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Criacao Shinjuku Procriar “真の豊かさ”を届ける第一歩。決戦での勝利は東京制覇への序章に過ぎない。|東京都リーグ2部1ブロック第9節 試合結果

⚫︎筆者:佐々木(#6)

●試合結果
Criacao Shinjuku Procriar 1(1-0.0-0) 0 FC
PHOENIX

●得点者
5分   Procriar 大和田歩夢(#77)

入場セレモニー

東京制覇。その目標を達成するためにも、今シーズンでの1部昇格は成し遂げなくてはならない至上命題。

プロクリアル史上初の集中集客試合となった一戦は、互いにリーグ戦全勝で迎える大一番となった。

相手は港区に拠点を構えるFC PHOENIX
2シーズン連続でリーグ戦を4位で終え、今シーズンこそはと昇格に向けて息を巻いているチームだ。

互いにこの一戦を盛り上げようと、およそ一か月前から集客やイベント設計を行ったことで、当日はおよそ250名の観客が集まった。
入場時にはアンセムが流れ、エスコートキッズもいる都リーグ2部とは思えない、ただならぬ雰囲気の中でキックオフを迎えた。

プロクリがスタメンに揃えたのは現時点でのベストメンバー。ベンチにも怪我から復帰した小坂を加え、大一番を迎える陣容は整った。

PHOENIXは戦術的にも技術的にも非常に洗練された相手。今シーズン対峙してきたリーグ戦の相手の中では一つレベルが上がってくることは予想していた。
入念なスカウティングを行い相手のやりたいことを分析した上で、自分たちの戦い方を整理しゲームに臨んだ。

その成果もあったか、キックオフの笛と共にプロクリが試合のペースを握る。
ローテンポでの試合の入りをしてくると予想していた通り、PHOENIXがまずはゆっくりとゲームのペースを握ろうとする中で、ここまで磨いてきたハイプレスとトランジションの強度で相手を上回る瞬間を作ることで、プロクリの攻撃ターンが徐々に増える。

迎えた前半5分。
#17中山 が相手の一瞬の隙を突きペナルティエリア内でドリブル突破を図る。たまらず相手DFがファウルを犯し、PKの判定。
ゲームの主導権を握るためにも貴重な先制点を奪うチャンスを迎える。

この日も中山はドリブルで躍動

キッカーは#77大和田
ここまで文字通り結果でチームを引っ張る男が、この日も豪快にPKを蹴り込み、プロクリが先制。
待望の先制点を最高の時間帯に上げることに成功する。

ゴールを決めた大和田を待つベンチメンバー

ここから大量得点を重ねてきたのが今季のプロクリアル。
しかし、今日の相手は違った。

出会い頭の先制点献上にも焦ることはなく、自分たちが標榜するフットボールを貫く姿勢を見せる。

すると徐々にペースはPHOENIXへ。
相手の自陣に引き込むビルドアップから、前線の3枚をターゲットとした意図的な攻撃を仕掛け、何度かプレスをひっくり返すシーンを作り出す。

プロクリの頼れる守護神 公文翔

しかし、ここは今季ここまで1失点と鉄壁を誇るプロクリの守備陣。GK #12公文 を筆頭にCBの#14滝澤 #2近藤 #6佐々木 が集中した守備を見せ、危険なシーンを作らせない。

試合前ミーティングではプレスバックの重要性を提示していたが、Wボランチの#7若杉 #5吉田 が持ち前の予測と運動量で素早くセカンドボールを回収する。

プロクリはボール保持時には相手WBの背後を積極的に狙うシーンが目立つ。
攻撃時のフリーランニングは今シーズン磨いてきた形。両WBの#20野沢 #18西川 が裏への抜け出しから鋭いクロスでチャンスを創出する。

WBのランニングを相手が警戒してきたタイミングで今度はCB前のスペースを#17中山 #77大和田 #10奥野 が活用。
特に奥野と大和田を相手は捕まえきれず、逆を突いてターンなど非凡なスキルを見せ、相手のプレスを打開していく。

この日セットプレーでチャンスを演出した奥野
大和田は持ち前の技術と運動量で躍動

前半は一進一退の攻防が続くなか、ボール保持率は若干PHOENIXが上回り終了の笛。

勝負は45分間の後半戦に委ねられた。
ハーフタイムにプロクリの選手は個々人が積極的な議論を見せ、後半に向けた戦い方を整理。
特に相手CBとボランチに対してのプレスの角度とタイミングを修正し後半に臨んだ。

後半立ち上がり、まずチャンスを作ったのはPHOENIX。
ペナルティエリア付近でのFKからドンピシャのヘディングでゴールを脅かすが、ここはGKの公文の正面。この日の公文は相手シュートを全てキャッチするほどの余裕を見せる安定っぷり。

相手にボールを持たれても、後ろが簡単に崩れないのが今季のプロクリアル。相手の攻撃を難なく跳ね返し続ける。

ボール保持時には左右への揺さぶりを見せ、相手を動かすことを意識。とは言え、なかなか良い形を作ることができず、構えた相手に突っ込んで行っては跳ね返されるシーンが何度かあったのは今後に向けた明確な課題だ。

