Blue Oyster Cult 70年代~80年代音源の感想

 Blue Oyster Cult、皆さんお好きですか?というか聞いたことありますか?
サバスに対するアメリカからの回答とか、初期Heavy Metalの大御所的な言われ方をしつつも、なんかあんまり日本でファンが多くないような気がするんですよね。来日もしてないですし…..
 ゴジラの曲だけ聞いたことがある!とか映画でDon't Fear The Reaperだけ聞いたことがある!みたいな人も多いかもしれません。
 個人的に、このバンドって実はめちゃくちゃ日本のメタルファンに刺さりそうなアルバムを何枚かリリースしてると思うんですが、なぜか日本でそこまでなのは、結構作品ごと、下手したらアルバムの中でも毛色が違うのが大きいのかな….とか思っています。
 僕自身は非常に好きなバンドで、先日自分の中で何度目かのBOC大ブームが訪れてアルバムを聞きまくっていたので、その際の感想をつづってみます。

Blue Oyster Cult (1971)

記念すべきファーストアルバム....なんだけど、正直一番印象は薄いかも。

理由はいくつかあって、例えば1曲目は早々に2ndアルバムで再録され、
あまりにもそちらが完璧にかっこよすぎたり....みたいな....

抒情的なB面は中々趣深いし、疾走感のStairway To The Starsは文句なしに名曲だと思う。
正直あまりにも次作がかっこよすぎるので….みたいなところはあるけど、例えばもし仮にこのアルバムだけで解散していたとしたら、普通にカルトハードロックバンドの名盤、みたいな感じでカケレコとかで扱われていた気がする….

Tyranny And Mutation (1973)


ここにきて一気にヘヴィネスを増した作品。彼らの中で一番"ヘヴィーメタル"していると思う。
サバスやツェッペリンが好きな人には一番刺さりそうなアルバム。

個人的にもめちゃくちゃ好きで、特に疾走感とヘヴィネスですべてをなぎ倒してしまいそうなA面が完璧すぎる....

速射砲のように連射されるリフがスラッシュメタルもびっくりの1曲目、そこにキャッチーさも加わったHot Rails To Hellも良いし、
ヘヴィーなリフが素敵な7Screaming Diz-Bustersも良い...

全作と同じくB面は結構抒情サイドみたいになるけど、こちらもさらに完成度を増している気がする。

あと、このバンドが持っていた、ほかのハードロック系バンドとの違いとして個人的に思っている部分なんですけど、
このバンド、地味にほんのり演奏にジャズっぽさ感じることが無いですか....?

特にアップテンポな曲なんですけど、ハードロックというよりはバップ的なのをめっちゃハードに演奏しているというか.....
その辺が地味に個性的だなと思う。

次作以降は抒情面やメロディーを強め、キーボードの割合もかなり増えるので、ギターがギンギンでヘヴィーメタル前夜なゴリゴリのBOCを聞きたいならこれが一番かなと思う次第....

Secret Treaties (1974)

個人的に一番好きなのはやっぱりこれかなぁ....BOCを一枚だけ選べって言われたらこれになるかも....

前作と同じくA面がアップテンポなハードロックでB面が抒情サイド的な構成になっているけど、
変化としてはかなりキーボードの登場するシーンが増えていているかなという感じで、
ガツンと来るヘヴィーな感じという面では前作の方が普通に上だと思う。

そんなわけで昔は正直A面はやや地味だなと感じていたりしたのだけど、
改めて聞くと、前作で感じたほんのりジャズっぽい演奏がキーボードがかなり前に出ることによって、
さらに面白さが増しているように感じられた。

そしてやっぱりなんといってもこのアルバムはB面ですよね、キーボードの使い方もうまくなったおかげで、
抒情的な楽曲のドラマティックさが増しましになっており、特にラストの2曲は完璧で...

こんな完璧なクライマックスを迎えるハードロックアルバム、ほかにないよ....

