WHITE ALUBUM2 感想メモ
ネタバレなし感想
WHITE ALUBUM2ほどエロゲーじゃないと成立しないノベルゲームを知らない。なぜならアニメではセックスを使った表現は十分にできないし、小説では音楽を使えない。エロゲーだからこそ、ノベルゲームだからこそをすべて使った作品だなと思った。
どんな人におすすめ
俺感情無いから系オタク、恋の傷を恋で癒したい人、大学生、あと普通にすべての人類(一定の読解力を要する)
WHITE ALUBUM2には微妙なエンディングが存在しない(2週目前提は除く)。おそらく一番微妙だなと感じたルートであっても、他のノベルゲームにそのルートがあった場合、あのゲームはあれが一番当たりだよねっていうような評価を得ると思う。どのルートでもこの作品らしいキャラクターの心情の揺れや迷いが表現されているし、それぞれのヒロインの対比が素晴らしいとしか言いようがない。しかし一番最初にやるノベルゲームがWHITE ALUBUM2だとWHITE ALUBUM2を探す永遠の旅に出ることになりかねない。しかしノベルゲームはおろか、こと恋愛というジャンルにおいてこの作品をほど直球に、一切のごまかしも妥協もせずに描き切った作品が存在するとは俺には到底考えられない。
そういう意味ではいくつかほかのノベルゲームをプレイした後にこの作品をやってみるのもいいかもしれない。
あと、個人的にはWHITE ALUBUM2のテーマは「決断」だと思う。ほぼすべてのエンディングは春希が決断することで迎える。だからもし人生の岐路に立っていたり、何かに迷っているのであればそういう人にもおすすめできると思う。WHITE ALUBUM2をやっている時間があるのであればだが…(結構長いよ)
ここからネタバレあり(最後までのネタバレありで語るので序章だけ見るの非推奨)
ネタバレあり感想
序章
この作品は3部作で構成されていているが、序章だけで見ても学園物としてすさまじいクオリティがあり、名作中の名作といえる。しかしそれでもWHITE ALUBUM2において、序章は所詮序章で、この作品の本質ではない。だからもしも序章で満足して辞めようとしている輩がいたら俺は手に持っているWHITE ALUBUM2 EXTENDED EDITIONを投げつけるね。
一本道なので感想というか人物考察
序章のかずさについて
基本的に自分に自信がない。なぜ自信がないのかというと子供の頃に親に捨てられたと思っている。だから春希にアプローチをする勇気はないし、小木曽雪菜という黒船がやってきたことでビビり散らす。
WHITE ALUBUM2全編を通してだが2週目以降に分かることも多い。例えば「北原が今日ここに来たのってさ…あたしに話したいことがあったからなのか?それとも…あたしに聞きたいことがあったから…?」とかずさが聞き、これに対して話したいことがあったからと春希が言うと安心する。
1週目段階で考えたときはよくわからなかった。しかし2週目を見て考えると、かずさ視点ではキスしてしまったことで頭いっぱいでなんでキスしたの?と聞かれるのが怖かった。だから話したい事で安心したがまさかの雪菜と付き合う話だった。最終的には逃げるようにウィーンへ行く。
序章の雪菜
自分の好きなものを妥協できない。春希の好きな相手はかずさだと思っている。実は自分に自信がない。作中で3人でいたかったから告白したと水沢に言っているシーンがあるが、個人的には嘘だと思う。というか自分でそう思い込んでいるだけな気がする。春希とかずさがくっついたら自分は一緒にいることができないと思っているのに、春希と自分がくっついた時だけかずさも一緒にいることができるなんていう話は矛盾しているし、そんなことが分からないおバカさんではないと思う(この件に関しては後述)。しかし誰よりも三人でいいたいと思っているのもまた事実。最終的には自分の選択通りにかずさはいなくなり終章につながる。
物語を通してだが雪菜は春希に弱いところを見せない。弱いところを隠し通せるだけの強さがある。もしスタンドが目覚めたら一番強いのは雪菜で間違いない。
序章の春希
