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自己愛から他者愛へ

自己愛、という言葉が認知され始めてしばらく経つ。それだけ社会問題として、自己愛の問題がウェイトを占めているといえよう。

人は成長過程で、自己愛→他者愛へと移行していくものだが、これに失敗した場合、人は大人になるにつれ、改善し難い「人格障害」というものを併発しやすい。

原因はさまざまだが、先天的には幼少期の家族関係に起因することが多いらしい。後天的にだと、成功して自己誇大感を持ちすぎたり、チヤホヤされたりということに起因したりもする。

「ダメな所も失敗することもカッコ悪い欠点もあるが、自分はこれでいいのだ、価値ある存在なのだ、愛すべき存在なのだ」と心から本気で思えない限りは、いくつになっても自己愛から抜け出せず、他者愛へ移行することができない。

つまり、恋愛しても、家族を持っても、子供を持っても、永遠に自分のことしか愛せないため、何かと上手くいかず対人関係が行き詰まってくるのだ。

もちろん社会においても、組織内で同じことが起きる。他者愛がなければ、部下を育てることができない。例えば自分を脅かす才能や魅力、若さを持った者に対して、マウントせずにはいられないため、虐めたり退職に追い込む。つまり、ハラスメントに依存してしまうのだ。

ハラスメントは、する側もされる側も苦しく
地獄でしかない。する側は「なぜこちらの思い通りにならないのか?察して汲んでくれないのか?」と怒りを感じ、される側は「なぜこの人はこんなに偉そうに、ズケズケと人の不可侵領域に踏み込んで掻き回すのか?」と苛立つ。

これを解決するには他者尊重や他者愛が必須なのだが、後天的に身につけるのが難しいスキルである。幼少期から長い期間を経て得られるものであり、さらに自助努力も必要になるためだ。

誰しも、己と向き合うのはしんどいものだ。だが、成長過程で自分と向き合う努力期間がなければ、いつまでも理由もわからずに苦しむ人生が続く羽目になるのだ。

世の中には、反省ができない人がいる。自分だけが正しい人がいる。「もしかしたら自分が間違っていたのではないか?」という視点がなければ、自己愛段階から抜け出すことはできないだろう。

自己愛の問題が難しいのは、その当人の気づきと努力でしか解決できないからである。他人から「気づけ、直せ」と言われてそう簡単に性格や生き様を転換することはできないのだ。

「ハラスメントが治りにくい」原因は、ここにある。

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