きぬぎぬのひろごり
ぐっと重みが増したかと思うと
直後、ざわめきが肌に感じられた
それは一瞬でどこまでも遠く伝わっていって
空間のはてしないひろごりを暗示していた
そんなことがあるだろうか
音もない
光もないところの
はるかなひろごりを
肌に伝わるざわめきだけで感じとるなどということが
ほんとうにこのざわめきは信じられないほど遠いところまで伝播しているのか
だけど
肌は
たしかに
はるばるとした空間がひとしなみにざわめいていると信じている
盲目で
聾唖の
肌
ざわめきのなかでともによろこび
ふるえている
このあたしの
ちいさな
狭い
肌
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