安全管理と事故対応 P276

A 安全管理の目的

・安全管理:医療に限らずあらゆる分野における最重要の問題の一つ

・「医療安全管理」と「リスクマネジメント」は同義語と定義
■また,リスクマネジメントは,セーフティマネジメントともいう

B リスクマネジメント

・リスクマネジメント:安全管理を具体的に実践する手法
■医療現場
事故等を発生させない予防対策
事故が発生した場合の緊急時対応と再発防止

・リスクマネジメントはPDCAサイクルの繰り返し
■Plan:計画を立てる,Do:実行する,Check:評価する,Action:是正・改善
・手順
■情報収集・分析:現場において発生する種々のエラーについての情報収集,分析を行うこと
■対策立案:分析結果に基づいて改善のための対策を立てること
■フィードバック:立案した対策を救急隊員に伝達・周知し実施すること
■評価:実施後に評価を行い,評価に基づいた改善・再発防止につなげること

・事例研究やSHELモデル(表Ⅲ-1-28)による分析がされている

SHEL モデル

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

C ヒューマンエラーとシステムエラー
1 ヒューマンエラー
・人はエラーを犯すものであるとの認識が必要

・ヒューマンエラーを完全になくすことは不可能

・重大なエラーをいかに過小なものに変えていくかが安全を確保していくうえで重要

・救急現場:エラーが発生しやすい環境にあるため、検証と改善が求められる

2 システムエラー

・システムエラー:コンピュータに搭載されたソフトウェアが正常に動作できない状態に陥ること

・救急活動
■通信機材の不具合
■資機材の故障など
・防止,対策:始業点検や活動後の点検を欠かさず行うことが重要

・常にバックアップできる体制を構築しておくことも必要

D インシデントとアクシデントへの対応
1 インシデントとアクシデント

・インシデント,アクシデントの影響度による分類

インシデント,アクシデントの影響度による分類

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

過去問でもよく出題されているよ

・ヒヤリハット
■結果として事故に至らなかった
■インシデントは同義語

・救急活動中の事故やヒヤリハット:消防庁ヒヤリハットデータベースに集約されている

2 ハインリッヒの法則
・ハインリッヒの法則:1件の重大な障害がある事故の裏には,29件の軽い障害がある事故,そして300件の障害のない事故(ヒヤリハット)があると報告

・重大事故の防止のためには:事故の発生以前のヒヤリハットの段階でよく分析し対処していくことが必要

E 救急活動で生じた事故への対応
1 傷病者の事故と対応

・救急活動で生じた事故:救急隊員はすぐに上司に報告し,報告を受けた上司は,消防本部の関連部署に報告し,必要な対応を講じる

・プロトコール上の問題や医療に関連する事故:地域メディカルコントロール協議会が適切な対応策を指導・助言することも必要

・救急活動で,頻度の高い事故や注意を払うべき事項は次のようなもの

①転倒・転落

・傷病者を搬送する際:常に転倒・転落事故の危険性がある

・高齢者:転倒・転落により骨折を起こす危険性が高い

・転倒時の重大な合併症:頭部打撲により脳挫傷,急性硬膜下血腫など

・傷病者自身の転倒・転落の危険性を高める予測因子
■とくに重要なところは
性別:高齢者では女性のほうが危険性が高い
認知機能:見当識障害,意識障害,混乱,認知症,判断力・理解 力低下,不穏行動,記憶力・記銘力の低下

・もっとも危険度の高い因子:認知能力の異常

・転落:ベッドからストレッチャーなどに移動させる場合に起こりやすい事故

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