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16.病院に行こう

こんな記事を読んだ。

 生理の周期が乱れる「月経不順」に悩むのは東京都内の中学3年生の女子生徒(15)。今年の6月ごろから生理が1カ月続く状態を繰り返しているといい、「1週間来なくなったと思ったら、また1カ月生理が続く。経血量も日によってばらばらで、貧血によるめまいや立ちくらみを起こすこともある」と話す。

 修学旅行でも、生理のために同級生と一緒に入浴することができなかった。悩みを相談した友達には「早く病院に行きなよ」と言われたが、どこに行けば良いのか分からなかった。月経不順で「ずっと妊娠できないのかなと不安だった」と打ち明ける。

 塾では、休み時間のたびに椅子に経血が付いていないか不安になり、白いスカートもはきづらい。今年は学校のプールの授業もほとんど出られなかったという。「授業に参加できなかった分、見学カードをたくさん書いた。内申に響いていないといいのですが…」と心配そうに話していた。

時事ドットコム「受験と生理が重なったら?85%が『不安』」(最終閲覧: 2024.11.18.)

なぜ彼女は、そこまでして病院に行かないんだろう???
記事の内容(受験と生理について)より、そこが気になってしまった。

困っているなら病院に行きなよ、と心配してくれるいい友達を、せっかく持ったのに。
自分の経験談を報道機関に公開できるような子だ。きっと情報リテラシーは高いだろう。
それならスマホなりパソコンなりで、いくらでも病院なんて探せたはず。
学校なら保健室の先生もいる。事情があって親に生理のことを言い出しにくいのなら、保健室経由で悩みを相談し、学校を通じて親に話を聞いてもらう、という手段も取れたはずだ。

シングルファザー家庭とかで、家族に生理の当事者がいないから相談しにくいのかなあ。
ものすごい山奥や離島に住んでて、簡単には病院に行けない土地の子なのかなあ。
ヤングケアラーで、病院に行く時間がどうしても取れないのかなあ。

色々憶測はできるけれど、何より、これだけ生理で嫌な思いをしているのに、
「病院に行った方がいいよ」というアドバイスすらもらっているのに、
それを改善するための最善のアクションを取らないことには、どうしても疑問が残る。

筆者は何も、この女子高生を責めたいわけではない。
明らかに体が不調なのに、病院に行く気が起こらないことは、筆者もよくあるからだ。

助けてもらえる場所なのに、なんで、人は病院に行きたくないんだろう。

病院に行くメリット

からだに何が起きているかわかる

当たり前だが、医者は体の専門家だ。

筆者が敏感肌で頻繁に皮膚科のお世話になっていることは以前書いたが、いつ行っても医師の知識の深さと判断の早さには驚く。
肌の不調はその原因がさまざまだ。見えるところに症状が出るのに、必ずしも外的刺激から引き起こされるわけではない。
「こないだのあれが再発して〜」と説明したのに、「うーん、これはこないだと同じじゃないね」と一瞬で原因を見分けられたときの驚きといったら。

こんなに複雑なのに、数分の診察で不足している栄養素や塗るべき薬、その他気を付けるべきことについてしっかり患者に伝えるスキルは、並大抵のものではない。
医師が「先生」と呼ばれ、世間一般から敬われる仕事であり続けている理由だろう。

自分の知識が増える

一度病院に行くと、その時の症状について知れるだけでなく、体の不調がどんなものによって引き起こされるかや、自分の体質の特徴、新しい治療法まで学ぶことができる。

やはりネットは何が正しいかわからない。
病院のHPなら安心かな、と思って読んでいたら、後になってその病院が実在しないことがわかり、怖くなったことがある
医療に関する情報は日夜研究が進んでおり、どんどん更新されるので、本に頼りすぎるのも現実的でない。 

不安定な情報に健康をゆだねるより、自分で正しい情報を得た方がずっといい。

筆者は病院の診察料のほとんどは、正しい情報代だと思っている。 
 

それでもなぜ行けないのか

単に時間がない

病院はAIで置き換えられない仕事の筆頭みたいなものなので、いつ行っても診察してもらえるわけではない。
看護師さんほか、医師以外のスタッフ不足もある。
しかも、土日診療もやってるけど第一と第三日曜日は休み、みたいな、トリッキーな休み方をするので、いつ行けばいいのかいちいち調べないといけない。
これは普通にめんどくさい。
 まあ、公共施設みたいに、全国の医療機関がぜんぶ月曜定休とかになってしまったら、それはそれで困るけれど。

開いている日が限られているからこそ、待合室はいつもいっぱいだ。
筆者が病院で一番苦手なのはこれである。
そもそも、病院に来ているというのはどこかしら体が悪いので、座ってじっと待っているのすらしんどい。隣や向いに座っている見知らぬ人も、いかにも体調が悪いといった感じで座っているし。
皮膚科や耳鼻科はまだいいとしても、内科や小児科になると、病人をあつめて狭い部屋に押し込んでいるのって、逆に健康に悪いんじゃないかな、といつも思う。

