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三菱商事からスタートアップへ。飲食業界のDXで世の中を変える

2020年に三菱商事からCRISPへ参画したヨシキさんへのインタビューです。経営企画・財務領域の最高執行責任者としての仕事内容や、大企業とスタートアップの違い、CRISPでの仕事のやりがいなどについて聞いてみました。

細田 淑樹 YOSHIKI HOSODA | CSO
三菱商事にて飲料原料部のマネージャー経験後、中南米の赴任や三菱商事が資本提携する世界最大級の食料・農産物事業会社Olam社の事業開発担当を経て、2019年より三菱商事本店にて投資業務に従事。2020年に株式会社CRISPに参画、CSO(Chief Strategy Officer)に就任。

- 早速ですが、ヨシキさんがCRISPで主に担当している領域を教えてもらえますか?

経営資源といわれる「ヒト・モノ・カネ」の3つの中でも、財務をメインにしつつ採用を担当しています。お金の部分を管理している意味では一般的にはCFOと表現されたりしますけど、CRISPではCSO(最高戦略責任者)という形で財務だけでなく経営管理全般をみています。

CRISPの前は三菱商事という会社で働いていたんですが、商社っていろんな仕事があるんですよね。三菱商事の最後の数年間は投資業務をやっていたんですが、キャリアとしては僕自身は食のビジネスをずっとやっていて、もともとはトレードっていわれるような海外からモノを輸入して日本のメーカーに売るっていう仕事を担当していました。

なので、銀行員とかベンチャーキャピタルとか証券会社とかとは僕は違って、僕のもともとのなりわいはある意味ではビジネスモデルをつくったりとかビジネスサイドの人間なんですよね。バンカーっていわれるような数字に関してはスゴイ、というような人たちとは僕はちょっと違って、あくまでも事業をつくる側としてお金の面で会社の必要な機能を提供しているというのがあります。

- 資金調達もヨシキさんの担当領域かと思いますが、2021年6月にはVCのOne Capitalさんから5億円の調達(累計調達額10億円)をしましたよね

我々のようなスタートアップは世の中でまだ誰も挑戦していないことに挑戦しています。その時に手元にお金が潤沢にあればいいんですけども、必ずしもそうではない。まだ見ぬ未来に対してこういう解が必要であることを投資家、あるいは金融機関に対してその必要性やビジョンを説明していくというプロセスが資金調達の入口だと思っています。

「ロマンとそろばん」とかいいますけど、壮大な野望とともに数字的な担保、つまり想いだけではなく計画をもって我々は道筋持ってますよというのを伝えていく。それに加えて財務的な部分をこれからどのように行っていくかというのを想定シュミレーションしながら、「こういう計画なのでぜひ投資・出資してください」という賛同を得ていく。そういうことが会社の機能として必要なんですね。こういうのを資金調達って表現しますが、調達して散財してしまうとすぐにお小遣いがなくなってしまうので、適切なリソースを適切なプロジェクトに分配してモニターしていく、と。

あと、資本政策も僕の重要な業務の一つだと思っていて、この会社が将来にわたって適切な投資家・株主から構成されているのかどうかってことは企業戦略に大きく関わるんですね。もっと言うと、どういう株主かっていうことがこの会社が目指す方向性にも大きく影響してくるので、誰でも彼でもお金を調達すればいいというものでもない。適切なパートナーとともに、我々の会社が歩み続けるような仕組みを提供していくことが重要だと考えています。

- どういったきっかけでCRISPにジョインしたのでしょうか

三菱商事では食のビジネスに上流から関わる中で、農園にも行ってたんですよ。農園からどんどん加工されていくわけですよね。1次産業2次産業と入っていって、いわゆる小売向けの最終的な地点というのはそれはそれで面白いんですけども、外食の世界って付加価値が上がっていくなと。それで食以外も含めていろんな勉強会に参加していました。ただ、当時は生意気だったので正直「外食がなんぼのもんじゃい」と思っていた。

その中でヒロシさん(CRISPの代表取締役)に会って、めちゃくちゃ刺さった。スタートアップって熱くビジョンを語る人は多いんだけども、そこに道筋が見えないケースっていうのが世の中にはいっぱいあるんです。つぶれていっちゃうスタートアップってだいたいそうなんですけども。

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ヒロシさんに関してはビジョンだけじゃなくって、そこに対する地図が見えてるっていうのかな。本当にこの人なら世の中を変えられるかもしれない。逆にそれ以外は期待してない。だから、この会社がもっと成長するかもしれないっていうのが僕自身はすごく楽しみ。そういう意味では僕自身も担っていると思っているんですよ。もちろん代表の影響が大きいですけども。

- 実際にCRISPに入ってみての面白さってなんでしょう?

三菱商事は本社の社員だけで6千人いて、グループの企業を合わせると4万人いるんですね。この規模で仕事をするっていうのは、嫌な言い方をすると歯車っぽくなりかねないなと。その中でもちろん自分としての役回りっていうのをより果たせやすい就業環境っていうのを商社は比較的つくっているとは思いますが。

それに比べるとCRISPっていうのは圧倒的なハンズオン。だから、自分がこの会社で存在することの意義っていうのを感じる毎日でもあるし、一方で感じなくなったらやめた方がいいと思っている。そこは逆説的にいうと大きな会社では感じづらい。会社としての存在意義っていうのはもちろんありますけども、CRISPは個人としての存在意義っていうのが大きい。あとは社会に残せるインパクトと会社に残せるインパクトはCRISPと三菱商事を比べるのは難しい。ただ、会社が出せるインパクトにおける自分のインパクトの割合ってあるじゃないですか、それは圧倒的にCRISPの方が大きいと思いますけどね。

- とはいえ、入社前にはやっぱり不安はありましたか?

