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No.17 川崎市青少年フェスティバル実行委員 -地域おけるイベントと実行委員の役割-

 はじめまして、CRENECTIONで活動しております清水玲那と申します。今回、令和3年度川崎市青少年フェスティバル実行委員長である小林宏奈さんに取材をさせていただきました。この青少年フェスティバルというイベントに私はボランティアとしてお手伝いをさせていただきました。そのご縁で、今回このような取材の場を設けていただくことができました。取材の中で、実行委員ならではのイベントの面白さや経験によって得られたものなどについてお話してくださいました。そのお話を皆様にお伝えできたらと思っております。

川崎市青少年フェスティバルとは

 まず、川崎市青少年フェスティバル(以下、青フェス)とはどういうイベントなのでしょうか。川崎市のホームページによると趣旨は以下の通りです。

青少年自身が企画から運営まで主体的に関わるイベントを実施することで、青少年の社会参加を促進するとともに、達成感や自己有用感を得られるような機会をつくり、次代の担い手を育成することを目的としています。
出典:川崎市ホームページ
https://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000087062.html
 
つまり、青フェスは川崎市の青少年がイベントを企画・運営する場をつくるためのものです。公募や青少年団体からの推薦で集まったおよそ16~25歳ぐらいまでの実行委員がイベントを企画します。そして、当日は青少年フェスティバルとして市内の一般の参加者に向けて運営を行います。青フェスは川崎市の若者に対して実際にイベントを動かす機会を与えてくれるものだと言って良いでしょう。

青フェス実行委員を務めたきっかけ

 小林さんが青フェスを知ることになったきっかけは少し前まで遡ります。小林さんは今大学3年生(2022年10月現在)で、今回の委員長を務めた青フェス実行委員の活動は大学2年生の時の話になります。しかし、実行委員を務めたのは今回だけではありません。高校3年生の時にも同じように青フェス実行委員を務めています。
 小林さんは当時、川崎ワカモノ未来PROJECTに参加しており、その中の会議で川崎市役所から青フェスについてお声がかかりました。実行委員として一年間活動していましたが、この年の青フェスは2020年3月に開催予定であったため、新型コロナウイルスの影響によって中止となってしましました。
 青フェスが中止となってから一年空いて、小林さんが大学2年生の頃に再び青フェス実行委員が募集されます。前回の青フェスは企画だけで終わってしまったことが心残りであり、このままで終わらせたくないという思いから再び実行委員に参加します。この青フェス実行委員で小林さんは委員長を務めることになりました。

実行委員として活動してみて

 次に実際に実行委員としての活動がどのようなものだったのでしょうか。心がけたことについては、実行委員のメンバーの関係性に関わることです。小林さんが前に務めた実行委員では、何年か連続で青フェスを務めている方が多かったため少し仲の良い人同士で固まってしまう傾向があったようです。
 学校の友達やクラブ・部活の仲間でもないつながりでもない地域のイベントの実行委員という特殊なつながりを持つのはあまり無い機会でしょう。そして、同世代とはいえど学年や年齢はバラバラなため、そのような方々との接し方が難しくもあります。特に、学生でしたらたった1歳の差でもとても大きな差のように感じられる傾向もあると思います。私自身も、知らないメンバーばかりの中では仲の良い人が一人でもいればとても安心できますが、それと同時に安心しすぎて初めましてのメンバーと仲良くするチャンスを失ってしまうことがありました。
 小林さんはそういった課題を解決するべく、一人で参加してきたメンバーにも積極的に話しかけるようにして、実行委員内での交流を深めていきました。せっかく実行委員として一緒に活動しているのだから、はじめての人もそうではない人とも委員同士の交流を大切にしたいという思いです。結果として同世代の友達ができて人脈やつながりを増やすことができたそうです。
また、つながりは同世代の仲間だけではありませんでした。青フェスは大人との関わりもとても大きく、川崎市のガールスカウトやボーイスカウト、こども会などの方々も協力してくださいました。地域のことも詳しくイベントの経験も豊富な大人の方は、イベントに対して色々と協力的になってくださったようです。準備の段階では世代関係なく多くの人と交流することができたことが実行委員として大きなことだったのではないかと思います。
 そして、当日、来てくれた子どもが「楽しかったよ」とメッセージを書いてくれたこと、また、コロナ禍で色々と制限されてきたものを今年久しぶりに行うことができて、保護者の方からも「イベントをやってくれてありがとう」といった声を頂くことができたことが実行委員としてやりがいを大きく感じたことだったそうです。イベントをやるにあたっての目標はたくさんあったと思いますが、来場者が喜んでもらえるというのが一番のそれであると思います。その達成感は私たちが想像できないものではないでしょうか。また、これによってイベントやエンタメというものは必要とされているものだと強く実感したとのことです。1度青フェスが延期になってしまったことを経験している小林さんにとってのこの思いは計り知ることができません。

