別冊・医学のあゆみ p46-49を読んで
費用対効果は聞いたことがあるが、医療分野における評価方法は知らなかった。治療ごとに比較する指標と、その課題について知り得た。
費用対効果とは、物事を費用と効果の面を掛け合わせて評価し、比較検討するものである。医療においては複数の治療法を費用と効果の指標を掛け合わせ評価する。費用とはその治療そのものの価格や合併症の治療費などその治療に関連する一連の費用である。効果の指標は生存期間、寛解率などである。治療・薬剤ごとに効果の評価方法や算出方法は異なるため、比較が難しい。そこで、効果を生存期間とQOLをスコア化した効用値を掛け合わせた質調整生存年(quality-adjust life year:QALY)表すことで、様々な治療や新薬の評価に応用できる費用効用分析(cost utility analysis)がある。さらには、従来の治療より費用の高い新治療では、増額分に見合った治療効果の向上がみられるか、増分費用効果比(incremental cost-effectiveness ratio:ICRE)で評価する。
英国では、費用対効果の許容値を算出し、生存率の低い重篤な疾患は、超えてしまうため限度設定を甘くするQALYshortfallという手法を用いている。
新薬に関してはRCTが施行され、長期予後の推測ができることから費用対効用分析が容易だが、健康づくりに関しては具体的な臨床試験は通常施行されず、保険診療とはかぎらないため費用集積に工夫を要する。
健康づくりにおいても費用対効用分析ができるよう、費用・効果の評価方法を編み出していくべきであると述べている。