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"3" 意識の評価 「GCSとJCS」


GCSとJCS

 患者さんの正味の意識評価はGlasgow Coma Scale(グラスゴー・コーマ・スケール)(GCS)とJapan Coma Scale(ジャパン・コーマ・スケール)を使用します。Comaとは「昏睡」という意味です。
 どちらかというとGCSは国際標準のスケールで脳神経外科・救急集中治療科(ICUではもちろん使われています)などで用いられています。一方のJCSは日本オリジナルですが、GCSよりやや簡単であり、病院前(プレホスピタル)である救急車などでよく用いられています。
 JCSのポイントは次回にして、今日はGCSのポイントを提示します。

Glasgow Coma Scale(グラスゴーコーマスケール)

GCS

GCSの注意点

 それぞれの項目・スコアの詳細は自著の「2年目からのICU看護」をぜひご参照ください。本書には詳細なGCSの取り方などかなり大事な事項が書いてありますので必読です! それらの中から少しだけ大事なポイントを以下に記載します。

・Eは物理的に目が開いているかかではなく、意識の有無を見ています。よって明らかに意識ないのに瞼だけ空いちゃっている場合はM4ではなく、M1とつけます。
Vの「見当識」とは時間、場所、他人など自分以外の周りの環境を認識する能力
 =すなわち「お名前なんですか?」という質問ではなく、「私は誰ですか?なにをしている人ですか?」という質問が正しいです。

・M2とM3は脳の異常反射のため、脳の中に脳出血など何らかの器質的な異常があります。滅多みられません。手先がちょびっとだけ動いたからM2というのは間違いで×、その場合はM4でつけます。痙攣もM4でつけています。M4はけっこう多いです。

麻酔や鎮静はGCSを予想

 手術後ICUに気管挿管されたまま入室(帰ってきたわけではないのですが、なぜか帰室と言われることが多い)した場合をよく「挿管帰室」といいます。この場合は麻酔薬で鎮静されているので、反応はなくGCSはE1VtM1となってしまいます。でもこういった患者さんって別に意識障害があるわけではなく、薬で眠っているだけですよね。
 ですので原則としてAPACHEIIやSOFAスコアなどで、GCSをつける際には「鎮静薬などの影響がない状態を予測してつける」って決まりになっています。予定手術後で挿管帰室の患者さんのGCSは、普通術前から意識障害はなく麻酔で眠っているだけなので、GCSはE4V5M6と付けます。
 臨床的にはE1VtM1ってつけちゃうことが多いのですが、スコアリングなどではE4V5M6と付けるということがあるので注意しましょう。

Today's Note

・GCSはICUでもよく使われるのでマストで覚えましょう(ポケットパウチに頼らない)

・Vの見当識はお名前なんですか?ではなく、私は誰ですか?何をしている人ですか?Mのピクっと動くのはM4とつける(M2M3は異常反射)

・臨床とスコアリングでGCSの付け方が変わることもある

(参考文献)






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