2017.11.14 作曲メモ-三銃士百合
★ある作曲家を訪ねて作品の感想を聞きに行った。
・Vol.3三銃士とVol.4人魚姫&ガラ、Vol.5三銃士2を一緒に持っていった。
★Vol.4&5の全体について
・年々成長している。書く毎に工夫が見られるため、断然最新作(三銃士2)が音楽的に面白い。
・コロコロ転調するのは面白いとは思うんだけど、いつもそれだと逆に慣れてしまう。
→基本、転調しないで曲を展開し、必要な時にとっておいてはどうか。
→歌う人が変わる時に一緒に転調することが多い。(それしかない。)
・Vol.4オーケストレーションも大まかには問題なくよくできている。
→もっと、あまり使われない音域をあえて音色として使うことがあってもいいのではないか?
例:フルートの下の方、ファゴットの上の方、弦楽器のcol legnoとか
・全体的に「幸せな音楽」が支配しているので、「不穏」「禍々しい」「オドロオドロした」「おぞましさ」などが色濃く表現できていない。結果、「おぞましい」シーンでも「綺麗」で終わってしまうため、印象が薄いと感じた。もっと不協和音や音色などを使って演出する効果を狙った方が逆に音楽でメリハリがついてむしろ良くなるのではないか?幸せな中に不気味さがあるから引き立つ。地獄を見せろ。
・和音を単体で使うのではなく、不協和音をうまく経由しながら、「和音のグラデーション」を見せるともっと面白くなる。
・時間芸術だから。長いと感じさせない工夫は必要。
★三銃士《三銃士》〜百合の烙印について
・題材がオペラっぽくてやりがいがあるね。
・オルガンはとても良いね。
・ピアノ以外の楽器は積極的に入れた方が、音色が変化するため耳が休まる。
【プロローグ】
・P.18:194:「あなたの愛する王妃の」
→Pfの半音階すべりは、ピアノでは効果があるけど、オケはあまり効果がないかもね。
・P.26:285:「これでまむしの毒は抜いた。咬むなら咬むが良い」
→このアトスの言葉に対して何か音楽での反応が必要と思う。(今はそのまま次の音楽が入ってしまうから。)
【第1幕】
・P.77:372:リシュリューの手紙の回し読み
→調性がめまぐるしく変わる理由はなんだろう?
→調性をすべらせる手法ではなく、テーマの反行形を使うとか、別の手法を考えよ。
・戦場のシーンが長く感じる
→戦いのシーンはもっと複調や不協和音を使うとか、食事のシーン(のんびり、まったり)とはキャラクターを分けて飽きさせないように。
→複調を使うとちょっととぼけた感じが出せるから、もう少し、コントラストをつけられる。
→複調の例:ストラヴィンスキー、ミヨーなど。ヴォツェックなど
【第2幕・第1景】
・P.133:220:フェルトンの暗殺
→ここはとても良い。増三和音の効果がきちんと出ている。
【第2幕・第2景】
・P.149:126:アトスの一人語りとミレディを追い詰めるシーンが交錯する
→全体を支配するワルツに乗っかるのは良いけれど、ミレディのシーンに不協和音(増三和音とか)を散りばめるともっとコントラストがはっきりするのではないか。
・P.161:237:この苦しみもこの悩みも
→全くのアカペラでなく、オケがもう少し入って補強した方が良い。
【まとめ】
(1)不気味さ、おどろおどろしさなどをもっと演出すること。
→奈落の底に突き落とすようなサウンド。地獄へ落とす。
→不協和音などを取り入れる
→複調:滑稽さ、不気味さを演出など。
→C-E-G-H-D-Fis-Aなど、3度ずつの積み重ねでも、配置や音を抜くことによって綺麗に響く不協和音がある。それを見つける。
(2) 調をずらす以外の手法の開拓
→基本の調を設定して進めていく部分を作る。調をずらすのは必要な時に限定してみる。
(3) 和音のグラデーションを試みる
→長く伸ばしている間に、ちょっとずつ和音を変えていくのをやってみる。
→話を聞いていて脳トレでよくある「画面のどこが変わっていったか?」という映像クイズのようなイメージはどうだろう、と思った。
(4) オケとピアノの違い
→Pfの場合:高音の方だけ使う、低音の方だけ使うなど、普段使わないバランスをとらない音域を使うようにしてみる。
→オケの場合:弦楽器だったらcol legno、ハーモニクス、トレモロなど
2-3オクターブでのunisなどとても古めかしい音がする。
管楽器Flだったら低音、Fgなら高音
→補強するPercなど。小物だったら安く手に入るものも。
→∴「あの音色は何の楽器だろう?」と音色でもアプローチすること。