映像ソフトについて

保育園の見学に来ている保護者の方と話していると、
案外子供にゲームをさせたり、
DVDを見せたりすることを、
「良くないこと」と思っている親が多いんだなと思います。

少なくとも、うちはバンバンゲームをさせて、
ドンドンDVDを見せてます、
という親にはまだ一人も会ったことはない。

そして幼稚園とか保育園とか、
幼児教育業界の人達も、
「子供にテレビばかり見せていませんか?」
「もっと子供との心の触れ合いを大切にしてください」
と親に注意したりするらしいです。

僕は元々映像ディレクターなんで、
保育園を作るにあたって、
まっさきにスクリーンとプロジェクターを買ったのですが、
どうもそれが活躍することはあまりなさそうです。
優れた映像ソフトを大画面で見せることは、
とても効果のある情操教育だと思っているんですけどね。

映像表現というのはひとつの言語なので、
DVDを見るということは、
英語を習うということと同じくらいの価値があるんだけど、
そういう啓蒙がなされていないものだから、
ただ単純に「DVD、ゲーム=悪」
というような図式しか親はもっていないようです。

手塚治虫さんが、
かつてPTAから吊るし上げられて、
学校の校庭で著作を焼かれて、
会合なんかでも色々批判されて、
そんな教師や親たちに手塚さんは、
「子供にとって、本はご飯のようなもので、
マンガはおやつのようなものなんです」
と言いながら、内心は怒り狂っていて、
その怒りを創作のエネルギーに転じていたそうです。

その手塚さんや手塚さんを尊敬してデビューした、
石森さんや藤子さんや赤塚さんや、
彼らの作品に触れて育ち、
マンガ家やアニメーターになった人達が作った作品が、
どれだけ子供たちの夢や想像力を育んだことか、
本当にわかってないのかな?

世の中には差別や偏見が充満している。
それが差別であろうと偏見であろうと、
自分が納得できる体裁をしているものに、
とりあえずは依存して心の安寧を得ようとする。
それがイデオロギーである。
というような感じでいいですかね?

子供たちからゲームやDVDを取り上げる理由として、
「子供が夢中になってその世界に入り込むから」
と言う人が多いのだが、
子供にとってそれだけ魅力のあるものを、
子供から取り上げることが
子供の発育にとってプラスになる、
という考えは何を根拠にしたものだろうか?

逆に「うちの子はサッカーが好きで、
真っ暗になってもボールを蹴っている」
というようなことを自慢げに話す親もいるのだが、
なぜそちらは自慢になるのだろうか?
何かに夢中になっているということでは、
まったく同じことを言っているようにしか思えないのだが。

あと、子供に早いうちから
ピアノとか英会話とか水泳とかをさせることは、
「良いこと」と認識している親が多いようである。
「こちらの園ではそういうことはされていないのですか?」
と聞かれることも多い。
うちの園でしようとしていることは否定して、
うちの園ではしないようにしようとしていることは、
なんでやらないんですかとばかりに聞いてくる。

別にそんなステレオタイプの親と討論して、
論駁する必要もないとは思うのだが、
何を言われても、「もっともです」
「おっしゃるとおりです」と迎合するのも、
相手に対して失礼にあたるような気もする。

園長さんともなると、そういうことにも、
うまく対応していかなければならない、
難しいけど勉強になります。

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