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Criacao Shinjuku Procriar  現れた”圧倒的な個” 警視庁に逆転勝利で昇格へ望みを繋ぐ 2-1|東京都リーグ2部3ブロック 第8節 試合結果

昇格への命運を握る、文字通りシックス・ポインターとなる大一番。前節よりおよそ1ヶ月ぶりの公式戦はリーグ3位の警視庁を迎えての一戦。


”闘う・走る・声を出す”
Criacao Shinjuku Procriarが設立当初から掲げる、我々のアイデンティティーとも呼べるその武器を最大限発揮しなくては勝ち点3を得ることはできないであろう難敵を迎え、
試合前からただならぬ緊張感がフィールドには漂い、好勝負を予感させた。

キックオフと同時に両チームが球際を巡る攻防で火花を散らす。さすがはここまでわずか1敗しかしていないチームだけあり、 強度・スピードともにリーグの中でも間違いなくトップレベル。


それでも、田口(#15)や佐々木(#6)、小椋(#13)からの相手の高いDFラインの背後を狙ったボールを起点に西川(#18)や伊東(#8)が抜け出し、徐々に相手を押し込んでいく。
すると、前半10分 野沢(#20)のロブボールから若杉(#7)が完全にフリーで抜け出すチャンスを迎える。ここは惜しくも枠外となったが徐々にチャンスの兆しが見え始める。
その5分後には高い位置でのプレスによるボール回収から、伊東(#8)→杉浦(#9)→中山(#17)と繋ぎ、ゴール前で決定機を迎えるが中山(#17)の落としを受けた田口(#15)のシュートは無情にも枠外。


途中、相手の2トップを起点としたカウンターを何度か受けるも、押本(#3)の素早い潰しと公文(#12)の落ち着いたセービングで難を逃れた。

前半は一進一退の攻防が続くも、どちらかと言えばプロクリアルペースで試合が進む。
幾度かはチャンスを創り出すことに成功したものの、今シーズンここまで積み上げてきたGKからの丁寧なビルドアップは、相手の人を掴みにくる素早いプレスによってなりを潜めたまま前半が終了。

今日、勝ち点3を奪えなければ昇格が遠のく両チームは気合を入れ直し、後半を迎える。
前半と同様のメンバーで後半を迎えたプロクリアルだが、前半を上回る以上の圧力をかけてきた警視庁に対して後手を踏んでしまう。

前半のようなチャンスを作ることができず、セカンドボールを拾われる展開に。そんな嫌なムードが漂い始めた後半12分、プロクリアルは遂に失点を許してしまう。
ここまで攻守に奮闘していた野沢(#20)のミスから相手のCKになると、放り込まれたボールをGKとDF陣が処理しきれず押し込まれる。
嫌な流れが続いていた中での失点ということもあり、がっくりと肩を落とすイレブン。相手のセットプレーには注意していただけに痛恨の極みであった。

均衡を破った警視庁イレブンは畳み掛けるかのように圧力をさらに高める。対するプロクリアルは後方から丁寧に繋ごうと試みるが佐々木(#6)が危険な位置でボールをロスト。
しかし、この危機的状況はGK公文(#12)が身体を張ったファインセーブで凌ぐ。
ピッチに立つ中で最年少のGKの奮闘に応えようと、徐々にらしさを取り戻していくプロクリアルであったが、無常にも時間は過ぎていくばかりであった。

後半の給水タイム明けには、下浦(#27)・髙橋(#11)・岡村(#16)と前線の選手を次々と投入し攻勢を強めるも、チャンスというチャンスを作り出せない。
そればかりか、リスクを承知で前に出て行っているためカウンターであわやトドメとなるようなシーンを作られてしまう。

「また、勝てないのか」「ここまでやってきたのにそれでもまだ足りないのか」ピッチ上やベンチからもどこか悲壮感が漂い、去年の苦い思い出を誰もが思い出していたその時、
”圧倒的な個”は現れた。

後半35分、プロクリアルは攻勢を強めているその背後を取られ、またしても数的不利でカウンターを受ける。しかし、この日も再三にわたる光る読みと落ち着いた対応でボールを回収していた佐々木(#6)がここでも身体を張ってマイボールに。
誰もが前線に素早く展開すると思ったその瞬間。彼はドリブルで前線へと駆け上がった。CBの思いがけない持ち運びに虚をつかれた警視庁イレブンは、慌てて1枚のDFがボールに寄せる。
しかし佐々木(#6)はまるであのジネディーヌ・ジダンかのような華麗なルーレットでひらりと交わす。そのままハーフウェイラインを超え、左サイドの中山(#17)へスルーパス。中山(#17)は落ち着いて左足でゴール前へ絶妙なクロス。そこに猛スプリントで飛び込んだのは佐々木(#6)。意地と執念のヘディング弾で遂に試合を振り出しに戻す。
自陣のゴール前でボールを回収し、そこから相手ゴールを陥れた、まさにゴール・トゥ・ゴールと呼べるスーペルゴラッソが爆誕した。



これで完全に息を吹き返したプロクリアルは、持ち前の走力で警視庁を圧倒。もう逆転は時間の問題に見えた。
後半44分、下浦(#27)が良いアクセントとなり、田口(#15)がDFラインの背後へと抜け出しゴール前まで迫るもここは惜しくも相手DFに阻まれる。
しかし、今シーズン拘ってきた素早い攻守の切り替えで高い位置でボールの回収に成功すると、野沢(#20)のニアへのグラウンダーのクロスを岡村(#16)がGK前でプッシュ。
遂に逆転に成功する。



歓喜に沸く紫のイレブン。ピッチ上の選手もベンチメンバーもスタッフも総出で喜びを分かち合う。
まさに、”感動”を生み出した瞬間であった。

残された試合時間は3分。
警視庁も懸命にゴールを目指すが、プロクリアルはゲームの締めとして投入された上原(#4 )・山内(#5)を中心に危なげなく乗り切る。

試合終了の笛と共にフィールドには歓喜の雄叫びがこだました。文字通り全員で掴み取った勝利に全身で喜びを表現するイレブン。


「今日のような瞬間を何度も何度も味わいたいから、サッカーを続けているんだ」
筆者にそう感じさせるような熱戦はプロクリアルの逆転勝利で幕を閉じた。

シックス・ポインターを制したプロクリアルは暫定2位へと浮上し、およそ1ヶ月後には首位慶應BRBとの昇格に向けた大一番が待っている。
リーグ戦はまた1ヶ月ほど期間が空くことになるが、チームの窮地を救う”圧倒的な個”になるために戦士達は鍛錬を惜しまないだろう。

次戦の戦いにも期待したい。

筆者:佐々木太郎

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