あんまり語ることない。どんかん。どんな主人公よりも。雪菜と付き合ったことを報告した後にかずさに「これからも三人でいたい」って言っちゃう。ゴンばりのなかなかヤバめ主人公だなという印象だった。しかし春希をただのクズだとか、浮気者でしかないとかそんな感想を抱く人間がいたら、俺はそいつとうまい酒を飲めないだろうな。俺そもそも酒飲まないけど。
松川君
春希にバンドを誘われるが断る。あの冬馬かずさをピエロ扱いし、歯牙にもかけないすごいやつ。あと少しだけ性格がよければ、春希にバンドの話を持ち掛けられたときに「困ってんなら手伝ってやるよ」とかなんとか声をかけて、WHITE ALUBUM2は春希、雪菜、松川君の三角関係の物語になっていたかもしれない。
終章
攻略順は千晶1→麻里→小春→千晶2→雪菜
基本的にヒロイン3人はメインキャラクター3人を意識したキャラクターになっている
千晶→都合のいい女風で春希にとってめちゃくちゃ都合の悪い雪菜と本当に都合のいい女
小春→人のために行動する人間がから恋愛によって自分のために行動する人間に
麻理→かずさと同じように春希の前からいなくなり、雪菜か麻理かを春希に選択させる
ルート感想の前に終章、最終章での春希考察
春希を一つの尺度で考えようとするのは無理がある。しかし序章から最終章にかけて、春希は基本的に自分のことしか考えていないと思う。しかしそれは自分を守るためではなくむしろ破滅させる方向に向かう(もっとちゃんと言語化するなら、自分の徳のために行動する→× 人のために行動する→× 自分が好きだから人のために行動する→〇 みたいな?一見人のために行動しているが必ず自分がしたいからという欲求を挟んでいる気がする。)
終章ではずっと怖いから雪菜を振ることも向き合うこともしないで3年間を過ごす。そこに雪菜がどう考えるかとかかずさがどう思うかという思考は存在していないような気がする。だから自分を傷つけて問題が解決するのであれば、その結果相手がどう思うかとか考えず行動する。そしてそれは春希のお節介や仕事での行動にも同じことがいえて、春希は自分で正しいと思うことをただ行動し、結果的にそれが他人ためになっているから他人ために行動するやつみたいな勘違いをされていると思う。
本当は雪菜のことをかずさと同じくらい好きで大切にしたいと思っている。(かずさ真で雪菜のために練習した届かない恋をかずさに聞かせようとするも指が動かないことからも春希がかずさと同じくらい雪菜のことを好きなのは間違いない)しかし一度傷つけた過去と同じ状況になったときに同じ行動をしてしまうのではないかと考えていて、傷つけないために距離を置いている。でもそのままの関係で一番傷ついてるのは雪菜で春希もそれには気づいているのに、春希が雪菜とよりを戻さないのはやっぱり春希は雪菜の強さに甘えていて、自分のことしか考えていない最低野郎だからだと思う。問題に切り込むことを恐れていて、そこで起こりうる様々なことから逃げている。
そんな状態を終章のクリスマスではかずさを忘れるという手段で解決しようとする。あほ?雪菜は好きだが、雪菜といたら雪菜の中にいるかずさを思い出してしまうだから好きだけど振れない、けど一緒にいることもできないそんな状況
最終章では、かずさがコンサート後に失踪したときに場所を見つけ出せたが(序章の最後でも春希はかずさを人ごみの中から見つけ出した)、かずさ真で雪菜が失踪したときに場所が分からなかった対比がある。春希は雪菜の強いところしか見えていなくて、かずさの弱いところと雪菜の強いところが好きなんじゃないかなと思う。
ルート感想兼キャラ考察
千晶ルート
千晶1時点での考察
雪菜との対比。雪菜が春希の都合のいい女であろうとしてなれないのに対して、千晶は誰よりも春希にとって都合がいい存在。千晶自身も春希が好きなのでそうなろうとしている。(2で演じていたことが判明)会っていないかずさの再限度が高すぎるのはそれだけ春希の中にいるかずさがでかいから?(それ+演劇の天才であることが2で判明)
千晶ルート1における春希のその後については予想がかなり難しい。最後に春希は雪菜と向き合うことを決めるが結局はそうせざるを得ない状態になったからそうしただけに思える。つまり外部環境がまた変われば、例えばかずさに何かの拍子で会ったり、千晶の気が変わって春希の前に現れたりしたら春希はまた揺らいで、結局楽な方(自分を傷つける方)に行くんじゃないかと思う。傷はふさいでもらったが根本的な解決はしていないので本当に予想がつかない。ある意味最初にやるルートとしては正解だったと思う。
