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21.続・映画『グラディエーターII』を観てきたよ(ネタバレ)
さて、昨日は余韻にかまけて脈絡のないことばかり書いてしまったので、今日はもう少し考察"っぽい"ことを。
殺されない動物たち
序盤のちいさな闘技場で出てくるヒヒの群れ。
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皇帝たちの秘蔵っ子のサイ。
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えぇ?サメも出るの?
どうやらコロッセオに水を張って模擬海戦をしたのはほんとうみたいだが、サメを泳がせたのはほんとなのかなあ…?
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まあ、『ナポレオン』でも、史実とまったく違う華やかな髪型と服装のマリー・アントワネットを斬首させた監督だ。
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本作にも、
時代考証なんて最低限でいいんだよ!
やりたいことやるんだよ!
っていう心意気が感じられた。
それなら、後半でちらっと写るイヌとかトラも、せっかくだから出しちゃってもよかったのに!
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でも、よく考えてみると、2時間半の中でこうした動物たちが傷つくシーンはほとんどない。
冒頭のヒヒは主人公が殺すけど、あれは正当防衛みたいなもんだし。
あくまでも相手の剣闘士を倒してなんぼの世界だから、サイだのサメだのを殺しても盛り上がらないだけかもしれない。
しかし、これは本作の一種のやさしさなんじゃないか。
主人公たち(捕虜=奴隷)の境遇はまあ理不尽だけど、
しょせんは人間が起こした戦争だ。
人間の争いに動物たちを巻き込みはするが(史実だし)、殺したらさすがにやりすぎだなって思ったのかも。
ありがとう、リドリー・スコット。
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お医者さんの存在
やさしさと言えば、この人も忘れちゃいけない。
本作のせつない大賞が将軍なら、功労賞は間違いなくお医者さんだと思う。
いつも主人公の怪我を治してくれるし、貴重な話し相手になっているし。
作中で策謀なく動いているのは彼くらいなので、主人公が心を開くのも納得だ。
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今見返すと、すごい意味深な感じで予告に出てる。
後半、彼が主人公の味方になっていなかったら、すごいバッドエンドになっていた。
そもそも、いきなり一介の剣闘士に「俺は皇帝の正当な後継者だ」って言われても、ちゃんと信じてくれたのがすごい。
指輪見せればいいってもんでもないだろ…
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そういえば、このお医者さんが命がけで持ってきた指輪をみて、すべてを理解して軍とローマに帰ってきた副官みたいな人もすごいよね。
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昨日のブログには、将軍が善人すぎ、みたいなことを書いたけど、彼に人望があったからこそのあのラストなのか。
さいごに
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↑ 今日のヘッダー画像にも設定した、このIMAXの海外版ポスター。
ENTER THE ARENA IN IMAX
IMAXでアリーナに入場せよ
この映画では何度も、剣闘士たちの試合を観戦する人びとの表情がクローズアップされている。
皇帝の親指一本で熱狂する人たち。
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この映画を楽しんでいる筆者たちもまた、このコロッセオの観客とおなじ立場なのだと気づかせる演出だ。
主人公は若い皇帝も知らないような詩を誦じたり、ロムルスとレムスの物語を奴隷仲間に説明できるような教養深さがあるのに、醜い殺し合いを生きるしかなくなる。
(あれもなんだったんだろう。幼児期にローマにいたころに教えてもらったことを、あれほどはっきり覚えていられるとも思えないし、奥さんに出会う前はどんな生活をしていたのか。気になる)
良識と教養のある人たちが、理解されず、血に飢えた権力者や民衆に殺し合いを強いられる。
ちょっと反知性主義っぽい?
色々言ったけれど、西洋絵画がすきだったり、世界史にワクワクした経験のある人は観て損はないと思う。単純に、画面の作り込みを見ているだけでおもしろい。
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↑ こういうのとか。
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古代ローマは19世紀あたりの芸術界では人気の題材だったので、たくさん描かれている。
だから本作には、西洋絵画っぽい!っていう場面がたくさんあった。
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テレビやスマホのちいさい画面だと、この映画の魅力はほとんど体感できないと思う。
観るならぜひ、映画館でみて。