(29)合成品デアザフラビンの真実【副作用ある?】
結論)1,000人に2人(0.2%)の確率でデアザフラビン(TND1128)摂取により薬剤性肝障害は発症したと疑われる報告があります。
デアザフラビン(TND1128)の安全性についていろいろ書きましたが、そもそもデアザフラビンに副作用はあるのでしょうか?
「ある臨床医の報告で、約1,000例中に2例ほどの薬物性肝障害を認め、投与を中止したらその障害は回復した。」
とあります。
担当されたお医者さんはとても真剣に患者さんに向き合われて、情報を収集されたと思います。
一方で、この1,000例中2例(0.2%)というのは少ないのでしょうか?多いのでしょうか?
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まず、医薬品の副作用に関する考え方として「リスク・アンド・ベネフィット」というのがあります。これはレギュラトリーサイエンスという学問から生まれた概念です。
つまり、患者さんへの治療の利益(ベネフィット)か、副作用の不利益(リスク)のどちらを優先すべきか。という考え方です。
抗がん剤が良い例ですが、一般の化学療法剤と呼ばれる抗がん剤は、脱毛、臓器障害、免疫低下、体重減少などのさまざな副作用(リスク)があります。
しかし、それでも治療効果(ベネフィット)を期待して抗がん剤を投与する訳です。
つまり、医薬品は基本的に副作用が出るもので、医師も患者さんもそれを了解した上で治療にあたります。
ですが、添付文書に書かれていない予期せぬ副作用が見られた場合は、その程度に応じて厚生労働省に報告されます。すると厚生労働省は、その情報を副作用情報として医療機関にフィードバックする仕組みがあります。
また、重篤な副作用で何らかの被害をこうむった患者さんには、副作用被害者救済制度により一定の(経済的な)保証が受けられることがあります。
いわゆる保険診療は、国が健康保険料を徴収する代わりに、患者さんの副作用というリスクも一定数は引き受ける(保証する)仕組みになっています。
ですから、医薬品の場合は「一定の割合で副作用がある」との前提で販売されています。
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では、食品の場合はどうでしょうか?
食品の場合は、特定の体質の人のアレルギー反応などの場合を除き、
食品は「副作用がない。」ことが前提になります。
例えば、
もしバナナが0.2%の割合で肝障害を誘発したらどうでしょうか?
バナナは毎日何千本も販売されているはずです。なので、毎日誰かがバナナによって肝障害を起こして、国内は混乱してしまうでしょう。
これが、食品添加物や化粧品であればもっと高い基準の安全性が求められます。
毎日世界で何十万本、何百万本と販売されているコーラに0.2%の確率で肝障害が起きたら大変なことになります。
世間を騒がせた紅麴事件は死者5名、健康被害100名以上、問合せ1万2000件以上の大事件でした。
デアザフラビンTND1128で死者が出ないことを祈りますが、0.2%の確率で薬物性肝障害であれば、100名の健康被害などあっという間です。
このような理由で、サプリメントも「副作用がない」というのが大前提です。
ですが、まれに湿疹や胃もたれ程度のことであれば見逃されているようです。
さらに、食品、サプリメントで甚大な副作用が生じた場合は、医薬品のような副作用被害者救済制度が適応されないので、販売者、メーカーへの責任は重くのしかかってしまいます。
おどかす訳ではありませんが、デアザフラビン(TND1128)の服用で肝障害が生じ、たとえ一人でも入院するような事態になれば、場合によってかなりの騒ぎになるかも知れません。
また、サプリメントの副作用を見つけた臨床医はどうしたら良いでしょうか?
医薬品なら厚生労働省への届け出になります。
サプリメントの場合はその制度がハッキリしていないようです。(食品には副作用がないというのが大前提なので)
ですが、必ずメーカーに報告して下さい。紅麴事件は医療機関からメーカーに副作用報告があったにも関わらず、メーカーが調査を怠ったために被害が広がりました。
あまりにも酷い副作用の場合は、食中毒ということで保健所の管轄になるかも知れません。
いずれにしてもサプリメントによると思われる(重大な)副作用を見つけた臨床医の方々はまずメーカーと消費者センターなどの行政への報告をお願いします。
私は「食品で1,000人に2人の肝臓障害の可能性」にはロシアンルーレット並みの恐さを感じました。
【追記】
消費者庁ウエブサイトより
機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供の義務化について
今般、食品衛生法施行規則が改正され、営業者(機能性表示食品の届出者及び特定保健用食品に係る許可を受けた者)は、機能性表示食品又は特定保健用食品による健康被害(医師の診断を受け、当該症状が当該食品又は添加物に起因する又はその疑いがあると診断されたものに限る。)の情報を消費者等から受け付けた場合には、速やかに、当該情報を都道府県知事等への情報提供することが義務化されました。
デアザフラビンは機能性表示食品ではありませんが、医師の診断により健康被害が確認された場合は、すみやかに都道県知事へ届け出が必要ではないかと思います。
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