アメリカ人、救ってきた
今日僕がアメリカ人を救ってきたことについて書く。
ホームセンターで僕は雑貨エリアを担当している。
品出しや格納がメインの仕事だ。
アルバイトの話である。
ホームセンターは広い。
雑貨だけでなくペット、資材、ガーデニング、レジャー、家具など様々な商品を取り扱う。
今日はたまたま資材エリアに出向いて雑貨商品の品出しに行ってきたのだが久方ぶりにそこでアメリカ人を救ってきた。
資材エリアのレジ前に大きな黒い影を捉えた。
上下とも迷彩柄のものを着ていたから恐らく近場の米軍基地で働く人黒人だと思う。
このホームセンターはマンションが数多く点在する町中に位置しており、なおかつ米軍基地も目と鼻の先である。
だから外国人のお客さんもよく来店する。
商品の品出しを済ませ資材レジの前を横切り持ち場の雑貨エリアに戻ろうとしたが僕はそこで止まらざるを得なかった。
レジ内には店員が4人いて、1人は黒人相手に頭をかかえ残りの3人は自信なさげに後方へ密集していた。
そしてレジ前の迷彩柄の黒人は1人スマホを片手に困惑している状況。
英語が通じず客も店員もどうしていいか分からないというのは誰が見ても一目でわかる。
(これは収拾がつかなそうだな。)
そう心で呟き迷彩柄の黒人に向かって僕は声をかけた。
「Can I help you?」
「yeah, I need this water tank」
そういってポリタンクの画像が表示されたスマホの画面を彼は僕に見せてきた。
「Oh! It's in the opposite side. Follow me, I'll take you there.」
自分とはまったく面識のない4人の店員の前で問題を颯爽と解決した優越感に浸りながら僕は頭の中で決め台詞を吐いた。
(mission complete.)
ポリタンクまでの道中その黒人にこんなことを言われた。
「You are my Hero today! Haha!」
素直に嬉しかった。
あたふたした日本人の前で英語を流暢に話すことよりも、まっすぐな感謝の言葉を受けたこと、困っている人を助けることができたことが何よりもうれしい。
これだから接客業はやめられない。
特にホームセンターは商品の場所を探すのに手間がかかるので店員がお客さんをサポートする機会は多い。
接客業は好きだ。
だが本業となると話は別。
長時間真心をもってお客さまに仕えるのは正直疲れるし、そういう自分の姿を客観視すると反吐が出そうだ。
らしくない。
僕に接客業は向いていない。
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