Agents Of Fortune (1976)

ライブ盤を挟んでの4枚目アルバム。

彼らの一番有名なアルバムってこれなんだろうか、少なくとも一番有名な曲はこれに収録されてるDon't Fear The Reaperですよね。

正直このアルバムは全体を通しての良さがわかるまで結構時間がかかったかも...

なぜなら、Reaperが超抒情的なキラー曲なのに対して、ほかの曲がやや明るくてキャッチーな感じだから。

この落差が個人的にはあんまり受け入れることが出来なかった....が、改めて聞くと曲のクオリティーは当然高い。

でもやっぱりな~全体としては個人的な好みからはややそれてるんだよな,...
でもDon't Fear The Reaperは超好きだよ、この矛盾、助けてくれ....みたいなアルバム。

Spectres (1977)

個人的に前作は某曲を除くと全体としては明るめの印象だったけど、こちらそんな曲もありながら、
暗くて怪しい曲も入ってる印象で非常に好き。

1曲目のゴジラは多分彼らで2番目に有名な曲....?

前作くらいから結構一般的なハードロックから距離を置こうとしている感じがあるんですが、この作品はさらにその傾向が強いというか、次作で見せるAORっぽさ?への布石みたいな感じもありますね。

楽曲のバリエーションも豊富で面白いアルバムだと思う。

特筆すべきはやはりラストの2曲で、両方バラードチックではあるんだけど、特にNosferatuはめちゃ妖艶な雰囲気で素晴らしい....
ゴシックメタル系がカバーしたら面白いんじゃないかな。

Mirrors (1979)

多分一番印象薄いかも....おそらくバンド史上一番軽めなサウンドのアルバムだと思う。
どの曲も良く聞くと非常によくできたポップサウンドなんだけど、
明るめの雰囲気が支配的なこともあり、自分の好みからそれており、
どうしても最後まであまり引っかからずに気が付いたらさらっと終わってしまう。

でもIn Theeとかはさすがにいい曲だなぁ...あとラストのLonely Teardropsも良い。とはいえIn TheeもBOCという名義でやられると….みたいなのも少なからずあるな…..めちゃくちゃいい曲なんですけどね……

Cultulsaulus (1980)

前作からだいぶハードな路線に振り戻しが行われたアルバム、ということなんだけど割とこのアルバムも印象が薄い....
ジャケもそうだし、だいぶハードロック路線なんですけど、ちょっと明るめの曲調に支配されているんですよね。

Black Bladeはかっこいいと思う。

ただ、自分自身が暗い曲が好きマンなので、前作MirrorsとこのアルバムはあまりBOC特有の暗いロマンシズムが感じられなくて、
どうしても印象が薄くなってしまう。

Fire Of Unknown Origin (1981)

ire Of Unknown Origin (1981)

個人的に会心のアルバム、コンパクト且つキャッチーにまとまりつつ、BOC特有のオカルト感があって素晴らしいし、
何より大半がマイナーキーの暗い曲で個人的に最高。

ただ、めちゃんこキーボードが使用されており、この後のアルバムが結構ポップすぎるなんて言われることもあるらしいけど、
実のところこのアルバムとは根本は変わらないのでは....という印象もある。

とにかく純粋にいい曲、いいメロディーだらけのアルバムだなぁという印象。
初期みたいにギターギンギンのハードロック!!ではないけど、キーボードの使い方が上手い都会的でメロディアスなサウンドで、メロディー派の80年代メタルファンなら多分一番最初に聞くべきBOCのアルバムはこれな気がする。

やっぱりこう、個人的にはBOCの薄暗いロマンシズムが好きなので、ここ数作で中々感じられなかったものがこのアルバムには満ち溢れていて最高ですね。

The Revölution By Night (1983)

前作から更にめちゃくちゃ洗練された、ポップでキャッチーなハードロック。

若干オカルト感は薄れてきた気がするけど、ちゃんと意外と前作以上にヘヴィーさもあるので純粋にハードロックとしてかっこいい。

TreatがカバーしたEyes On Fireはもはやメロハーの名曲。

80年代メタルが好きな人がBOCに手を出すなら、多分前作か今作が一番なじめるだろうなぁとおもう。


Club Ninja (1985)

