「たまたま入ったお店がすごく美味しくて。岡本祐樹さんというシェフで、話を聞くと、彼は海外で公邸料理人をしていたとかで、フランスに料理修行に行っていたり、イタリアで料理教室開いてたり、海外経験が豊富ですごいなあと。」
岡本祐樹さんのお店▼
「で、話は飛ぶんだけど(笑)僕がクリスマスに毎年開催してるベリーダンスディナーショーに彼を呼んで料理作ってもらうとか無茶振りしてね。それで彼とも仲良くなって。」
「それで丹後食材をネルソンに伝えるイベントをやりたいと思って。そのやり方も、ただ特産品を持って並べて買ってください、というのではなくて、美味しい食事を提供して、その中にこんな丹後の特産品があるんですよ、って伝えたかった。それは岡本シェフなら絶対できる!と思った。彼がいたからこそ、やろうと思えた。」
1人のシェフとの出会いから、大きなイベント開催にまで発展。
当日はラグビーのワールドカップ会場にもなったクラブハウス貸切で開催し、多くの人で賑わったそう。
「調達も仕込みも日本と勝手が違って色々大変だったけど。彼のおかげで無事できました。」
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夢の『日本語教室』
2020年9月、Japaneseサポートコミュニティーを任意団体として立ち上げ、宮津を中心に京都北部在住の外国人向けに、日本語教室を実施。
学生時代に抱いた『日本語を教えたい』という想いが実現します。
「自分の長年の夢?というか、あの時の学びが活かせる時がくるとは。何十年越しにやりたかったことのチャンスが巡ってきたなと。」
生徒さんは主にグンゼの工場で技能実習生として働くベトナム人が多いとのこと。
「日本語を教える機関は地方であっても必要です。日本語を学べば、母国に帰っても役に立ちますから。」
この日本語教室では、語学を学びながら、慶太さんの温かい雰囲気の中で生徒同士の繋がり、地域の人との繋がりを育んでいます。
先日、クロスワークセンターにて開催していただきました↓
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人は、人で動く
今回ご紹介した取り組みは、ほんの一部。
他にも、マオリの方々を宮津に招いたイベントや、日本ベトナム交流会など様々なエピソードがたくさんありました。そんな多くの『コト』を起こしてきた、慶太さんの考えや想いを覗いていきます。
____海外にはどれくらい行ったことがありますか?
「ニュージーランド17~18回、オーストラリア、フィリピン、イギリス、ベトナム、マレーシア、タイ、スペイン、ポルトガル、モルディブ、インドなどなど、、観光というよりかは、半分は友達に会いに行っています。」
「友達に会いに行って、行った先でまた必ず友達を作って。そうやってできた友達がまた自分に会いにこっち(宮津)に来てみたい、住みたいってなる。」
「そうやって人は、人で動くんじゃないかな。人と出会うと、何が起きるのか分からないから面白い。」
慶太さんは、これまでの活動も『人』をきっかけとし、『人』との繋がりを作り、コトを起こしてきました。
「また繋がって、自分で会いに行って、今度はこっちに呼んで、、、が自分の得意分野かもしれないですね(笑)」
慶太さんの、これまでの学生時代のボランティアの出会いから、様々な取り組みに至るまで、人との繋がりを作るだけではなく、『繋がり続けている』ということがとても印象的でした。
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慶太さんから見る宮津市の今 そして新たな出発とは
慶太さんは、自らの活動の実体験として感じた『人』との繋がりの大切さが、移住や観光の取り組みを考える際にも大事なポイントなのではと話します。
____今の宮津市はどんな風に見えていますか。
「宮津の1番の魅力はやっぱり『人』です。店に入れば、地元の人から面白い話がたくさん聞けます。」
「ただ地元の人は、どうしても気づいていないというか、ここに住んでいる人はこの風景が当たり前と思ってる。でも外からの人にとっては、すごい感動的なことだったりする。こういう外からの目線は大事にしたいですね。」
____今後、宮津がこうなってほしいと思うことはありますか?
「やっぱり、自然に接することをアテンダントできるような、宮津にはポテンシャルがあると思う。あんなに素潜りで感動してくれるとは。。で、僕は人に会いに海外にいく。だから宮津も『人』の力があるからこそ、人を絡めてアテンダントしたらいい。宮津人と移住者・観光客の繋がる輪が大きくなればなるほど、その良さもより強く伝わると思う。」
今後ご自身でも、『人』を繋ぐことをキーワードにまだまだやりたいことはあるそう。
「まあ大変なこともたくさんあるけど、とにかく自分が楽しいからやってるんです。みんな何でもやってみなきゃ分からんやん。って思ってますね。とりあえずトライしてみて。」
慶太さんのエネルギー溢れる言葉に、何だか自然と鼓舞されますね。
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最後に、次回指名者をお願いします!!
「次は、星野和彦さんでお願いします!彼は元々商社マンで、人脈を活かしながら宮津出身で都心で現在も活躍する人をうまく繋いで、宮津のために色々動いてる人。話を聞いたら面白いと思いますよ。」
ということで、次回は星野和彦さんにお話をお伺いします!
【番外編】〜10月の海、潜りました〜
写真撮影をしたのは慶太さんが子供時代によく潜っていたという海。
とても素敵で、思わず別日に海を全身で体験しにいきました。
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さすがに10月の寒さ。
そしてかなりの荒波で、慶太さん曰く相当ハードな日だそう。。
初心者、いざ参ります、、
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キラキラと光る魚の大群や、綺麗な青い魚、大きなタコも発見。
最初の不安は消え、海中を優雅に?楽しみました。
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荒波のハードコンディションの中でしたが、慶太さんのアテンドのおかげで、
安心して、思いっきり楽しむことができました!
多くの方から慕われる慶太さんのお人柄が、より深く伝わってきました。
本当に素敵な体験をありがとうございました。