ここから千晶2
演劇のためにすべてを尽くす女だと判明。かずさの演技がうますぎたのはそういうことね・・・パクリ…もといノンフィクション劇を作るために春希と接触していた。
春希を底から理解している雪菜と理解できない千晶の対比も描かれている。
最後には作った雪菜ではなく、自分を舞台で出すことで雪菜を完璧に演じる。美しいね。
小春ルート
春希との対比。春希は自分のことだけを考えて行動するが、小春は相手のことだけを考えて行動している気がする。初詣に行ったときに春希が元気になることを神様に祈ったことを春希に直接伝えるシーン、もし小春が自分のことだけを考えているなら恥ずかしくてそんなことはできないんじゃないかなと思った。矢田と話し合うシーンでも春希のプライベートのことを聞かれたときに、自分のことを考えるなら春希のように嘘をつくと思う(そうすれば矢田と仲良くしたまま春希とも関係を持てる)が、実際には春希をかばった。
相手のことだけを考えて行動するということはどの相手に肩入れするのかということでもあり、物語序盤では親友の矢田に肩入れしていたが次第に春希に肩入れすることになる。(でもこれも小春が自分のことだけを考えて行動する場合も矢田よりも春希を好きになったから春希に尽くす行動をしだしたという解釈もできる。まあどちらにせよ春希を意識したキャラクターだと思う。)
だんだんと小春は自分のことだけを考えて行動するようになる。(雪菜のメール消したり)そういうところを見ていると春希も序章の前では小春と同じように相手のことを考えて行動する人だったのかなあと思った。
最後の雪菜が笑って春希を送り出して、泣いて小春を送り出すシーンは泣いた。ここで気づいたけど春希より雪菜に感情移入しながら読んでいる気がする
あと話の相槌で好きとか大好きって言うのは小春さんや。さすがに破壊力高すぎやしないか?
麻里ルート
事情を話さないでセックス(レイプ)したせいでとんでもなく面倒なことになる。事情を知らない麻理はその年もあり結婚のことまで考えてさあ大変。デレデレの麻理さんかわいいけど事情を知ってるからひえっってなった。雪菜に麻理との関係をすべて話して答えを出そうとするも、雪菜からは逃げられ、そして麻理に逃げるたびに麻理はその気になっていき、セックスするたびに事態が複雑になっていくのが面白いね。
雪菜から土曜に会おうって言われ、春希がいいよって返信しようとするときに、麻理から求められてメッセージを日曜にって変えるシーン。たいていの人は春希何してんだ!ってなる。こういったシーンはWHITE ALUBUM2を通して結構あるが、これが作品への怒りじゃなくて、あくまで春希への怒りになるのは、作中でこの問題を先送りにして二人をキープする行為が雪菜にも麻理にも失礼なことであるとちゃんと描かれているからだと思う。よくわからない倫理観で主人公を正当化するのではなく、春希が表面上だけ爽やかなクズであることがしっかり描かれているのがこの作品のすごいところなんじゃないかなと思った。
最後まで自分から雪菜をふらない春希に正直ちょっと不満はある。でも何も自分で選択しない春希が最後にアメリカで暮らすことを選択したのは悪くない
雪菜ルート
自分の好きなものを妥協しない雪菜が歌を嫌いって言ったりかずさの代わりでいいって言ったりしているのがもう病んでいることがよくわかる。
ず っと春希から春希から逃げてきた雪菜と雪菜から逃げてきた春希、二人が向き合うことで終章はエンディング。しかし他ヒロインと違い、春希、雪菜の関係を語るにはかずさも一緒に語る必要があり、結局そこには結論を出せていないので最終章につながる。
最終章
攻略ルート
雪菜真→かずさノーマル→雪菜ノーマル→かずさ真
なんにも調べずに自分の選択でやっていたら雪菜真エンディングになっちゃった。でも個人的にはかずさ真エンディングを最後にやるのも趣があったかな。あと最終章は終始かずさの弱さと雪菜の強さが描かれていて、それぞれの選択によってかなり違う結末にたどり着くのも面白いね。
かずさノーマル
