「げんしけん」について
かつてアフタヌーンに連載されていて、アニメにもなった、「げんしけん」というマンガがある。
「げんしけん」というのは、
現代視覚文化研究会という、
大学のサークルを舞台に、
ここに集まるオタクの日常を描いたマンガです。
2002年から「アフタヌーン」で連載が開始され、
2016年に連載が完結しました。
僕はなんとなく気にしながら、
時々新刊を見かけたら買っていました。
オタクというのがどういうものか、
定義するのは難しいですが、
僕は自分のことを
オタクのグループに所属しているとは思っていません。
しかし、一般の人に比べると、
かなりの数のマンガを読んだり、
映画を見たりしているので、
事情をよく知らない人からは、
オタクと呼ばれてもしかたないとは思います。
でも「げんしけん」を読むと、
やはり自分はこういう「オタク」ではないなと、
あらためて思います。
以前、本物のオタクの人から
「げんしけんのすごいところは、
初めてマンガでオタクの性について
書いたところなんですよ」
と教えていただいた。
確かにオタクの人たちは
二次元などをこよなく愛し、
現実での恋愛や性行為を
あまりしないようなイメージがありますが、
オタクにも男性や女性がいて、
サークルで出会ったりもするし、
タイミングが合えばつきあったりして、
性行為なども当然する。
そのことがタブー視されているわけでもないのに、
僕の友人のオタク氏は、
その「オタクの性」が表現されているということが、
といも重要なことだと熱弁していた。
やはりオタクにとってはリアルな性行為は、
タブーとまではいかなくても、
何かちょっと構えてしまうようなことなのだろう。
それで「げんしけん」の重要人物、
オタクの中のオタクの
班目(まだらめ)というキャラクターがいるのだが、
物語の終盤にこの斑目にモテ期が到来し、
なんだかグダグダになりながらも、
結局は斑目に「彼女」ができる。
ああ、よかったね、
何もかもが解決したわけではないけど、
オタクはオタクなりに
自分独自の心の迷宮を持っていて、
自分なりの方法で出口を探している。
必ずしも出る必要はないのかもしれないけど、
ずっと迷い続けているのも、
なにか心もとないものなのだろう。
そんなオタクたちのさまよっている姿が、
とても愛しく思えてしまうマンガなのです。
「げんしけん」はアニメにもなっています。
こちらの方がより簡単に物語と触れることができるので、
こちらもおすすめです。