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実行委員の経験から得たもの

 ここまで青フェスとしての活動を通してやりがい、考えたこと、楽しさなどについてお聞きしてきました。では、この実行委員の活動を通して得られたものは何だったのでしょうか。まず、人と関わる経験であるため同世代の人達との交流ができて友達ができたこと、違う世代の人達との関わり方を学ぶことができたと小林さんは話します。青フェスという地域のイベントがきっかけになった同世代のつながりはそう多くは無いはずです。川崎市がきっかけになって、イベントを盛り上げたいという同じ想いを持った人と協力し合った仲間ができたこと。これは青フェスだからこそ得られたものだったのではないでしょうか。また、違う世代の人達との関わりも同じく、貴重な機会であると思われます。そのような方々は同世代の人とは考えや行動が違ったりすることもあったようです。年代や生活が異なるからこその違いに直に触れることができ、自分たちと違う思いを持つ人との関わりを経験できたとのことです。
 これらは、メンバー間の交流など、実行委員やイベントを通してのつながりを大切にしてきた小林さんだからこその得られたものであると思います。地域をきっかけにつながりが深まることは自分自身にとっても地域にとっても良い影響になるものだと私は考えました。そして、イベントを動かす上での人との関わりは社会に出る基礎の基礎を学べたとのことです。普段の学校生活では得ることは出来ず、将来どの仕事に就いたとしても役立つことになる貴重な経験であったと小林さんは話します。

実行委員メンバー丹羽さんから

 今回の取材では、小林さんだけでなく取材に同席していた丹羽さんからも軽くお話を伺うことができました。実行委員を務めたきっかけ、やってみての感想などについて話してくれました。
 きっかけについてはもともと交流のあった小林さんから誘われたとのことです。また、人と何かをすることや文化祭といったようなイベントも好きだったというのもあったそうです。実際に実行委員を務めてみて、文化祭のようなイベントが好きだったということもあり、事前準備は楽しく行うことができたようです。しかし、当日は楽しかった反面、力を入れて準備をした甲斐があってか想像以上に来場者が来てくれたため、とにかく忙しかったと話します。
 また、実行委員をやる上で大変だったことについて、丹羽さん実行委員は最初から務めていた訳ではなく、途中参加でした。そこで既に実行委員として活動している周りのメンバーとの温度差を感じてしまったため、どういった回りと関われば良いのかに悩んだそうです。しかし、その中で会議などがあった際には積極的に他のメンバーに話しかけに行くなどして、コミュニケーションを取るようにしたそうです。その結果、実行委員の皆と打ち解けることができて楽しく活動を行うことができたとのことです。

川崎市における青フェス

 これは、冒頭の青フェスの紹介で軽く説明しましたが、取材の中で小林さんは「青フェスは子どもたちのためのイベントでもあるが、本来の意義は若者がイベントを一から企画してつくる場を作ろうというものであるため、若者のためのものとも言える」とおっしゃっていました。私自身、青フェスは子どものためのイベントだと思っていたため、若い人が主体的になるチャンスをくれるものだったというのがこの取材における大きな発見の1つでした。
 私たちの年代は、同じ年代同士のつながりのきっかけといえば学校、部活・サークル、バイトというのがメインになると思います。同じ地域、今回では川崎市、というのはあまり多くは無いかもしれません。川崎市は特に都内が近いため、日中は都内に仕事や学校に通っていて自身の地域でのつながりを持っていない人も多いかもしれません。その中で川崎市という地域をきっかけにして若者が主体となって企画やイベントを行うことができるという青フェスはまさに地域活性化の取り組みそのものではないかと思いました。
 改めて青フェスの魅力とは何なのでしょうか。ボランティアとして携わらせてもらった身としては、直前準備で若者と大人が協力して1つのイベントを作り上げようと一生懸命になっている姿、そして当日に子どもからお年寄りの方まで全ての人がイベントを楽しんでいる姿が新鮮で印象的でした。参加者全員の気持ちが1つになって盛り上がり楽しむことができるのはまさに青フェスの魅力なのではないでしょうか。このように考えてみて、私もその中の一人として参加できたことは本当に嬉しい出来事でした。

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取材を終えてみて

 私はボランティアとして青フェスのお手伝いをさせて頂きましたが、ボランティアとしての立場でも青フェスについて多くを知り体験することができました。しかし、実行委員としてより長い時間をかけて企画を一から考え準備されていた方のお話を聞くことができたのはより深くイベントがどういうものかなどを知ることができてとても多くの学びがありました。
 イベントのやりがいとして当日に楽しんでくれた子供たちのことを話してくださいましたが、ボランティアとして参加している私もイベントを楽しんでくれている子供たちを見た時に何だかうれしい気持ちになりました。直前と当日という短い間のみお手伝いをさせて頂く私でさえ、このような思いになったのですから、実行委員の方々のやりがいはきっと本当に大きいものだったと思われます。

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