2ndで早くもヘヴィーさを極めてしまったBOCはだんだんとポップさ、メロディアスさを推し進めていたと思うんだけど、
その完成形がこのアルバムな気がしている。

あんまり評価が高くないっぽいアルバムで(Rate Your Musicでは3点台を切ってる、ひどい)、まあそれはやっぱり非常にポップなのと、
重要なオリメンがいないとかその辺なんだろうけど、実際のところサウンドはめちゃ良い。
(Rate Your Musicってポップ化進んだアルバム基本嫌いだよね、カス?)

非常に洗練されたポップサウンドはあまりこのバンドらしくない、という意見もあるかもだけど、そのあまりの曲の良さはやっぱり素晴らしいし、なんだかんだ言ってこのバンド独特の引っ掛かりというか、毒っ気みたいなものはちゃんとある気がするので、ただのハードポップには全然終わっていない。
 というか正直そこまで作曲の根本は、例えばFire Of Unknown Originとかと変わっていない気がする。
暗くて抒情的なハードロック。

とりあえず1曲目のWhite Flagの時点で、ドラマティックな楽曲に心を奪われる。

ややKeyの登場頻度は多いかもしれないけど、ほかの曲も素晴らしく、
特にPerfect Walterは完璧な楽曲だと思う。

単純に歌が素晴らしいが、ラストのギターソロは圧巻で、これはBOCのベストギターソロなのでは....

Keyが活躍する頻度が多いので何となくプログレハードっぽい感じもあるかもで、
ラストでピアノも活躍する重厚な楽曲で終わるので、聴いた後の満足度も高い。

とにかくメロディー派のメタラー、特に哀愁のメロハーがお好きな人はこのアルバムだけでもいいので聞いてみてほしいでつね….特にPerfect Walterは究極のメロハー名曲ですよ….

Imaginos


解散前の最終作。

2ndの次にヘヴィーなアルバム、いやもしかしたら普通にBOCとして一番ヘヴィーメタルなアルバムかもしれない。

ほとんどの楽曲においてかなりヘヴィーなリフ、重厚なメロディー、ドラマティックな展開に彩られている。

ずっとBOCはキャッチーなサウンドを目指していたように思えるけど、ここではそれが抑えているというよりは、
ドラマティックな方向でのメロディーとして発散できているように思える。

それでいて初期のオカルト感というか、怪しい雰囲気もたんまりで素晴らしい....

後続のメタルバンドに逆に影響を受けてしまったようなサウンドには古くからのファンは戸惑ってしまうかもしれないけど、
ロックっぽさ、オカルト感のある怪しさなど彼ら特有の個性も非常に強いので、いいアルバムだと思う。

ただ、3rdアルバムの超名曲、Astoronomyの再録は....序盤はかっこいいんだけど後半のアレンジはさすがに原曲の方がかっこいいかな...みたいなところはあるかも。

まあでもあれは原曲のマジックが異常だからな.....メタリカのカバーとか全然よくないし.....


というわけで、Blue Oyster Cultの解散前までの作品の全作品につらつらと無駄な感想をつづってみました。

多分70年代ハードロックを聞きたいなら2ndか3rd、メタルファンならFire Of Unknown Originから4作くらいならどれを聞いても良い反応が得られそう、というの僕の個人的な印象です。

改めて聞きなおして思ったのは、このバンドって全然サバスへの回答!って感じのサウンドではないですよね、ドゥーム的な重たさを見せたことってほとんどないんじゃ….
ゴリゴリのハードロックだった初期もなんならちょっとジャズっぽい軽快さすらある感じでしたしね。
一つ言えるのは、サバスとはまた少し違うオカルト感ある怪しさ、みたいなのはあると思いますし、それがこのバンドの魅力ですよね。
これが無かったら中期以降はただのポップなバンドだったかもしれないんですが、そこで終わらない怪しさが常にあるのがやっぱりかっこいい….

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