別冊・医学のあゆみ p133-137を読んで
ナッジとは人の自発的な行動変容を促すものである。ナッジと金銭的報酬は相補的なものである。
ナッジと金銭的報酬の相補的効果、ナッジと金銭的報酬の組み合わせた効果をモバイルデータの導入を用いて見る、運動習慣へアプローチについて述べられている。ナッジと金銭的報酬のを組み合わせることで効果の出た取り組みはある、しかし屋外運動については効果が出なかったとする報告がある。
本邦でナッジと金銭的報酬の相補的効果を検証した例として、男性の風疹ワクチン接種がある。40-46歳の男性には自動的に風疹ワクチンのクーポン券が届く、47-57歳の男性は自治体に申請することでクーポン券がもらえた。このナッジと金銭的報酬の相補的効果は40-46歳の男性でワクチン接種の行動が促進される効果として見られた。
モバイルデータの導入については神戸市で行われた。歩数を計測するモバイル端末をつけた被験者のうち、一定の歩数以上の場合は自動的にインセンティブがもらえるオプトアウト群、一定の歩数以上であることを申請すればインセンティブがもらえるオプトイン群、歩数に関わらずインセンティブのない統制群に分けた。インセンティブの受療率はオプトアウト群で100%に対してオプトイン群では30%であった。しかし、オプトイン群のうちインセンティブをもらった被験者ともらわなかった被験者に歩数の有意な差がみられた。インセンティブを得られるコストのかからない、受動的に得られる場合に多くは反応することが分かった。
運動習慣へアプローチする、ナッジと金銭的報酬を組み合わせた取り組みもあるが、実証し工夫が必要である。
自治体からのワクチン接種や健診については、区報で知ることはできても
いざ自分から申請が必要となると途端にやる気を失う人が多いのではないか。ナッジと金銭的報酬の相補的効果についてはこれまでの実証を元に、または実証を行い行政サービスに工夫して取り入れていくことが望ましいと考えた。