別冊・医学のあゆみ p54-62を読んで
薬や治療の価値は、費用対効果や生産者側のコストを反映する定量的な指標だけでなく、薬が生み出す定量的に測れない価値も含んで考量されるべきと述べている。
この薬が生み出す定量的に測れない面からの評価を「価値に基づく評価」と述べこれによる価格を価値に基づいた価格(value-based price:VBP)と呼び、費用対効果評価や増分費用効果比とは異なったものであるとしている。この定性的な評価は最終的に数値化するが、根拠のある計算方法によって算出されたものではなく、過去事例に基づいた経験則で定まったものである。
認知症は患者本人のみならず介助者への負担もかかる。著者は家族が無償で介助する部分の負担であるインフォーマルケアの負担についても着目している。著者らは認知症抗体薬のVBPをインフォーマルケアも費用項目に含み算出している。費用対効果分析、増分費用効果比など定量的な尺度のみならず、単純に定量化できない定性的な項目も含めて多面的な価値を考慮し薬剤や治療の価値を計るべきであるとしている。
開発コストのみならず、疾患による周囲への影響など、疾患と薬剤の取り巻く状況について多面的にとらえることで、値段の理由や保険適応となる期間の理由についても理解が深まると考えた。