別冊・医学のあゆみ p50-53を読んで

 国民の総医療費は年々増加する中、医療技術の進歩により新しい治療法が次々と発表されている。税金、保険料等の限られた医療財源から捻出する必要があり、新しい治療の費用対効果の検討が行われている。イギリス・フランス・日本での保険医療制度と費用対効果の分析の応用方法が述べられている。

 まず、疾患に対する新たな治療法には増分費用効果比(incremental cost effective ratio 以下ICER)を求め、値が低い場合は効果的であり、また許容値がある。イギリスでは新たな治療法についてICERを算出し、許容範囲であれば保険医療に収載される。重篤な疾患では質調整生存年(quality adjusted life year :QALY)が低くなることを考慮するshortfallを応用し、新治療の許容範囲の閾値を下げる。フランスでは、新治療について企業が費用対効果の分析を行う。保険治療としての価格設定を企業と交渉するために用いられる。日本でも2016年から新治療に対する費用対効果の分析が取り組まれ、2019年には制度化されている。まず企業が費用対効果の分析を行い、結果を国立保健医療科学院や大学のチームが検証、必要に応じて再分析する。保険収載の適応というよりは、新治療や新薬が収載された後、分析結果に応じて価格を設定し直すものである。妥当な方法で行われていくために、診療報酬改定や必要に応じて評価プロセスの見直しと検討を定期的に行うべきと述べている。 
 新薬が出てしばらくすると薬価改定についてアナウンスを受けることがある。処方する立場として、保険収載された治療法や薬剤の価格決定のプロセスを理解すべきと考えた。


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