<クリエイター数珠つなぎ>第1回コピーライター鎌田健作
クリエイターの価値が最大限に発揮できる「クリエイター経済圏」というプラットフォームの構築を目指し、様々なサービスを展開しているCrevo(クレボ)。現在は全世界で6,000名余りのクリエイターと関わりながら、日々、新たなクリエイティブをつくりだそうと邁進しています。私たちが様々なクリエイターと関わる中で得られる気づきは他のクリエイターの参考にもなるに違いない!と始まったクリエイター数珠つなぎ。第1回目は、クリエイティブディレクター、コピーライターとして活躍されている鎌田健作さんにお話を伺いました。
Profile:鎌田健作 コピーライター・クリエイティブディレクター
1980年長崎市生まれ。長崎大学経済学部卒業。広告制作会社E.
ハッケヨイ制作所を経て、2017年に独立、2019年CAMADA合同会社設立。
2009年TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞。
その他ACCシルバー、One Show Design 2009 Bronze、
GOOD DESIGN AWARD 2016、読売広告大賞 読者大賞など受賞。
<Q.コピーライターを志したきっかけは?>
大学は経済学部だったこともあり、メーカーなどの営業を志望し、当時は就職活動をしていました。広告業界なんて当時は全く知らなかったですね。営業がやりたい!という強い意志があったわけではなかったので、最終面接までいくものの落ちてしまうという日々を過ごしていました。いま思うと、進もうとしている自分の未来にワクワクしていなかったんだと思います。あるとき付き合っていた彼女(現在の妻)が「電通って知ってる?」って教えてくれたんですね。そこで広告業界のことを知り、興味を持つようになりました。図書館で広告年鑑を読んでいてデザイナーって格好いいな、でも俺絵ごころないしな、と思っていたときに、コピーライターという仕事を知ったんです。絵は描けないけど、文章なら俺でも書けるんじゃないかと、安易に思いましたね(笑)。
またこの業界を目指そうと思った印象的な出来事があって、そのとき日韓W杯が開催されていたのですが、試合の合間にビールのCMが流れていて、それを仲間と一緒に「カンパイラガー、ラガーイェイ!!」とテレビの前で歌っていて、それから飲むビールも変わったりしたんですね。人の気持ちや行動を変えることのできる「広告」って仕事が面白いと実感しました。どうやったらその仕事に就けるんだろうと、あまり深く考えず宣伝会議のコピーライター養成講座に申し込みました。最初は福岡校に申し込んだのですが、どうせやるなら東京だろう、と一念発起し、上京。それが僕のコピーライターのキャリアの始まりですね。
<Q.コピーライターの仕事にはどうやって就いたのですか?>
コピーライター養成講座を卒業したからといって、すぐにコピーライターとしてキャリアをスタートできる!なんて都合のいい話は当然ありませんでした(笑)。具体的な未来が見えない状況に焦ってきて、九州に帰ろうかなって思ったこともありました。でもせっかく東京にきたのだから、最後にこの仕事を志したきっかけ「カンパイ!!ラガー」の広告をつくった東秀紀さんに会いに行きたい。それで一か八か連絡してみたんです。それでダメだったら九州に帰ろうと。コピーライターの実務経験はなく、当時募集もしていなかったのですが、なんと奇跡的に会うことができた。そして、なんと奇跡的に拾ってもらった。当時を思い出すと、本当に、あのとき行動を起こしてよかったなと思いますね。
<Q.下積み時代にやっていたことで、大事だと思うことは?>
あらゆるコピーライターが言っていることでもあるんですが、コピーはとにかく本数を書くことが大事だと思います。昔、「コピーなんて俺でもかける!」と思っていたのは、数百本のうちの一本にしか過ぎないということを、仕事をして気づきました。だからいつも相当な数を書いていましたよ。もう無我夢中で。僕のやり方はA4の紙にばーっと思いつくこととかアイデアを書き出します。その後セレクトして清書して検証するという方法をずっと取っていますね。
「皿洗いで終わりたくないから、 皿洗いをがんばります。」というコピーを書いたことがありました。これは土木・ 建築・ドライバー・調理師・メカニックといったような専門職に特化した「ガテン」という求人情報誌のコピーだったんですが、このコピーを書けた時に初めて、少しブレイクスルーできたかな、と実感しました。師匠の東さんにも初めて褒めてもらいましたし(笑)。
このときはもう無我夢中で多分1000本以上コピーを書いたのですが、そのときは地元の寿司職人の友人の顔を想像して、どんな言葉をかけたら気持ちが動くかなということをずっと考えていました。届けたい相手の顔をリアルに想像して、言葉を投げかけること。動かしたいターゲットの輪郭がはっきりすればするほど、強い言葉になっていく。コピーを書く上で大事な基礎を学んだ仕事でした。このスタンスはその後もずっと大事にしています。
<Q.鎌田さんにとってのクリエイティブとはなんですか?>
「たかが、コピー。されど、コピー。」年中、この両端を行ったり来たりしています。作った広告が、ちゃんと「効く広告」になっているか、大抵の場合は分からないことの方が多い。ただの“お飾り”になっているんじゃないか、まったく届いていないんじゃないか、広告やコピーにできることなんてたかが知れてる、そういうことをついつい考えてしまうこともあります。けれど、そんなモードのときに勇気をくれるのもまた広告やコピーだったりするんです。ふと見た広告に、ブルっとして、やっぱり広告ってすごい、やっぱりコピーのチカラってすごい。そうやって、また前を向く。できるなら、自分の作った広告で、やっぱり広告も捨てたもんじゃないな、って思いたいですね(笑)。
少し前に書かせてもらった「さよならミニスカート」という漫画の広告コピーは、とくにSNSで大変反響がありました。単行本の第1巻は発売1ヶ月弱で10万部を超えて、それも話題になりました。どうせやるなら、「人を動かす広告」。そこを目指して、これからも広告をつくり続けていきたい。消費行動を起こすだけじゃない「少し胸が熱くなった」「クスッとした」「希望を持てた」そんな感情もついでに咲かせられるようなサービスのある広告づくりをこれからも目指していきたいと思います。
<Q.ちなみにCrevoについてどう思いますか?>
僕もそうなのですが、人のつながりで仕事が巡ってくるのが多いのがこの業界。やはりどんなアウトプットを出すのかを知っているかどうかは、仕事を依頼する上で大事ですから。でもそんな枠を飛び越えて、新しい仕事と出会えるきっかけがあるプラットフォームを構築しているのは素晴らしいことだと思います。いい仕事に出会えることがクリエイターにとってキャリアのスタートになりますからね。もっとサービスを拡大してほしいな、と思います。応援しています。
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次回の数珠つなぎは鎌田氏からリレーしていただきます。ご期待ください!
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