ぺろりんというアイドルとの出会い
私は世間様からアイドルオタクと分類される生活を送っている。毎週末のようにアイドルのライブに行きアイドルとチェキを撮って帰ってくるやつだ。
今では当たり前のようにそういう風に生きている私だが、別に生まれた瞬間からそうだったわけではないし、まして産声がディアステmixだったわけではない。今に至るまでに転換点がいくつか存在し、その中でも大きな影響をもたらしたものの1つが初めてチェキを撮ったアイドル、ぺろりんこと鹿目凛さんとの出会いだ。
正確にぺろりんという存在を認識したタイミングは正直覚えていない。2015年あたりから東京のワンマンだけ予定が空いててチケットがとれたら見に行くゆるいでんぱ組のファンだった私は、おそらくでんぱ組関連で流れてきたぺろりんのイラストのツイートを見て2016年だったか17年だったかにぺろりんのTwitterをフォローしたと思われる。ヲタクのイラストを描くおもしろいアイドルがいるくらいの認識だったと思う。ここから2018年くらいまで本当に記憶が曖昧なので間違いがあっても有識者の方はどうかご容赦いただけるとありがたい。
この時点でも一応オタクではあったのだが、BABYMETALのオタクをやっていたのでぺろりんがイラストにする特典会やリリイベや小さな会場のライブでのヲタクとアイドルのあるあるを描いたイラストは「こんな世界もあるのか」と、とても興味深いものだった。
話は少し脱線するが私はかなりのあるある好きで、あるあるというのは自分が当事者である必要はあまりなくて知らない世界のあるあるであっても面白いと思う。私はコアリクイの飼育員あるあるとかを言われてもそれが芯を食っていれば笑う自信がある。
話を戻して、この当時そのくらい遠い距離感でぺろりんの存在は認識していたのだがライブを見に行こうとはならなかった。Twitterで見た程度の距離感だったし、なによりこの頃はBABYMETALのオタクとしての充足感が半端ではなく他のことにリソースを割く気がなかった(今の感覚だとたいした頻度で日本でライブがあるわけじゃないんだから行けただろと思うが、当時と今では全然感覚が違う)
なのでこのときベボガの音源すら聴くことはなかった、このとき音源を聴くくらいすればよかったのになと今は思っている。
そんなわけで私はTwitterで無銭でイラストだけ見てる特にぺろりんのファンとも言えない存在であった。
そんな中ぺろりんがでんぱ組に加入した。私が東京のワンマンだけいくゆるいファンをやっているあのでんぱ組.incに。
薄いファンながら最上もがさんが辞めてどうなるもんかなと思っていたでんぱ組にうっすら知っているアイドルが加入したというのはうっすらとだが驚いたことを覚えている。(これがせんべいならパリパリとした食感が楽しめそうな薄い文章だ)
東京のワンマンだけいくゆるいファンだった私は当然年末の大阪での加入発表に行っていたわけもなく、初めてぺろりんがいるでんぱ組を見たのはその後のツアーのTDCホールだったと思う。
会場のTDCホールについて当時特に“推し”という概念すら持っていなかった私は、新加入したぺろりんをじっくり見ることにした。本当になんとなく、Twitterで見たことあるアイドルがどんな人なのか気になったのだろう。
当時のぺろりんは歌もダンスも発展途上といった感じでダンスはなんかちょっと他のメンバーと違う気がするし、歌に関してはこの日の印象はほぼ記憶に残っていない (歌割りがとても少なかった?)
そしてMC中、他のメンバーが喋っているときにしゃがみ込んでヲタクに手を振っていた。
「な、なんて変わった人なんだ…!」
これが偽らざるぺろりんの第一印象。
申し訳ないがパフォーマンス面で何かが感動的によかったということはなかったし、その姿が後に磨けば光ることを予見させたなどというかっこいいこともない。
でもなぜか「変わった人」という1点が気になってしまい、それまで特定の色に決めて点灯することはなかったペンライトをこの日からたまご色に点灯することになる。
後に発売される彼女の著作「よもぎちゃん」の裏表紙に書いてある「歌もダンスも、トークだってお世辞にも上手とは言えない…でもなぜか……そんなキミから目が離せない!」という文言、ぺろりんとの出会いはまさしくそんな感じだった。
なんだか運命の出会いをしたかのように大仰に書いてしまったが、このあともでんぱ組のライブに行く頻度が大きく上がるわけでもなく以前と変わらずBABYMETALのオタクをしていた。変わったのはたまに行くライブでつけるペンライトの色がたまご色に固定されたこととぺろりんってかわいいなと思うようになったことだった。
そこから月日は流れ2019年、ぺろりんはSOLIちゃんがお休みになったmemetokyo.のサポートメンバーをやることになる。
本当にもうなぜだか分からないが、突如「このぺろりんのサポートを見ておきたい!」と思い立った私はメランコリックサーカスのリリースイベントを見に行くことにした。
調べてみるとそのイベントではツーショットチェキが撮れることがわかった。当時の私からすれば「あのぺろりんのイラストに出てくるアイドルと並んで写真を撮れるやつか!?」といった感じだった、とうとうあの知らないあるあるの世界に飛び込めるチャンスが来たのだ。
それまでの私の中でのアイドルは「ステージの上の人」で隣に並んで写真を撮ったり、まして会話をするような相手ではなかった。
「あくまでステージの上の人だから並んで写真を撮るなんておこがましい!」という崇高な思いと「かわいいぺろりんとチェキ撮れて話せるなんて最高じゃん!」という俗な思いが0.2秒くらい戦ったが後者が圧勝した。高校野球の県予選1回戦で私立の強豪校に当たった部員9人の県立高校みたいだった。私は悲しいくらい全く崇高な人間ではなかった。
そんなこんなで人生初のアイドルとのチェキを撮ったのだが、その時の内容は全く覚えていない。おそらく緊張してまともにしゃべれていなかったと思う。今でこそぺろりんの言ったことにある程度きちんと返すことができるようになったが、当時はまだステージの上の人で畏敬の念がある相手だったのだと思う。(今でもステージの上の人という認識と尊敬する気持ちは変わっていない)
それからmemetokyo.のPEROをなるべく見ようと思った私だが、軸足が他所にあることや今ほど情報を集める姿勢がなかったことやコロナ禍に突入したこともあり、結局PEROとは2回チェキを撮っただけだった。今の自分の基準で考えたらほぼ撮ってないと言っていい。しかしこの2枚がなければPEROサポート終了後もmemetokyo.を見に行ったり、アイドルの対バンライブに足を運ぶようになることもなかったと思う。今楽しくヲタクできているのは誇張抜きでぺろりんのおかげなのだ。
これを書いている今、ぺろりんはアイドルとして最後の生誕を終え、でんぱ組のエンディングツアーを始めようとしている。
映画でもアニメでもなんでも人の成長を見ることは最高のエンターテイメントだと思っているのだが、確実にぺろりんは初めて見たあの日からとんでもない成長を見せてくれている。最高のエンターテイナーだ。
ぺろりんを初めて見たあの日から色々なものが変わっていった。
でも、ぺろりんは変わらずいい意味で変わったキャラクターをしていて、いつまでも興味深い存在でいてくれている。
歌もダンスもトークだって上手くなったけど「そんなキミから目が離せない!」というところだけは出会ったあの日から変わっていないのだ。
つまり、みんなもよもぎちゃんを読もう!!