現実を突きつけられる

病院とは多くの人にとって「怖い場所」です。その理由として2つのことが考えられます。

 まず1つは「自分の体の異変について医師から告げられたくない」からです。特に健康に自信がある人ほど、異変に気づいたとしても認めようとしません。体の声を聞かず、「これは疲れているだけだから、少し休めば良くなる」と無害な解釈にすり替えてしまう。そして、いよいよ痛みや症状に我慢できなくなってから病院に行くことになってしまいます。

 2つ目は「体の異変への対処」という「人生の課題」から逃げたいからです。家族や周囲が「病院に行ったほうがいい」と勧めても、「でも」と言い訳をします。「でも、たいしたことないから」「でも、今は忙しくて病院に行けないから」などと病院に行かない言い訳をして、自分が本当に健康なのか、あるいは何らかの病気なのか確かめ、病気であれば対処するという「人生の課題」に直面することを避けてしまう。アドラー心理学的にはこうした見方ができると思います。

日経メディカル「なぜ病院は『できれば行きたくない場所』なのか」(最終閲覧: 2024.11.18.)

肌が荒れた、とか、鼻水が止まらない、とか、ある程度経験したことがあり、該当部位以外はまあ健康で、症状自体も世の中でさして珍しくもなさそうなものなら、まだいい。
自己判断で、「何でかわからないけど、なんとなく体調わるいな〜」くらいで診察を受けるのが、一番こわい。
だって、とんでもない大病にかかっていますよ、と告知される可能性があるからだ。

誰でも、自分が病気にかかっているとは思いたくない。
高額な医療費が必要になったらどうしよう。
入院や手術が必要になったらどうしよう。
学校も、仕事も、家族もあるのに…

われわれ、医療知識のない一般人が一番望むのは、
「よく寝て休んで、市販の薬を飲んだらなんとなく治ってた」というやつだ。
「それは絶対ないよ。あなたには、時間とお金のかかる専門の処置が必要です」と告げられるのには、相応の覚悟がいる。

病院にいい思い出がない

コロナ禍の前の話になるが、
筆者は一度、夜中に突然尋常ではないほどの頭痛に襲われ、救急車を読んだことがある。
頭が痛すぎて嘔吐する、というのを初めて経験したし、冗談抜きで死ぬかと思った。

ふらふらの状態で救急車に乗り、病院に運ばれ、MRIを受けた。
しかし、なんと、原因が判明しなかった。 

「まあ、異常も見つからないし、大丈夫でしょう」みたいな感じで、返されてしまった。

まあ、不調というのはストレスとか水分不足とか色々要因があるみたいなので、「異常が見つからない」というのも一つの答えなのかもしれない。
少なくとも病気ではないとわかったわけだし。

でも、なんか腑に落ちなかった。
あんなに死ぬような思いをしたのに、「異常なし」?

また別の話だが、数ヶ月ぶりに行った近所の病院で、
顔を見た途端「いま来るんだ。2週間後に来てって言ったんだけどなあ」
と、嫌味を言われたこともある(それ以来、その病院に通うのはやめた)。

医師や病院に一度不信感を持ってしまうと、結構尾を引く
また嫌な思いしなきゃいけないのかなあ。
時間とお金をかけるほどのことかなあ…
こうして思い悩んだ末に、不健康をほっぽってしまう人も、きっとたくさんいるのではないか。

↑  お医者さんの側にも色々事情があるんだろうが、やっぱり、行きやすい、話しやすい空気を作ってもらいたいものである。

筆者と病院

筆者も小さい頃は大の病院ぎらいで、
注射が嫌で診察室から逃走したり、
大して痛くもない検診で大げさに泣き叫んだり、
割と手のかかる患者だったと思う。

「病院に行きたくない、行きたくない」と強く念じていると、
不思議と熱が引いたりもした。へんなの。

それでも成長してからは、このブログの前半に書いたような病院のいいところを実感できるようになった。

それはやっぱり、
皮膚科でもらった軟膏でひどいかゆみが嘘のようにおさまったり、
産婦人科でもらったピルで劇的に生理痛が改善さたり、と、
ある種の成功体験を積めたからだと思う。

もやもやする診断や、意地悪なお医者さんも確かにいるが、
やっぱり病院は何だかんだで解決してくれる。
生涯、病院なしで生きていける人なんて、いないのだ。

冒頭の記事の女子高生も、行く決断をしてくれたらいいなあ。

※今日のヘッダー画像は、ワクチン注射のために明日獣医さんとこ行くよ、と告げられた時のうちの柴犬さんです。

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