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始動

夫が数ヶ月スペインに帰国することになり、昨日出発した。
体重が自分の2倍以上あり、家事をするためいつも忙しなく動き回っていた夫が家の中からいなくなると、物理的にかなりの質量が失われた気がする。

「さびしい」という言葉では言いあらせわない、ぽっかり穴のあいた感じ。真夏なのに、胸の奥がスースーするような。

今日は久しぶりに朝から洗濯機をまわし、夫が作り置きしていったトマトソースを使ってミネストローネを作り、おそらく半年ぶりぐらいにお米を炊き、食器を洗った。

私は家事の中で洗いものが大の苦手で、それを知る夫は私に一切洗いものをさせなかった。彼が購入した真っ青な洗剤(自分じゃ絶対買わない)をスポンジに吸い込ませ、ぎこちなく食器を洗いおえた。

仕事も家事もフルにしたのに、まだ夜の9時だった。
なんだか信じられない。
一人になると、二人分の時間を独り占めできるはずがないのに、
どうしてだか時間が長く感じる。
しんとした部屋の中で時間と空間が無限に広がって、身体を圧迫してくる気がする。

国際結婚に遠距離はつきものだから、早々にこの状態にも慣れ私は新しい日常を手に入れるのだろう。
夫がいない食卓は味気ないけれど、足りないと思う気持ちにも折り合いをつけてなんとなくやっていくんだろう。

この1ヶ月、書きたい気持ちが強かったけれどなぜか書けなかった。
リハビリをするように、今またキーを叩いている。
言葉未満の、形にならない何かが喉元に引っかかっていたけれど、少しずつ言葉の形に丸めて、吐き出していく。

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エヌ
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