~番外編No.2-2~ 花咲かせ地域彩る高校生~美濃加茂アジサイ倶楽部~ 後編
番外編はクリネクションのメンバーが外部の団体で執筆をした記事を掲載します。今回は日本青年館の記事を掲載します。
美濃加茂アジサイ倶楽部の後編です。前編はこちらからどうぞ。
若者がいたいと思える空気感がポイント
―――沢山のプランがあることがすごいと思いました。どのプランも非常に魅力的ですね。中でも製麺所をつくるというアイデアは地域の雇用という点にも視野を広げられており、いつか実現されたらいいなと感じました。すべてのプランに地域の魅力を最大限活用できるものという共通点があると感じました。今まで地域で活動されていた皆さんの柔軟な思考に改めて刺激を受けました。そんな今後のプランを考えるうえで一つ質問です。皆さんにとって、地元美濃加茂市の魅力ってどんなところですか。
本川さん:私はもともと名古屋に進学・就職するつもりでしたが、地元にいたいと思うことが多かったので岐阜に残ることにしました。若者がずっと住み続けたい、ここにいたいなど地元にいたくなる要素を増やすことが大切だと思います。美濃加茂市は空気が綺麗で植物も多いです。栄えすぎず栄えなさすぎずの間をとることでもっと人が増えていくと思います。
神戸さん:私は進学先を名古屋にしたのですが、やっぱり美濃加茂市にいるときにはすごく落ち着きます。安心できる空気感や戻ってこられる場所、居場所として地元があるといいですね。まとめると、居場所であること、残りたいなにか、このまちが好きだなと感じるポイントが大切だと思います。
―――近年、過疎化が全国で広がり若者の地元離れも増えている中で、必要なことを知ることが出来ました。まちの空気感などは実際に行かないと分からないため、地域に住んでいない人に対してアピールしていくことでそのまちの魅力に気付く人が増えると思いました。そんなまちをつくっていくために必要なことってどんなことだと思いますか。
本川さん:人の意見を聞くこと。聞く→実行→反省→改善するというループが大切だと思います。
神戸さん:活動するうえでは自分たちだけでなく地域の人と交流が大切なのであいさつなど小さいことの積み重ねや楽しむ気持ちが常にあります。
本川さん:たしかにそうだよね。地域の人に一緒にやりたいと思っていただけることが大事です。
倉澤さん:自分たちだけ楽しい活動をするのではなく、成果を残すことで地域活性につながると思います。
気がついたら活動に参加していた、くらいでいい
―――若者サミットはまちづくりに取り組む若者たちが出会い、つながりあう場として今年で3回目を迎えました。今年のサミットで一番印象に残ったことはどんなことでしたか。
清水さん:バーベキューなどのイベントをしている団体が楽しそうでした。
倉澤さん:大正大学地域創生学部の方が発表されていた、公園でのまちづくりが印象に残りました。お年寄りの人の居場所や交流場所になっていて良いと思いました。
本川さん:ながさき若者会議の寺子屋の取り組みが面白かったです。子どもが少ない地域では公園がないこともあり、共有スペースとしてお寺が使えるという点に驚きました。
神戸さん:同じ高校生の団体の方が発表されていた中で、イベントにはやる気のある人しかこないという言葉にとても共感しました。結局、関心のない人にどうやって届けるか、ということが一番大きな課題になってくると思います。
―――そうですね。活動をどう広げるかということは、サミットに参加した全員に共通する課題ではないでしょうか。
本川さん:まちづくりに参加するという固い感じではなく、気付かないうちにまちづくりに関わっている取り組みを沢山することが大切だと思います。自然とまちづくりに関わる取り組みでまちのいいところに気付いてもらうために宣伝していく必要があると思います。
清水さん:言わなければまちに望むことが分からないので、希望を出せる場をつくることも大切だと思います。
倉澤さん:気付かないうちに参加してもらうためには、例えば B 級グルメのイベントで食べ物にチラシをつけて地域への興味を広げていくことで地域活性参加のきっかけをつくれると思います。
―――気がついたら、まちづくりに参加していた。そんな取り組みを広げていくためにできることはいろいろありそうです。中でも、都市と地方の格差が広がり、地域の持続可能性が問われています。地域の未来を担う私たち高校生の意見をお聞かせください。
神戸さん:過疎化問題については人の呼び込みが大切だと思います。美濃加茂市山ノ上町金谷地区は空気が本当にきれいです。肺が喜びます。まちのいいところを知ってもらう民泊イベントの開催などは解決につながるのではないかと思います。