もちろん、三菱商事とは違ってCRISPはいつ沈むか分からないですよね。それは圧倒的な責任感が自分にはあるわけだし、不確実性は圧倒的に高い。

ビジネス自体は全部不確実なので、三菱商事がやっている仕事もこっちがやっている仕事も同じぐらい不確実なんですけども、いわゆる体力、経営資源に限界があるCRISPではよりひりつく感じがある。その中でサバイブしていく経験っていうのは大企業では得られない。大きな船に乗るのとモーターボートに乗って生き延びていくのとは全然違う。それだけの話。

また、プランニングも大企業っていうのは重要視されるんですよ、より多くのステークホルダーが関係しやすいので。それ自体はCRISPもあるんだけども、CRISPはより実行の世界ですよね。

- ビジネスの不確実性が高い中で、ヨシキさんの担当領域における現在の課題はなんでしょう?

結局、CRISP自体もまだ見ぬ世界に対する解を出そうとしている。課題の切り取り方ひとつとっても、ソリューションも異なるし、そういう不確実な世界においてビジョンというのをある意味では納得せしめ、そこに数字的なエンドース(保証)をつけていくっていうのが資金調達の仕事で難易度が高い。世の中の人が過去にやったことのあることだったら、大体こんなことだよねってみんなパッと分かるものなんですよ。

ところがCRISPではそうじゃないから、価値があるかわからないものを価値ですと言うって結構難しいわけですね。そういうことが資金調達における大事なプロセスのひとつだし、調達の資金をどう振り向けるかっていうのを、どこにどう適切に分配していくのかっていうのも結局解がないわけなんですね。

だから、そのない解をこちらで切り取って、出していかなきゃいけないって事はより迅速的な軌道修正が求められるし、組織の環境が変わっていけばいくほどまた作り直さなければならない。柔軟にものごとをスクラッチして考えていかなければならない。これがなかなか難しいんですよね。決められたフレームの中でやる仕事じゃないので、もちろん演技の幅は広いんだけども、結構自由演技できちゃう分どこまでなにをやるっていう決め事が難しいな、と。

- というと?

不確実性が高い、大きな社会課題があるっていうことをみんなが認識して周りにせしめるっていうのは結構大変なんですよね。ひらたい言葉でいうと適切な投資家がいて、その適切な投資家を探し出し出資をしていただくっていう行為っていうのが結構難しいし、その出資していただいたお金を適切に使うってことも難しい。

もちろん、お金の使い方はガチガチに固めれば管理できるんですよね。たとえば、携帯代に40万円使う人はいない。それは携帯代の相場がわかっているから。でも、相場がまだない世界の中でどう振り向けていくかっていうのも重要だし、振り向けたものが適切に使われているのかっていうことを見なきゃいけない仕事。だから、出入りを適切に管理していく仕事みたいなことですよね。その辺は結構求められるし、それができて、かつこの企業のスピードを止めないっていうそのバランスですよね。組織っていうのは自由に動くんだけれどもそれが破滅の道に向かっていないか。これを適切に見ていかないと結構危ないので。

- CRISPで働くとしたら、どんな人が向いてると思いますか?

世の中を変えたいって思っている人。

飲食をもともと知らなくてもいい。飲食業界ほどDXが必要な業界ってないって思っているんですよ。デジタル化が遅れてることと同義なんですけども。飲食業っていうのは労働集約的な産業なんですよね。効率がよくない。つまりそれは伸びしろでもある。テクノロジーが入っている業界にDXをやっても伸びしろが限られますけど、飲食領域っていうのはものすごくテクノロジーが入り込む余地がある。それは何を意味するかというと変革の余地なんですよね。真っ白なキャンパスみたいなもんなんですよね。それに気が付いてる人がどんどん入ってきています。小売とか広義のリテールは全然テクノロジーが活用されていない。オペレーションが労働集約的な産業であるゆえになかなか入りきらない。だからこそ、すごいオポチュニティがある。

CRISPは飲食DXにおいてはフロントランナーです。「世の中を変えたい」という想いで選ぶ業界としては飲食は魅力的だし、その中で選ぶのだったら絶対CRISPがいい。世の中を変えたいわけではなかったり、もっとお金を儲けたいんだったら他にも会社はいっぱいある。結果的に変えるっていうのは価値が生まれるので、当然給料上がると僕は思っているし、そうじゃないとよくないと思っています。低給料でもやりがいありまっせということではなく、ものすごく変革の余地があると思ってて。

世の中を変えられるっていうのは逆にいうと課題の宝庫。だから、「こんなこともまだできていないんだ」という風に唖然とすることもいっぱいある。だから、難しい迷路解きたい人、どうぞ集まれって感じです。そんな人達と一緒にチャレンジしたいんですよね。

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