別冊・医学のあゆみ p21‐26を読んで
まずは内容の解釈とまとめ。
地域医療計画は、医療資源の地域偏在の是正と医療施設の連携を推進する目的で昭和60年に医療法改正に伴い導入された。地域医療計画は都道府県ごとの医療体制の確保を図るために、「都道府県の二次医療圏ごとの病床数」「医療従事者の確保に関する目標」「5疾患・6事業ごとの医療連携体制」について具体的な数字目標を定めている。
現状日本では、地域医療計画に基づき医療政策がすすめられているが強制力のないものであり、医療者や医療機関の自主性に任せられている。目標を達成するためにには、医療介護提供体制の再構築が必要である。
そのカギとなるのは、民間病院等の医療介護複合体である。
医療介護による複合体に、地域のニーズに合わせた医療介護提供体制の再構築に寄与してもらうためには、社会医学系講座が地域の医療ニーズについて必要な情報を分析し提供する必要がある。
どのような情報を提供し、何を促すか。
・地域の医療のニーズの変化
高齢化に伴い、傷病構造の変化が起きている。DPCデータを用い、ある自治体の脳梗塞・股関節骨折・心不全・一般肺炎・誤嚥性肺炎入院患者の色湯介護サービスの利用状況を調べた。今後の各疾患の傷病者数推計と介護サービスのニーズの推計から、施設介護の必要量の増加と推移を算出した。
これら傷病予防には日常的な健康管理がつながり、在宅医療の充実が求められるとの見解である。在宅医療の提供には人材と緊急時支援体制、受け手のの住環境整備が影響を及ぼす。
・ニーズの変化に対応した人材確保
これまで医療者の自主性に任せるも、地域のニーズとの整合性が取れず外来医療機能の偏在・不足が生じている。子育て世代の医師には居住地域としての魅力に課題がある。医学部ごとに地域枠を設けるも十分に活用されていない。大学医局専門医制度による派遣もあるが、地域ニーズとして総合的な対応を求めている。現行の制度では、解決が難しいと述べられている。
地域医療計画を踏まえた医療介護計画の再構築においては、病院等の医療介護複合体による地域医療ニーズに合わせた取り組みが重要である。
具体的には病床機能の転換や医療・介護・生活支援を提供するサービスの連携を行っていく必要がある。
そのために、社会医学系講座にて地域の医療ニーズに関する解析と情報提供を積極的に行うべきとしている。
他国では、地域ごとの医療ニーズに合わせた予算配分や人口当たりの保険医数を決めるなど強制力のある仕組みにて医療政策を進めているが、本邦は医療機関・医療従事者の自主性に任されている。地域医療計画の目標達成する上での問題点を理解し、いち医療者として、自分が携わる地域の医療ニーズを知る必要があると考えた。