倉澤さん:後継者不足の問題では若者に発信することが大切だと思います。HP やアプリなどネット上で募集し、後継したい人が集まれる場所をつくり市や県全体でアピールすることで解決できると思います。
本川さん:地域で活動するうえで若者でも大変なことも多いです。手作業で行うハーバリウム作りなどは誰でも参加しやすいため、一緒に地域活性のためにできることを考えることも大切だと思います。
―――地域活性に興味のない人に関心を持ってもらうために、必要なことについて具体的な意見を聞くことが出来ました。気づかぬうちに参加している場面を増やせるようなイベントが、これからさらに開催されていくことが地域活性の近道なのかもしれません。
美濃加茂アジサイ俱楽部の皆さんは過疎化問題や後継者不足問題などの地域課題を考えるだけで終わるのではなく、様々な解決策を考えられていて驚きました。地域活性について興味を持つ人が増えれば、地域課題を解決するための糸口が見える可能性が高くなるのではないでしょうか。
働くことを通じて地域課題解決に貢献したい
―――さて、皆さんも私もいま高校3年生。もう卒業ですね。卒業後の進路や将来の仕事についてどのように考えていますか。
本川さん:私は美容専門学校に進学します。将来は写真家や着付け師として岐阜県内で働きたいです。フラワー装飾技能士の資格を持っているので、着付けの際にはアジサイなどのお花を髪に飾りたいですね。
神戸さん:名古屋の大学に進学します。歯科衛生士として働きたいです。地域で高齢化が進む中で高齢者の歯を見てもらえる場所が少ないと感じていて、自分がその問題を解決することで岐阜県に貢献できたらいいなと思っています。
倉澤さん:園芸流通科で学んでいたので園芸系の学校に進学します。フローリストとして地域交流を通して園芸福祉のような仕事がしたいです。
清水さん:私は就職します。食材や雑貨を地域の人に届ける仕事なので今までの活動で築いた地域の人との関わりを活かして地域の人を笑顔にしたいです。
―――高校を卒業される段階で将来の目標がしっかりあるだけでなく、地域に貢献するという目的の両方を見据えていることに非常に驚きました。美濃加茂アジサイ俱楽部での活動で終わりなのではなくこれからも地域活性に携わるという皆さんの強い意志を感じました。
さて、今日は顧問の中島先生にもご出席いただいています。若者サミットでの衝撃のプレゼンの黒幕は中島先生だったとか。そんな中島先生にとって生徒たちはどんな存在ですか。
中島先生:実は事情があり、学年が変わるタイミングで担任を自分がやることになったので、初めは居心地の悪さを少し感じていました。そのような中で仲間づくりをしていたら、いつの間にかまちづくりが見えてきたという感じです。生徒は私の居場所をつくってくれました。(一同拍手)また、学校の校内課題研究発表会では最優秀賞もとることが出来ました。最優秀をとったらスタバのフラペチーノをおごることになっていたので、この後、連れていきます。
全員:やったーっ!!
中島:こんな感じでいいでしょうか。(一同笑い)
取材後記 明確なビジョンに驚き
若者サミットでの登壇でとても興味深いプレゼンをされていた加茂農林高校の方に取材をする機会を頂くことができ、非常に良かったです。若者サミットでは聞くことができなかったことも沢山伺うことが出来たのではないでしょうか。文字にするとなかなか伝わりにくいですが、取材時も終始笑いが止まらず、あっという間に時間が過ぎていきました。
私も同じ高校三年生ですが、同い年とは思えないほど明確なビジョンを持って活動されていて驚きました。地域活性の活動の中でも常に主体的に行動されていることがとても分かりました。地域課題についても同世代の人がどのような考えを持っているのかということを知ることが出来て良かったです。
インタビューを通して美濃加茂市では地元の人同士の繫がりが深く素敵だと思いました。これからの活動を伺った際には雇用をつくることまで考えられていて、とても勉強になることが多くありました。また、地域活性に興味がある人を増やしていくためには、気付かずのうちに地域の活動やイベントに参加している状態をつくるということをおっしゃっていたことも印象的でした。私自身、地域活性に興味があるのですが、直接的に地域に貢献ができていないので加茂農林高校の皆さんの行動力を見習い、今回伺ったことを参考に、いつか地域のために新しいことを実行できたらいいなと感じました。
【取材した人】
池田明日香(いけだあすか)神奈川県川崎市在住の高校三年生