膠着したゲーム展開の中、足を攣った#18西川 を#13小椋 に変え、ペースを落とすことなく後半の給水タイムを迎える。しかし、ここからもう一段ギアを上げようと息巻いたプロクリをアクシデントが襲う。

この日も集中した守備から幾度となく相手のボールを奪い攻撃の起点となっていた副主将の#6佐々木 が、ボール奪取から相手の逆を突いてハーフスペースへパスを送り込む。しかしここは相手の守備の出足が良くカットされてしまう。しかしここでプレーを切らさないのが#6佐々木 の特徴。トラップ際にスライディングを見舞う。ボールをカットし、攻撃へと繋がったかに思えた瞬間、レフェリーの激しいホイッスル。
胸元からは無情にも赤色のカードが提示された。スライディングの残り足が相手DFの脛辺りにヒットしてしまい、危険なプレーと捉えられたことによる判定。紙一重のプレーではあったが、納得はできる判定。ロスタイムを含めたおよそ20分間をプロクリは10人で戦うことを余儀なくされる。

守備で身体を張っていた佐々木が退場

このタイミングでプロクリはメンバーチェンジ
#17中山 を#9鈴木 へと変更。
フォーメーションを4-4-1へと変更し、後方に4-4のブロックを構えた守備へと移行する。

PHOENIXは数的優位を活かしボールを運ぶ。
WBの幅を利用したサイドへの揺さぶりから中央への仕掛けでチャンスを作り出す。
迎えた後半35分、相手WBの積極的なドリブル突破から#20野沢 がPKを献上。アグレッシブな守備が持ち味だが、この瞬間はそれが裏目に出る形となってしまった。

歓喜に沸くPHOENIXイレブンとそのサポーター。しかしまだ失点したわけではない。絶望的な状況ではあるが、PKを止めさえすれば失点は防げる。

立ちはだかるのはプロクリの守護神#1公文 この日も再三のファインセーブを見せていた彼ならやってくれるだろう。そう期待していたプロクリのサポーターも多かったはずだ。

ホイッスルが鳴り、蹴り込まれたボールはゴール中央やや左へ。次の瞬間、公文の長い脚が伸びてシュートをブロック。貴重な貴重なPKセーブを守護神がして見せた。

公文の奮闘もあり、集中力を一段と増すプロクリイレブン。

ここから魅せ場を作ったのは途中投入の最年長#13小椋 。相手を飛び込ませてのドリブル突破でボールを運び、およそ30メートルを独走。最後は無理をせず相手に当ててマイボールにする落ち着きっぷり。焦るチームを落ち着かせる、決して派手ではないがチームを救うナイスプレーにスタンドは今日1番の盛り上がり。特に夢半ばでチームを去ったOB達は小椋のプレーに心動かされたことだろう。

ベテランの落ち着きを見せる最年長小椋

試合終了の笛が鳴るまで、ピッチ上の選手達は集中を切らさず身体を張る。ベンチメンバー、ベンチ外のメンバー、OBを筆頭とした観客達は声でチームを鼓舞する。
まさに“闘う・走る・声を出す”を全員が体現していた瞬間だった。

5分という長いアディショナルタイムでも、相手にチャンスというチャンスを作らせず耐えたプロクリイレブン。
キャプテン若杉のクリアで試合終了の笛が鳴る。

怒号のような歓声がピッチ上にこだまする。
耐えて耐えて耐えて全員で掴んだ勝ち点3。
今日の勝利を忘れることはないだろう。

試合後には応援に駆けつけたおよそ100名のプロクリサポーターに向けて、若杉から以下のような言葉があった。

「僕たちは、サッカーを通じて“真の豊かさ”を届けていきたい。豊かさを届けることができる存在になれるように引き続き頑張っていく」

今日の会場に足を運んでくれた方々はほとんどがプロクリの試合を初観戦する方々であった。
その人達にどのような感情を持たせることができただろうか。
心を震わす、そんなプレーができただろうか。
少なくとも、今日のプロクリはそれが体現できていただろう。
試合後の集合写真に収まる、サポーター達の満足気な表情からもそれは伝わってきた。
結果以上に得るものが多かった1試合であった。

試合後観客に向けてキャプテン若杉が感謝の言葉を述べる

戦評の最後は、退場した佐々木からチームの全員に送られた言葉で締めようと思う。

「退場した瞬間、“この試合きっと勝てるな”そう確信した。日頃の自分のサッカーに対する姿勢をチームのメンバーは認めてくれている。僕のために残り時間全身全霊を懸けて戦ってくれると信じていた。結果は嬉しいが驚きはない。プロクリのみんななら成し遂げられると信じていたから。」
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次節の大森FC戦は8月6日(日)
昨年は勝ち点2を落とした相手であり、リーグ成績でも順位を上回られた相手だ。
個人能力に秀でた選手が多く、決して侮ることのできない相手ではあるが、今のチームに不可能なことはない。
佐々木という重要な選手を欠く一戦とはなるが、このメンバーなら次もやってくれることだろう。

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