吐血・下血 P534

A 定義・概念
1 吐血
・消化管からの出血を嘔吐すること
2 下血
・下血:下血は消化管からの出血が肛門から排泄されたもの

・血便:直腸や肛門からの鮮血が便に付着または混入したもの

・吐下血:吐血と下血の両方がみられるもの

3 出血部位

①上部消化管出血

・トライツ靭帯よりも口側の消化管からの出血
・消化管出血の大部分を占める


出典:胃・十二指腸の構造と働き‐見て!わかる!解剖生理【花子のまとめノート】

②下部消化管出血

・トライツ靭帯よりも肛門側の消化管からの出血
・消化管出血の約20%

③出血部位と吐血・下血との関係

・上部消化管出血のすべてが吐血をきたすとは限らない
・下部消化管出血では吐血を生じない
・下血は上部・下部を問わず,ある程度以上の量の消化管出血があれば早晩必ずみられる
B 原因疾患
1 吐血

吐血の原因疾患

出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト

・頻度が高い
■消化性潰瘍,■食道静脈瘤破裂,■胃癌,■急性胃粘膜病変,■マロリー・ワイス症候群

2 下血

下血の原因疾患

出典:へるす出版 改訂第10版 救急救命士標準テキスト

・もっとも多いのは上部消化管出血

・下部消化管出血
■大腸憩室症,■虚血性大腸炎,■感染性大腸炎(腸管出血性大腸菌感染症など),■出血性直腸潰瘍,■痔疾(内痔核)
・小児の大量下血:メッケル憩室からのものが多い
・出血性大腸炎:感染性大腸炎や薬剤の副作用の結果、下血を生じたものをいう
C 病態
1 吐血の性状

ここから先は

1,616字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?