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バブル時代の不思議な慣例 仕事始めの振袖出社

先日、NHKの朝ドラの「虎に翼」で主人公の義理の娘が銀行勤務のため
新年の仕事始めに着物を着て出社する場面があった。

これを見て「あ!私も」と
証券会社系のシステム開発の会社に勤務していた時のことを思い出した。

仕事始めは独身の女性は振袖で出社して
親会社や証券取引所の関係の人たちの会食があり
振袖を着た女子社員がお酌をする。ってことがあった。



手に職をと考えていた高校時代

私の父親はいわゆる「男尊女卑」だった。
だから、「女は家のことをすれば良い」という考えが強く
子どもに対して厳しいけれど
女の子の私と妹にはかなりの制限をかけていた。

自営業だった父は常々
「女の子は地元の短大に行って、就職は
 家業の事務をして、良い人がいれば結婚すれば良い。」
と言っていた。

4人きょうだいで女二人、男二人だから
弟たちは大学に通わせるけど
女である私と妹は短大で良いという考えだった。

家事の手伝いはもちろん小学生の頃から
やらされていて
とにかく
「女はおとなしく、男に従えば良い」
って感じだった。

そんなだから私が高校1年生のときに
2年生からの理系か文系かの選択のときに
「理系に行きたい。」と言ったら
「女は理系に行く必要が無い。」で大喧嘩。

次の日に顔にあざを作って登校して
同級生に驚かれた。

私はどうしても家を出たかった。
将来結婚するつもりもなく
手に職を得て一人で生きていきたいと思っていた。

なんとかして父も納得する進学先を選択

父は四年制大学行きたいなら地元の国立大学だけしかダメ!
と譲らず

私は進学と同時に家を出たかったから
短大でも専門知識の学べる学校をとにかく探した。

そして情報処理を学べて
就職率も良い短大を発見。

母と戦略を練って半年以上をかけて
父を説得。

学校の寮に入ることを条件に進学が許された。

その当時はまだコンピューターシステムの導入が
始まったばかりで
システムのプログラミングや開発ができれば
絶対に一人でも生きていける!と私は思っていた。

企業でもやっと大型のコンピューターや
ワープロのはしりなどが使われるようになってきた時代だった。

短大での学びは面白く
私の特性にも合っていたと思う。

しかも簿記も学ぶことができ
この学びは今の私につながることとなった。

就職では見えない差別?を体験

数字が好きで情報処理の基礎も学べたので
就職は銀行系のシステム開発の会社を希望していた。

しかし
所属していたゼミの先生や就職相談室?の職員から
「自宅から通勤出ない場合は、銀行系の会社への就職はほぼ無いですよ。」
と言われた。

え?どういうこと?
と、詳しく聞いてみると
「一人暮らしをしている人の方が、金融機関からの信頼が低い。」

え?良く分からない?
「まあ、例えばだけど、男に騙されて不正など行う確率が
 一人暮らしの方が高いと思われているので
 求人票には記載が無いが、基本、銀行系は
 親との同居が条件です。
 コネでもあれば別ですが・・・」
みたいなことを言われた。

なんじゃそれ!
一人暮らしだと生活が乱れるってか?

怒りはあるが
そんなことと戦っても勝ち目はないので
まだ、それほど条件のきつく無かった
証券会社関連のシステム開発の会社を見つけて就職活動をした。

昭和の最後の頃の話。
ちょうどバブルが始まったころ。
この当時でも女性が仕事をするってことのハードルや
差別があったなと。

問題をひも解いていく感じが好きだったシステム開発

希望のシステム開発の会社に就職でき
新しい知識が増えていく毎日が楽しかった。

何より新規の開発より
法改正などによるシステムの修正の仕事が好きだったなあ。

修正の場合は最初にそのシステムの流れを理解したり
何度も修正が入っている場合は、
どのように修正すると上手くいくか調べたり
現行のシステムの考え方を調べたりするのが
楽しかった。

今でも仕事で役立っている
「問題解決能力」や
「現状の調査や問題点の理解」のスキルは
ここで磨かれたと感じている。

その会社では昇進は同期の場合
「男性が先」という慣例はあったものの
女性でも能力があれば認めてくれる雰囲気があったので
そこも仕事が好きになった理由なのかもしれない。

仕事始めの振袖準備

で、やっと本題。

金融機関の場合、1月4日がだいたいお正月の初日の出社日。

9時に出勤する前に
髪を結って、振袖を着付けてもらい
電車に乗って、会社に行く。

今だったら絶対にしたくない。

6時過ぎから準備するわけ。

もともと着物は好きだし
家でもお正月にはウールの着物を小学生の頃から来ていたから
慣れている方だとは思うけど

とにかく、一日が長い!

若いからできたんだよな。

基本、チヤホヤされて
あちこちのテーブルに呼ばれるのは
入社1,2年まで。

今でもあるのかな?

その時はあまり疑問に思わなかったけど
今なら、どうなんだろうね。

私が入社したのは
男女雇用機会均等法が施行されて2年後だったけど
仕事の男女での業務や責任の差は感じていたなあ。





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