あれから二年 #10
2019年10月6日
晴れて気持ちのいい朝。
リビングに入ってすぐ異変に気付き。
・・・・天井がなんか黄色い。
え・・・?私の目がおかしいの??
何度見ても、黄色い。一部分だけ。
ベランダの排水口が詰まって溜まってしまった雨水が、リビングの電気に向かって流れ始めて、その影響で天井にカビが生えてきたらしい。
あわててカビとりスプレーで拭いてみるも、びくともしない。
日を追うごとに増えてきたし。
それから11日後の10月17日には、リビングから畳の部屋に続く襖の閉まりが悪くなり、なにか迫られるような危機感を感じた。
家のあちこちが一気に狂いはじめてる??
屋根裏を初めて登って見てみたりして、家の柱がどんなふうになっているのか観察してみたり。
でも、不安要素を探すよりも、今ある暮らしを大事にしようと思った。
それは逃げなんじゃないのか?実際、家のリフォームに入ったときに取返しがつかないことになったら、どうしたらいい??
どの家も、まだまだ家屋の直しの見通しが立たないと言われていた中、我が家はいち早く屋根の直しの日が
「年内にとりかかれそう」
という情報をいただいたし、大工さんも多忙を極めているから、話すのはまだあとのほうがいいのではないか。
そんな葛藤にずっと悩まされていた。
12月25日の屋根の修理が終わったあとの後日、大工さんが来て支払いをひとまずすることに。
そのときに、思い切って言ってみた。
家のリビングで気になるところがあって・・・
天井にカビが生えてきました。エアコンかけたり、窓を開けて通気性をよくしてたのですが、襖の開け閉めも固くなって動きが悪いです。
と話すと中を見てくれて、
うーーーん。今は様子を見ていてほしいとしかいえません。
家の中の直しに入れるのはだいぶ先です。約束ができません。
と言って、帰ってしまい。
これも、大丈夫だと。
信じて、時が来るのを待つしかない
そう心に決めた出来事だった。
2020年9月。
私は、ケアマネさんと面談することになり、義父の最近のことについて話し合い。
その中で、私が最近不安に思っていることを話した。
遠方の実家でなにかあったとき、すぐに帰省できるようにしたい。
でも、帰省するとなると日数がそれなりにかかるので、足腰の悪い義父を一人にしておくことは難しい。お泊りできる施設に預けられるとありがたいです。
ただ、義父本人は、俺は心配いらないからお前たちで行ってこい、俺は泊まりには行かない。と言って聞かない。
そして、家の中の直しが入るときに義父にお泊りに行ってもらわないとすごく困る。と話すと
ケアマネさんは、なにか用事があってもなくても、定期的に月一回のペースでショートステイしてる方はいっぱいいます。
その間に家族の方がゆっくり好きなことをして、体を休めることもできます。
ちょっと施設を探してみて、本人も交えて話し合いましょう。
そして10月。
義父、私、ケアマネさんで話し合い。
「今日は、運動して体を動かすお泊りできる施設に行ってもらいたいと思って話をしに来たんです」
とケアマネさんが言うと、
「泊まり?温泉施設とかか?昔はそういうところに行ったなあ。そういうところに安く行けるならいいなあ」
と義父。
「違います。介護保険で安く泊まれて、ご飯もでるし運動もできるし、お風呂も入れます。そこにお泊りしましょう?」
と切り出されて、私も
「遠方の実家でなにかあって帰省しなくちゃいけなくなったら、お義父さんを一人にしていかれないんです。一度、私たちが仕事でいない日中に転んでケガをしたから、ちゃんと預かってくれるところに入ってもらって安心して帰省したいんですよ」
と言ったら
義父「いやいや大丈夫だ。心配はいらない。お前たちで行ってこい。俺はこの家にいる。それがだめなら、近場の旅館に行く」
私「近場の旅館だって金額高いです。介護保険で安く泊まれるところのほうが安いですよ」
義父「いや、いい」
それからは口を閉ざし、なにも言わない。
ケアマネさん「息子さん家族をそろそろ安心させてあげて、お互いゆっくりしてもらいましょうよ。お願いします」
頭を下げられて、義父も行く気に少しなって、やっと話を聞いてもらうことになった。
そんなやりとりで、お試しでお泊りの日が10月22日に決まった。
行く直前まで
行きたくない。他の安い旅館に行かせろ。俺に選択する自由はないのか。
とさんざん言っていて、お泊りの用意も私たちがした。
挙句の果てには、
弟の家に泊まりに行くから車を出してくれ。
夫は「いい加減にしろよ」と言いそうになりながらも、必死で怒りを我慢している様子が伝わってきた。
なにかの修行のような気分で義父と接していたように思う。
老人に、それまで体験してこなかったであろう新しいことを仕向けていくって
本当にパワーがいると思う。
ワンオペとか言ってるけど、一人じゃ絶対無理で家族の協力が必須だわ。
一人の老人に介護保険を導入すること。
その手続き、介護度をはかるための面談、ケアマネさんとの面談
デイサービスに行ってもらうこと
足腰の強化のため、転倒予防のためのリハビリを受けてもらうこと
病院の定期受診
・・・
義父が一泊泊まってくれた日は、心から羽をのばしてたくさん寝た。
そして、義父のベッドのシーツやタオルケット類を洗濯して、電気毛布を入れて、シーツも冬用のに変えた。
すごく気分がすっきりした。