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【ファゴット】ってどんな楽器?

このマガジンでは、【『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ】 の各メンバーがそれぞれの楽器にまつわるお話をお届けします。

★本日は【ファゴット】です★(担当:バンドマスター・ぴかりん)

 オーケストラをイメージしてください。ステージで弦楽器が前方を占め、後方に管楽器、そして打楽器がだんだんと積みあがっているように見えます。その管楽器。トロンボーンの前に煙突が2本くらい出ているのに気付いている方がおられるでしょうか。そうです、それが【ファゴット】なのです。

オーボエではありません。【ファゴット】です。

 よくよく「オーボエですか?」と聞かれたり、「あれはオーボエだよ」っとお客さま同士で耳打ちし合うのを聴きますが、違います、「ファゴット」です。オーボエとはダブルリードという、二枚に重なったリードを使用して演奏する木管楽器、という点だけが同じですが、だいたいオーボエの人はファゴットの人と一緒にされるのは嫌みたいです。(オーボエは神経質な人が多いのに対し、ファゴットは大らかな変人が多いと言いましょうか…、分かりやすく言うと、京都の人が大阪人と言われるのが嫌がるのと同じです)

 もともとは260cmもある管を二つに折り曲げている楽器ですので、イタリア語では「Fagotto」(薪の束)という意味になります。ドイツ語では「Fagott」。
「バスーン(Bassoon)」というのは英語での呼称です。(英語圏で「Fagott」と言うと、男性の特定した性的嗜好のことを指すので注意)

『バソン』と『ファゴット』の違い

 10年ほど前にとても流行った「『のだめカンタービレ』というマンガに出てくる『バソン』とは違うの?」と聞かれることがありますが、これは違うんですね。

 ファゴットにはジャーマン式とフレンチ式があり、名前の通り、ドイツとフランスの差があります。
 フレンチ式のファゴットのことを『バソン』と言います。フランス人・ロシア人の作曲家は『バソン』を指定しますが、現在はフランスのオーケストラでもだいたいジャーマン式を使用しています。


 なぜか?それは、ジャーマン式の方がメカニックが優れているからです。音程・音量・発音・音域、どれをとってもジャーマン式の方が勝っていますが、『音色』だけは、これは好き好きですね。「のだめ」に出てくる「ポール君」という大らかで変わったフランス人も、このポイントに大きなこだわりを持っています。
 たしかに、フレンチの楽曲の「エスプリ esprit=軽妙洒脱なウィット」を表現するのはやはりバソンの方が向いているのかも。なんてったって、作曲家はバソンの音をイメージしてますからね!

◆同じ曲を聞いてみます。
フランシス・プーランクの「オーボエ、ファゴット、ピアノのための三重奏曲」
ジャーマン式(ファゴット)を使った演奏


フレンチ式(バソン)を使った演奏

 わたしは…やっぱりジャーマン式の方が好きです。みなさんはどちらがお好きですか?

意外とカスタム要素が多いファゴット。


 ちなみに、ジャーマン式の中でも「4ピース」「5ピース(ジェントルマンスタイル)」の楽器があり、「細管」「太管」があります。4ピースと5ピースの違いはロングジョイント(奏者の左手に来る一番長いジョイント)のリングの多さにあります。一般的には5ピースの方が重厚な響きがしますが、4ピースの方が操作性に優れて小回りが利きます。これも好き好き。わたしのような室内楽奏者、特にわたしたちクレモナの楽譜をばきばき演奏するには、やはり4ピースの方が向いているように思います。
 そして、まだあるのですが、リードの手前に取り付ける、「ボーカル」という銀のジョイントも実は「1番ボーカル」と「2番ボーカル」があり、そこでわずかな長さ調節(ピッチの調節)ができるようになっているのです…!

 わたしのセッティングは「4ピース」「太管」「2番ボーカル」です。
(ちなみに↑の動画のファゴットの彼が持っているのは5ピースの楽器ですね!)
 思ったよりややこしいでしょ?これがまたこだわりの強い変わった奏者を生み出す要因になっているんですね。たぶん。
 
◎こちらが詳しいです!◎
ファゴットの誕生ストーリー(リンク元/YAMAHA)https://yamaha.io/2JBMZKs

次回のわたしの持ち回りの時は、私の大好きな自分の楽器「YAMAHA」についてお話ししますね。

ファゴット担当 ぴかりん

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