かずさルートではコンサート中に雪菜とセックスする。かずさを想ってセックスしたことに雪菜は気づいているが、2年前に同じ状況で拒否したトラウマからか拒否できない。初めて雪菜の弱さが描かれたシーンのような気もする。まあ自分以外の女想われながらセックスすることを許容するってそれはそれで強すぎる気もするけどそれだけ弱っている状況。
基本的にかずさルートでは徹底的にかずさの弱さが描かれる。雪菜真で判明した、本音を書いたメールを選ばれた後まで春希に見せない雪菜の強さと告白する前にボイスレコーダーに本音を言ってしまうかずさの弱さの対比が素晴らしい…
かずさノーマルで浮気相手になるかずさだがそれも弱い、当然本命になりたいが、浮気相手になる分には自分の気持ちを押し殺すだけでいい、しかし本命になろうとすれば振られるリスクがあるから踏み込めない。
そして春希が決断しない限りは事態は好転しない。かずさノーマルでは最後までかずさを振らず雪菜も振らず最後かずさは春希の前から姿を消す。
かずさ真
雪菜はかずさよりも春希>3人が強い気がする。かずさルートでは春希に振られた後も3人でいることを提案するが、3人でいたいからではなく春希といる手段として3人でいることを許容できる。春希がかずさを向いていても嫉妬はするが、春希といるためなら我慢できる。
しかしかずさは春希>3人だが、春希と一緒にいても春希が雪菜の方を向いていることを許容できない(雪菜ルート以外)だから3人でいるくらいなら春希と一緒にいることを選ばない(かずさノーマル)春希が雪菜含めてかずさに都合の悪い人を捨てる決断をしてくれない限り春希と一緒にいることができない
でも雪菜は春希のために他の物を捨てることができないし、かずさはピアノすら捨てられるつまりどっちもどっちか
事故る直前まで春希を振り向かせようと、壊れてみたり、かずさにちょっかいをかけてみたりしていたのに、いざ本当に二人から心配されるような状況(事故)になった途端に二人がコンサートもこれからの未来もなげうって自分のところに来ることを察して、壊れたふりで事故ったことを隠し通す雪菜の強すぎるやさしさにかずさ真で春希が雪菜と一緒にいられない理由が詰まっていて泣ける。
これが序章で雪菜も春希>3人の根拠につながるが、やはり自分が春希とくっついたときに序章の結末になることを想像できないような子じゃないとワシは思うね。あれから成長したからという解釈もできるが、どちらかというと雪菜の成長を見ることができるのは雪菜真の本当に3人でいる方法を選べる雪菜で、こっちの雪菜は雪菜も気づいていない雪菜の本質が出ただけなんじゃないかと思う。
最後のかずさが手を壊す→壊さない 雪菜が事故で死ぬ?→死なない 雪菜が春希と別れた後に寒空の中で倒れて死ぬ?→死なないの怒涛の思わせぶり3連打はちょっと面白かった。
雪菜真(ノーマルはあんま語ることない)
今度こそ決着をつけて自分を選んでほしい。好きなものを妥協できないから春希がかずさから逃げて自分のところに来ることを許せない→序章の頃よりも強くなったことで3人か、春希かをを選ぶ序章から3人でいるという無理難題も行けると思えるようになった。序章ではかずさとの直接対決を避けていた雪菜だが、とうとうかずさのキャットファイトを通して女の友情を取り戻し、春希を勝ち取った。
さらにはずっと謎だった春希の家族問題にも永遠を誓ったことで踏み込む。最後には春希も母親との因縁に決着をつける決意をする。春希が親問題と決着をつけるのは弱さを補い合うかずさじゃなくて強さを共有できる雪菜とだからこそ可能っていうのもいい。
ちなみに作品を通して自分が泣いたシーンは2つで、雪菜が笑って春希を送り出し、泣いて小春を送り出すシーンと雪菜が事故ったことを隠していることが判明したシーン。分かりやすく雪菜の強さをさが出ているシーンで泣いてるね…
さいごに
本当に面白かった。もし感想だけだとこの一文で終わってしまうので感想メモとか書いておきながらほぼ考察メモになってしまった。この作品のすべてを考察できた気はしないが、(特に春希の感情についての考察は少し浅いものになってしまった気がする)まあ大学授業であれば優はもらえるくらいに書いたので今回はこの辺で。また随時編集して書き直していきます。
長々とあんまりまとまっていない文章書いちゃったけど最後まで読んでくれてありがとね。