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(16)合成品デアザフラビンの真実【未承認化合物ですね】

結論)新規化学合成品デアザフラビン(TND1128)は食品(食薬区分)として行政から正式に認められたものではありません。

ここまで調べたことを総合すると、新規の化学合成品であるデアザフラビン(TND1128)は試薬レベルの化合物であり未承認の食品添加物(もしくは医薬品シーズ)に近いものである。

と言えそうです。このことを念頭に安全性試験について述べたいと思います。

もしサプリメント原料が食経験のある素材であれば、それほど厳しい安全性試験は要求されません。基本的にには自主基準のような範囲で「細胞→マウス→ヒト」レベルで実施しておけば問題ないと思います。場合によっては、これらの安全性試験を一切実施せずに製品化もありうるかも知れません。

ですが、食経験のない新規合成化合物(デアザフラビンTND1128)となると話が異なります。
基本的には医薬品もしくは、それに限りなく近いレベルの安全性試験が求められると思います。

医薬品での安全性試験に関しては、非臨床試験(細胞、動物)、臨床試験(ヒト)とに分かれ、基本的には非臨床試験で安全性が担保されてようやく人に対する安全性試験が行われます。

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今回は、非臨床試験(細胞、動物)について考えたいのですが、まずこの試験を実施するには
GLP(Good Laboratory Practice:優良試験所基準)という省令(法律)
に則って実施する必要があります。

考えられる試験内容として

・一般毒性試験(単回投与、反復投与)
・がん原性試験
・抗原性試験
・遺伝毒性試験
・生殖・発生毒性試験
・コアバッテリー試験

などが挙げられ、これらの試験方法はガイドラインによって定められています。
これらの試験は、一度に大量に飲んだ場合・継続的に飲んだ場合の副作用、発がん性、催奇形性、中枢神経、心血管系、呼吸器系への副作用を調べるものなので、デアザフラビンTND1128はできれば全部実施した方が良いと思います。
あと私が試験責任者だったら、デアザフラビンの特性を考慮して「光毒性試験」「薬物相互作用」を追加すると思います。

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これは非常に重要な点ですが、「デアザフラビンTND1128は疎水性=脂溶性」であることが特許の中に示されています。これは、デアザフラビンを連続摂取した際に体内に蓄積性があり、安全性を担保するために一日の摂取上限を決める必要がでてくる可能性があります。

ビタミンを考えると分かるのですが、水溶性のビタミンCは尿から排出されやすいのでこのあたりの制限は基本的にはありません、ですが脂溶性のビタミンAやEは一日の摂取上限が定められています。

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とりあえずネットからの情報では

第三者機関にて安全性試験を実施しており、高い安全性が確認されています。

純度試験(ヒ素、重金属、菌試験)
単回経口投与毒性試験
ヒトでの長期(120日)摂取評価試験
国立大学にて体内動態試験・遺伝毒性試験(Ames試験、小核試験)

とありました。
かなり頑張って安全性検討をされているようです。

ただ、これらに加えて「長期の反復投与(亜急性、慢性)」「催奇形性」「コアバッテリー試験」は実施した方が良いと思います。

現在の安全性情報だけでは、

新規合成化合物であるデアザフラビンTND1128を用いてヒト臨床の安全性試験の実施や製品の販売はまだ難しい

かと思います。

悪くとらえれば、デアザフラビンTND1128のサプリメントとしての安全性はまだ十分に担保されていない。

と思いますが、

前向きにとらえれば、これからの開発メーカーの努力次第ではヒト安全性試験に移行するだけの基礎的な安全性の担保は今後とれる可能性もあります。

現在のところ

「デアザフラビンTND1128は食品のカテゴリーからすると未承認化合物ですね。本当に人の口に入れても大丈夫ですか?」

と言われても仕方ないと思います。

従来の食経験のあるサプリメントと比較したら、安全性に関してはまだまだ不安視されても仕方ありません。

【追記】

とある医薬品原料を開発している会社に「デアザフラビンTND1128のようなものを安全に合成して、ヒトの口に入れても大丈夫となるまで、どのくらいかかりますか?」と問い合わせてみました。

すると

「標題の件、弊社では技術的には問題なく合成することは可能ですが、(中略)レギュレーションの観点から、この合成品を食品分野へ上市することに関しましても、前例の承認状況から推察致しますと、医薬品原料とほぼ同レベルの安全性試験に関する資料を求められますため、製品開発には長い年月と多大な経費を要すると思います。さらに、もし医薬品にするとなると、、、、(後略)」

という返答でした。私の考えていたこととさほど変わらない専門業者さんの意見でした。

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(1) 合成品デアザフラビンの真実

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