68.豪華列車の旅
北の大雪だの、ロサンゼルスの山火事だの、今日もニュースサイトを開くと暗い話題ばかりだが、
その中にきらりと光るこんな見出しを見つけた。
要は、アガサ・クリスティの小説でも有名なオリエント急行のブランドが、ローマに新たに高級ホテルを開業するらしい。
宿泊費もまた、目の飛び出すような値段である。
なあんだ、列車の話じゃないのね、と思われたかもしれないが、
おぉ!!!
これは気になっちゃうって。
絶大な人気を誇るミステリ小説は数あれど、特に『オリエント急行殺人事件』がたびたび映画化されていることからも、
筆者を含む多くの人が、今は亡きオリエント急行ないし豪華列車にロマンを感じていることがうかがえる。
豪華列車といえば、去年の夏ごろ、こんなのを見つけたことを思い出した。
料金といい抽選でのチケット販売といい、乗るハードルが高すぎるが、
富士山を臨む景色だのうなぎだの、静岡ならではの素敵なものをたっぷり堪能して、文化財のホテルに泊まる。
たべものも古い建物も好きな筆者にとっては、夢のような旅だ。
なぜ、豪華列車の旅ってこんなに魅力的なのか。
移動がゴージャス、という贅沢
毎日の通勤・通学にしろ、旅行にしろ、えてして移動はめんどくさいもの、時間をかけたらもったいないもの、混雑などの苦痛を伴うもの、とされる。
かくいう筆者も毎日電車で通勤しているので、そこで嫌なことを年末にブログにしたばかり。
たとえば筆者が暇さえあれば行きたいと考えてしまう海外旅行も、そもそも「海外」が遠いこともあり、数時間を飛行機移動にかけることになる。
筆者のような庶民は、距離や現地での物価が高くつけばつくほど、一番安いエコノミー・クラスを選びがちなので、
ほんとうに移動は苦痛でしかない。
もしかしてこれも、海外離れの原因なのかな?と思ったり。
いくら相対的に安いとはいえ、エコノミーの座席の窮屈さは非人道的だろ、と怒っている人が海外にはいた。
確かに外国人は日本人より体の大きい人が多そうだし、大変そう。
安全性にも絡めて改善を求めるとは、アメリカ人、やるなあ。
これだけ頭と経験でわかっていても、筆者がビジネス以上のクラスの座席を取る気がわかないのは、
エコノミーとビジネスの金額の差が倍どころじゃない、3-4倍レベルだからである。
そしたら行き帰りくらい我慢して、旅先で豪遊したいと思っちゃうって。
豪華列車がほかの旅行と違うのは、本来一番節約するポイントとされがちな移動が、ラグジュアリーになるところだと思う。
↑ 旅行それ自体、もともと楽しいものなのに、加えてこんな空間で移動できるなんて、魅力的でないはずがない。
このロイヤル・エクスプレスはもちろん国内移動、それも決まった区間での運行だ。
しかし、オリエント急行の通っていたイスタンブールからカレーは国境をいくつも跨ぐから、
もし今回の復活がこのあたりの区間を通るなら、
海外旅行の移動空間がラグジュアリーになるという新体験ができる。
景色が楽しめる
オリエント急行は、復活しても結局豪華列車なので(というか豪華さはぜったい失わないでほしい)、
またきっと、乗るのにとんでもない代金が提示されることは目に見えている。
それなら、ビジネス・クラスに課金して飛行機に乗る方がずっと早いじゃん、と考える方もいるかもしれない。
でも、飛行機でいくら課金しても解決しないが、列車移動を選ぶだけで解決する問題がひとつある。
景色だ。
飛行機が浮き上がっていくにつれてちいさくなっていく町々を見るのも一興だけど、
正直言って、風景に関しては列車の圧勝だと思うのは筆者だけだろうか。
先述のロイヤル・エクスプレスは、富士山ビューを一つの目玉にしていた。
ちなみに筆者が飛行機から撮った富士山は、こんな感じ。
富士山を見下ろすっていう、せっかく珍しい画角なのに、
飛行機の窓って謎に曇らせてあるので(なぜ?)、ボタンを押して明度を上げても、いつもクリアな写真が撮れない。
電車に寝泊まりするというレアさ
鉄道オタクというのは、数あるオタク界隈の中でももっともメジャーなものの一つだろう。
そう感じる理由のひとつに、ある路線が廃止になると大きなニュースになること、がある。
ことに、最後の客車寝台特急「カシオペア」の廃止は、テレビで毎日のように見た気がする。
これによって、電車で寝るっていうのはさらにレアな経験になってしまった。
死ぬまでに、一回くらいは
ここまで書いてきたとおり、列車の旅はお金こそかかるものの、それ以外はメリットしかない。
体力使わなさそうだし、お金をがんばって貯めて、死ぬまでに乗れたらいいなあ。