仕事とプライベートの調和 「ブレジャー」という働き方
バランスからの脱皮 目指すはハーモニー
仕事とプライベートのバランスを取ることを意味する「ワーク・ライフ・バランス」。広く使われる言葉ですが、最近では、「ワーク・ライフ・ハーモニー」と言われることも増えました。バランスを取るのではなく、どちらも充実させて、上手く調和(ハーモニー)をとる。2016年、当時Amazon CEOジェフ・ベゾス氏が発言した言葉です。
先日、『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(越川慎司 (著))を読みながら、仕事とプライベートを調和させることについて考えていました。観光業界で働く私の頭に浮かんだのは、「ブレジャー(Bleisure)」でした。
コンベンション業界では当たり前 「ブレジャー」という働き方
「ブレジャー」とは、「ビジネス(Business)」と「レジャー(Leisure)」を組み合わせた造語で、観光庁が推進する新しい働き方の一つ。出張先での仕事が終わった後、すぐに帰るのではなく、現地での滞在を延長し、観光や余暇を楽しむことです。
新しい働き方と言われていますが、会議や集会、博覧会、展示会などを扱うコンベンション業界では、実は昔から広く実践されています。コンベンション終了後の「ブレジャー」は、「アフターコンベンション」と呼ばれます。特定の言葉があるほど、業界内では定着しているスタイルなのです。
「ブレジャー」の求心力 侮れない影響
コンベンション業界において、「ブレジャー」の持つ力は侮れません。様々な地域から集まるコンベンション参加者にとって、「ブレジャー」の求心力は、想像以上に大きいのです。
また、開催都市が「ブレジャー」として魅力的かどうかが、会議参加者数に影響するという調査結果もあります。そのため、コンベンションを誘致する時には、開催都市の「ブレジャー」の魅力が言及されることも多いのです。
遠くから移動し、コンベンションに仕事で参加する。その後、その地域で観光や余暇のプライベートを楽しむ。仕事とプライベートを分けて、バランスを取るという考えから脱皮し、調和を目指したことで、1度の移動で仕事とプライベートを満たすことができるのです。私たちが、様々な場面で「ワーク・ライフ・ハーモニー」を目指す上で、参考になる例ではないでしょうか。
<参考>
観光庁「新たな旅のスタイル ワ―ケーション&ブレジャー」