今話題の「過料」とは?

特措法の改正で、時短命令を守らなかった飲食店や入院を拒否した患者に対し、「懲役」を科すとの点は撤回され、「過料」を科すことで合意されたそうですね。

「過料」とは何か。

これは、行政上の秩序罰、すなわち行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰です。

刑法や刑事訴訟法の規定はありません。国の法律違反に対する秩序罰については、過料に処せられるべき者の住所地の地方裁判所において科されます。非訟事件手続法の規定(119~122条)によって科されます。事実の認定手続などは、刑事裁判より断然簡素になっています。

※「行政刑罰」では、ありません。「行政刑罰」も「行政上の秩序罰」も、いずれも広くは「行政罰」に含まれますが、行政刑罰は、原則として刑法や刑事訴訟法の適用があります。

他方、「懲役」も含まれる「刑罰」(ないし「刑事罰」)は、犯罪に対する反作用、つまり、罪を犯した者に対して科される制裁です。刑罰には、非難という特別の意味が込められています
「罰金」「科料」などは、「刑罰」です。

「懲役」規定ではなく「過料」規定とすることにより、入院拒否や時短拒否を、非難されるべき「犯罪」とまではいえない、「義務違反」に位置付けたということになります。犯罪ではないので、前科がつくことにはなりません。刑法等の適用がないので、労役場留置などもありません。
その反面、「過料」と「刑事罰」は別物、ということで、併科も可能です。

疑問点等ありましたら、適宜お待ちしています。

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