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苔とシラビソの森・峰の松目

計画を変更したけれど、硫黄岳に登ってみると、八ヶ岳全体の展望が素晴らしかったため後悔どころか満足してしまいました。
当然翌日は天狗岳に登るつもりでした。
ところがオーレン小屋のキャンプ場で小さな矢印形の板に白で「峰の松目」
と書かれた表示(フロントの写真)が山友達の頭に張り付いたようで、峰の松目に行こうと言い出したのです。

峰の松目?? そんな主要ルートにもないマイナーな山に行くの?
キャンプ場では私のスマホは圏外だったので、スマホをほとんど使ってなかったのですが、山友達はオーレン小屋の中に入ると電波が拾えることを確認し、そこで峰の松目について調べたようです。
山友達が言うには、展望はないらしい。山頂は樹林の中とのこと。
そんなところに何で登るの?
今回の山行では山友達はずいぶん積極的です。
天狗岳なんて今まで何回登った。そんなとこに登るより八ヶ岳の知らない山の方がいいと言います。しかもここから近い、とまで言うのです。
なんとなく主体性を失った私は引きずられてしまいました。
日の出直後くらいからテントを出て、峰の松目に向けて出発しました。
キャンプ場から最初は、昨日の硫黄岳から降りてきた道と同じところを歩きます。
しばらくして、分岐の標識が出て来ました。

キャンプ場からしばらく歩くと硫黄岳と峰の松目との分岐があります。

この分岐を 峰の松目方向へ。
確かに展望はありません。
樹林帯をただただ登って行くだけです。

樹林帯はとにかく苔が広がっていて意外に美しい場所です。

途中でかなり急な登りがありますが、それほど長くは続かず、登り終わったらまた森の中です。
そこからしばらく歩くとすごく狭いエリアですが、南側が見通せる場所がありました。
よく見ると南アルプスの一部がきれいに見えます。
しかも見える山は、北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳の三つのピークです。

小さな隙間のようなところから南アルプスの一部が見えました。
左から北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳です。

おお、やはり登って行くと展望もあるんだ。
さらに期待して登ります。
けれどもいくら進んでも樹林帯です。
そうしてとうとう何の展望もなくピークに到着してしまいました。

峰の松目の山頂です。
展望なく樹林帯。周りはシャクナゲでしょうか。
呆然としていたら日の出の光が樹林帯の隙間を抜けて来ました。

意欲満々だった山友達もさすがに驚いたようで、本当に展望がないんだ。
これはさすがに八ヶ岳通でないとここには来ないだろうなと言ってます。
私は、まぁ、八ヶ岳の知らないピークを登れたから良しとしようと思い直しました。
山頂ではゆっくりとくつろぐわけでもなく下山を開始しました。
帰りはゆっくりと苔を見ようよ、と言いながらゆっくりと降りました。
登っているときは少し薄暗かったこともあって気づきませんでしたが、このエリアはかなり苔が美しい場所です。

登山道の横を見ると苔に覆われて美しい
針葉樹林と苔が素晴らしい。

少し登山道の横を見ながら歩いていると、登っているときには気づかなかったもう一か所北西方向に開けた場所を見つけました。
そしてここからは北アルプスが見えるではありませんか。

いくつかの山並みの一番奥が北アルプス
分かる山は、ほぼ中央に鹿島槍ヶ岳、その右に五竜岳、さらに雲が上にかかりそうな場所にピークが三つ。白馬三山です。

北アルプスが見えるとまず槍ヶ岳はどこだ、次に穂高はどこだと探すのですが、どちらも見えません。
この位置からまず分かったのが鹿島槍ヶ岳です。そしてその右側に五竜岳、そして白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳の白馬三山を認めることができました。
峰の松目に登って展望が開けるのは2か所ということです。
でも南アルプスと北アルプスの両方を見ることができました。
ここの展望を楽しみ、さらに降りて行きます。
硫黄岳との分岐まで、とにかく苔の美しい場所が次々と出て来ます。

苔の広がる場所
八ヶ岳の雰囲気

こうしてキャンプ場まで戻り、ゆっくりと朝食を楽しんだのです。

朝食の準備、スープパスタとパンとコーヒー

なんとなくコーヒーなどを飲みながらゆっくりすると、天狗岳に行こうという気力も萎え、そのままテントを撤収した帰ることになりました。
今回はかなりいい加減な登山をしてしまいました。


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