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【海外登山ネパール】Naar Phu渓谷とアンナプルナ山域テント泊21日間の旅③
Junam Goth - Kyang (3820m)
今朝も素晴らしい晴天。
次の目的地である Kyang へは2時間ほどの短い道のり。
こういう日は出発もゆっくりで良いので、いつもはダイニングテントで食べる朝食ですが、外にテーブルと椅子を運び出しピサンピークを眺めながら皆で朝食をとることにしました。
横にいるピーターが「これが人生やなぁ。最高やな」と感慨深げにつぶやきます。
こうして山景色を見ながらゆったりと朝の時間、コーヒーをいただく幸せ。
私の朝は、洗濯機を回しながら子供たちのお弁当をシャシャッと作り、その間に猫の餌をあげ、末っ子が起きて学校に行く用意をしているかの確認。
そして、回し終わった洗濯機から洗濯物を出して庭に干しに行き、そのついでにリサイクルごみの分別…等々。
慌ただしく時間が過ぎていきます。
巷では『幸せすぎて怖くなる』とよく言われますが、その感覚にも似て『コーヒーを淹れてもらい、山を見ながらいただく』ことが私には贅沢すぎて、「幸せすぎて、バチあたりそう」と思ってしまうのでした。
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後方はキッチンテント
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Kyang (3820m) - Phu (4080m)
今日の目的地である Phu への道のりは、岩山の景色がメインとなり、昨年訪れたラダック登山で見た景色とものすごく似ていると感じました。
今日も出発時こそ一緒に歩いていたものの、いつものようにピーターは颯爽と、スピード感に溢れた歩きです。
彼の姿はあっという間に小さくなり、かろうじて遥か遠く、彼の真っ赤なザックと真っ赤なTシャツ、オレンジ色のズボンが茶色い山肌の中にポツンと赤い点のように見えました。
しばらく歩いていると、向こう側から女性とガイドさん、ポーターの方がこちらに向かって歩いて来ています。
女性は可愛らしい小柄な女性で、すれ違いざまに「日本の方ですか?」とお互いが同時に言葉を発しました。
その女性は名古屋から2週間ほどの休暇を利用してトレッキングに来ておられるとのこと。
日本語で話せる嬉しさを再認識し、「これからの道中、お気をつけて」とお別れしました。
何故そうしたのかはわからないのですが、歩き出してからも3人の姿が見えなくなるまで何度も振り返っては「さようなら、お気をつけて」と心の中で呟いていました。
キャンプ地の片付けやロバの荷造りのため、私たちより遅れて出発したパサンが追い付いてきてくれました。
説明が難しいのですが、彼が歩く時。
まったく足音がしないので、後ろを歩いている気配が感じられず「ふっと何気に後ろを向いたら、いつの間にか彼がすぐ後ろを歩いている!」という場面が多々あり、びっくりしいの私はいつもドキッと心臓が縮まる思いを何度もしてきました。
話が脱線してしまいましたが、しばらく歩くと右方向に私たちが登るはずだったピーク2が見えてきました。
彼はピーク2を指さしながら、ベースキャンプ予定地や頂上までのルートを説明してくれます。
こうして実際、ピーク2を見て予定していたルートなどの話を聞いていると「やっぱり登りたかったな…」と残念な気持ちになるのと同時に、その急峻なルートを見て「私の風邪をこじらせた今の体調では登頂は無理だったかもしれないな…」といろんな思いが浮かんでは消え、また浮かんでは消えを繰り返していました。
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まるで岩肌に溶け込むように造られた家々
Phu で高所順応
今日の目的地である Phu に無事到着。
「遠くまで来たなぁ」と実感が湧いてきます。
Phu は想像していたよりこじんまりとした印象。
2011年の統計によると36世帯、人口176人の人々が暮らしているとのことでした。
標高4000m地点。
高所順応の良い機会ということで高台にあるゴンパまで歩き、村を散策することに。
風邪を引きこんでからは鼻呼吸がしずらくなり、テントで休んでいようかなと思いましたが、はるばるここまで来て、なんだかもったいないような気持ちになり皆と一緒に出かけることにしました。
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左下あたりに私たちの黄色いテントが小さく見えます
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階段を上がると同時に呼吸も荒く心拍数が上がるのを感じます。
標高5000m地点に行くまでに、早く風邪が治りますように…と呟きながらテントへと下って行きました。