点灯人になりたい
星の王子様に点灯人の男(The Lamplighter)が登場する。
点灯人ってどういう話だっけ?という人に平たく説明すると
点灯人しかいないひとりぼっちの星で、1分おきにランプの灯りをつけたり消したりする男のことである。
彼のいる惑星は自転の周期が1分のため、30秒おきに日の出と日の入りがある。
そんな彼の元に星の王子様がやってくる。彼のせわしない動きを見て
「なんで30秒おきにランプをつけたり消したりするの?」と問う。
点灯人は「決まり(Order)だからさ」と答える。
「よくわかんないや」と返す王子様に点灯人は
「わかんなくていいんだよ。決まりは決まりだ。やあ、おはよう」と返し、ランプの火を消す。
「決まりは変わらないの?」
「ああ、変わらないさ」
点灯人はすっかり寝ることを忘れてしまっていた。ランプをつける仕事に没頭していたからだ。
王子様は他の星の人よりずっとこの点灯人のことを気に入った。
(日本語訳の本が手元にないため、こんな話だったよな?という記憶を頼りに書いています。)
という話だ。
これを解釈すると、
自分の決められた、なすべきことを淡々とこなしていく生き方をする。ということになる。
そもそも点灯人はひとりぼっちでその星に住むことを決めているから過去の自分以外にものごとを比較する対象がないのだから。
それはとても孤独ではあるが、寂しさを感じさせない。
彼なりの役目を全うするだけの穏やかで豊かな生き方だからだ。
私は、見栄をはりすぎて「自分でできます」と言いすぎて結果何も成果が出せずに周りの人に迷惑をかけたことがあった。
そして、優秀な仲間と自分を「人は人」「私は私」と切り離して考えることができず、延々と病んだあげく寝込んでしまったことがあった。
「わたし」を見失いそうになったとき、空を見上げてどこか遠くの星で今も1分おきにランプを点灯させる点灯人に思いをはせてみる。
自分の決められた、なすべきことを淡々とこなしていく。
そういうものに私はなりたい。