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移転価格税制とは何なのか?

こんにちは!

最近、日産自動車の成績不振のニュースなど、国際取引やグローバル企業の話題がニュースで取り上げられることが多いですよね。

国際税務では、「移転価格税制」という論点が出てきます。
なんだか難しそうな名前ですが、そんな移転価格税制の基本を簡単に説明したいと思います。


ケース:寿司屋兄弟の場合


日本に住むお兄さんは、寿司屋「すしタロウ」を経営しています。
一方、アメリカに住むさんは「Sushi Bros」という寿司屋をオープンしました。
お兄さんの寿司屋は最高品質の寿司ネタを取り扱っていて、弟さんも「うちの店でもそのネタを使いたい!」とお願いしました。

こうして、兄弟の間で寿司ネタの売買が始まりました。

でもここで問題があります。
お兄さんは弟さんに、寿司ネタをいくらで売るべきなのでしょうか?

「家族なんだから安くしてあげたい」と思うお兄さん。
例えば、1kgのマグロを市場価格の1万円ではなく、5,000円で売ることにしたらどうなるでしょう?


兄弟で得して国が損?🤔

弟さんが半額の5000円で仕入れると、「Sushi Bros」は大儲けします。
逆に「すしタロウ」はその分の利益が減ります

この利益はそれぞれの国の税金に影響します。
弟さんの会社がアメリカでたくさん利益を出せば、アメリカ政府がその利益に対する税金が徴収でき、税収が増加します。
一方、お兄さんの日本の会社の利益が少なくなれば、それに応じた税金も小さくなり、結果的に日本の税収は減ってしまいます。

「兄弟で協力して税金を減らそう!」なんてことが可能になると、公共サービスの維持などのためにできるだけお金が欲しい国としては、税金を徴収できない可能性が出てきてしまいます。
そこで登場するのが「移転価格税制」です!


移転価格税制って何?

移転価格税制は、「たとえ家族・兄弟であっても、取引価格は市場の相場(独立企業間価格)で決めなさい」というルールです。
例えば、市場で1kgのマグロが1万円なら、兄弟間でも1万円で取引しなければいけません。

これにより、「家族割引」や「友達価格」のような特別待遇が排除され、公平な取引が行われ、国は税収を確保することができます。
これが、移転価格税制の基本的な考え方です。


税務署のチェック

もし弟さんが「お兄ちゃん、もっと安くしてよ!」と交渉して、5000円でマグロを仕入れていたら、日本の税務署がやってきてこう言うでしょう:

「そのマグロ、ちょっと安すぎませんか?市場価格よりずいぶんお得な感じですね。本当にこれが適正価格ですか?」

国まわし者の税務署は、このように企業間の取引が市場価格から大きくズレていないかをチェックします。
もし不正があれば、取引価格を見直し、税金を追加で徴収することもあります。


なぜ移転価格税制が大切なのか?

グローバルに事業を展開する企業が増える中、国際間の税金の公平性を保つためには、移転価格税制が必要不可欠です。
もしこれがなければ、一部の企業が税金を回避するために取引価格を操作し、公平な税負担のルールが崩れてしまいます。

寿司屋の兄弟のケースで言うと、「家族愛」ではなく「市場愛」が求められる、というわけです!


まとめ

移転価格税制とは、国をまたぐ取引において「市場価格で取引する」というルールを定めるものです。
今回の寿司屋兄弟の物語を通じて、この制度の重要性を少しでも感じてもらえたら嬉しいです。


では、また!

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