縊頸・絞縊 P778

A 縊頸・絞縊とは

・縊頸(縊首),および絞頸(絞首)
■頸部が締めつけられたことによって致死的になった状態
■両者では発生機序と病態が異なる

1 縊頸

・いわゆる首つり

・自殺の手段として選ばれることが多い

・自殺の手段としての「首つり(縊死)」は自殺全体の約69%でもっとも多く

定型的縊頸

・左右対称に側頸部では後上方に上がって耳介後方を通り,身体が完全に宙に浮いて全体重が索状物にかかっている場合

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

定型的縊頸における索状痕
・索状痕が前頸部を最下部として左右側頸部を後上方向に斜走する

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

・頸部の動静脈および椎骨動脈の血流が完全に遮断された場合:顔面のうっ血や眼瞼結膜の溢血斑を生じることなく短時間で死に至る

・頸動脈洞や迷走神経などの頸部神経が刺激された場合:うっ血や溢血斑は起こらず,高度徐脈と著しい血圧低下によって急速に死亡する

非定型的縊

・定型的縊頸以外のすべての場合

出典:へるす出版 救急救命士標準テキスト 改訂第10版
https://www.herusu-shuppan.co.jp/997-2/

・頸部の静脈還流だけが阻害されて動脈血流が保たれる場合:うっ血や溢血斑を生じやすい

縊死の発生機序

①気道閉塞(窒息)
②頸部血管の血流途絶
③頸部神経(頸動脈洞や迷走神経など)の圧迫
④頸椎骨折・脱臼による頸髄損傷などが関与
・絞首刑や長い索状物による縊頸
■頸椎の強い過伸展によって上部頸椎の骨折と後方脱臼を生じることがある
■脱臼は第2・3頸椎,または第3・4頸椎に生じることが多い。しかし,縊死全体における頸椎骨折の発生率は低い
2 絞頸

・絞頸(絞首):体重以外の力によって頸部が全周性に締めつけられて生じる

・絞死
■絞頸で死亡すること
■他損(他殺)による絞殺が多い
■発的事故や自殺企図でもみられる

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