15.熊こわい
いやいや。
いやいやいやいや。
何の怪談?
何のホラー映画?
大変ショッキングな書き出しで申し訳ないのだが、
昨日までの2日間、愛を語ってきた北海道に移住できない、最大の理由。
クマへの恐怖について今日はお話ししたい。
北海道ないし山里にすら住んだことない筆者だが、実はヒグマに関して結構深いトラウマがある。
その深さは、昨日何千字も書いたほど大好きな北海道への移住を、なかなか行動に移せないくらいである。
すべての始まり
すべての始まりは、小学生の頃に観た、とあるテレビ番組だった。
三毛別ヒグマ事件
よくネット上では、子どもの頃に見てトラウマになったものについてよく語り合われている。
筆者は迷わず、
アンビリーバボーの三毛別ヒグマ事件特集回
を挙げたい。
三毛別事件とは、大正時代の北海道で、ちいさな開拓民の村が冬眠し損ねたヒグマに襲われ、7人の犠牲者を出した、日本史上最悪の獣害事件ともいわれている事件だ。
詳しくは、
詳細な聞き取り調査を行った木村盛武氏の著書『慟哭の谷』の解説文を引用した文春オンラインの記事や、
有名なWikipediaをみていただければ、
詳しい全容がわかっていただけると思う。
かなりの長文ではあるものの、とても引き込まれる文章だ。
文春オンラインの方は、記事の見出しがちょっとおどろおどろしすぎるが、
まったく誇張ではない。
もちろん当時の人間も抵抗している。
だから、この後、日露戦争帰りの伝説のマタギが登場して例のヒグマを一発で仕留めたり、
一家全滅の唯一の生き残りの少年がマタギとなって、犠牲者の数だけクマを仕留めて復讐を成し遂げたりと、
映画のようなカタルシス展開が続く。
それでも。
それでも、だ。
何より怖いのは、このゴア描写満載の襲撃事件がなんの創作でもなく、たしかに現実に起きた、ということ。
なんと、この凄惨な出来事を実写再現した狂気の地上波番組がある。
それが、例のアンビリーバボーだ。
ホラー映画と化した再現ドラマ
残念ながら、今に至るまで再放送されていないが、「三毛別事件」とググると「三毛別事件 アンビリーバボー」と出てくるくらい、人々の間に浸透しているみたいだ。
きっと、筆者のように、長いトラウマとなってしまっている人も多いんだろう。
違法コピーと思われる動画はネットに散見されるが、すべてを引用するのはちょっと気が引ける。
どうにかして筆者の味わった恐怖を伝えられないか悩んだ。
悩んだ結果、特に記憶に残っている場面のみ、画像で引用させてもらうことにした。
初回放送は2011年らしい。もう、14年も前だ。
しかし、字幕や音楽の雰囲気が完全にホラーだし、画面がずっと薄暗いし、再現ドラマの演技の凄みが半端ないしで、
10年以上経った今でも、このブログを編集しながら鳥肌が立った。
小学生にこれは、刺激が強すぎた。
上の記事でも言及されているが、村人は当時の開拓民として、至って普通の生活をしていただけだ。
この事件は、人間とクマの生活圏が重なって起きてしまった不幸、として片付けられている。
でも、ただの不幸、なんてレベルじゃない。
襲われ、生きたまま喰われてしまった人たちは、なんて不運なんだろう。
なんの罪もない人が、ことばも理屈も通じない、ただただ暴走する暴力になすすべもなく身体を引き裂かれ、生きたまま想像を絶する苦痛を経験しなければならないなんて。
ジェヴォーダンの獣とか、「得体の知れない巨大野生生物に食い殺される恐怖」みたいなのは、確実にこれを視聴したことに起因していると言い切れる。
この番組を観てからというもの、
山里に住んでいる訳でもないのに山歩きが怖くなったし、
獣に襲われても誰にも助けを求められないぼっちキャンプなんて狂気の沙汰だと思うようになったし、
もしクマに何か取られても決して取り返していけない、と肝に銘じるようになった。
見え隠れするその恐ろしさ
筆者はいろいろなコンテンツに触れ、山歩きの楽しさも学んだ。
しかし、筆者は忘れても、クマは忘れてくれない。
『レヴェナント』オスカー俳優の叫び
洋画好きの筆者が飛行機で片っ端から洋画を再生しているときに偶然出会い、
選んだことを非常に後悔した作品。
クマだけでなく、痛いシーンも大の苦手な筆者は、この場面で思わず視聴をやめた。
レオナルド・ディカプリオはこの映画でアカデミー主演男優賞を獲得したが、納得もいく。
だって、痛そうすぎるもん。
アメリカ西部開拓時代に実在した猟師をモデルにしているらしい。
てことは、この恐ろしいクマも、実在したのか…
アカデミー賞ウォッチャーなので、この作品が数々の部門で賞に輝いたとあとで知ったが、それでも再鑑賞する気には未だなっていない。
↑ こういうの見ると、つくりものってわかって、安心できるんだけどね。
『ゴールデンカムイ』圧倒的な強さと不気味さ
三毛別事件よりすこし前、明治の北海道を描いたこの大人気漫画にも、クマは何度も登場した。
出てくる(人間の)キャラクターがどれもはんぱなく強いのに、彼らを圧倒し、怯えさせすらする存在として。
上には、特に印象的だった場面を紹介させていただいた。
特にこの場面は強烈で、アンビリーバボー鑑賞以来忘れかけていたクマの強大なパワーを筆者に思い起こさせた。
実写映画でも克明に再現されていて、びっくりだ。
なおも筆者を恐怖させるもの
事件は過去のものになった(当該クマは狩られた)し、上に挙げたものはフィクションだ。
しかし、クマの恐怖はここへきて再燃している。
↑ OSO18に関しては、最近だと、NHKのこのドキュメンタリーもすさまじかった。
國村隼のナレーションが怖すぎるよ。
しかも、頼みの綱の猟友会の方々が、あまりの待遇の悪さを理由に大変なことを始めそうである。
経緯は納得できるけど、そんなあ…