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iDeCo、NISAを始める前に知っておかないとヤバい投資信託の話

今回は投資信託の話。
iDeCo、というか確定拠出年金では個別株に投資することはないのでこの投資信託というものに投資することになる。
投資信託の説明としてよく見るのが、投資家に代わってプロが運用を代行してくれる、というものだ。

今回は投資信託はどうやって作られるか、どういう投資信託があるか、注意すべきことといった順でいこう。

まず、投資信託には大まかに契約型と会社方がある。
会社型は不動産投資信託やデータサーバー投資信託のようなものに使われることが多い。
一方で有価証券投資信託は契約型であることが多い。
契約型投資信託の場合、登場人物は二人。
実際に投資信託を運用するファンドマネージャーを擁する運用会社と、投資信託の価値を保証する裏付け資産を管理してくれる信託銀行である。
単純な現物のみを保有する投資信託の場合は、信託銀行は投資信託用の口座である信託口を設定する。
ここに運用会社が投資信託の運用方針に基づいた株や債券の集まりを入れておく。
あとは運用方針に従ってファンドマネージャーが信託銀行に指示を出し信託銀行が資産を管理する。
このときに信託銀行は信託財産から発生する損益を受け取る権利を受益権証券として発行する。
投資家はこの受益権証券を受け取ることで、間接的に信託財産に入っている有価証券に投資することができる。
これが投資信託というものだ。

投資信託には上場されていて取引所で取引されるETFと非上場の投資信託がある。
ETFは市場で取引されるのでその需給によって市場で価格が決まる。勝手に放っておくとどんどん信託財産の価値から価格が乖離しかねない。
なのでマーケットメイカーという人たちが信託財産の価値にETFの価格が収束するように裁定取引を行っている。
裁定取引というのは簡単に言うと理論価格と市場価格の差を利用して市場価格が高すぎれば売り、安すぎれば買うという方法で利益を出していく方法だ。大抵の場合その理論価格というやつが信用ならないのだが、ETFの裁定の場合は理論価格はかなり明確だ。
中身の価値を反映するはずのものがその中身の価値と乖離しているかもしれないのだ。
50円のりんご、80円のみかん、70円のバナナがあって、それらをまとめ売りしているバスケットが250円だったら怒るだろう。
そうならないように調整する人達がいるという話だ。

普通の投資信託はいつでも売買できるわけではなく日に一回取引できる。(厳密には投資信託は誰かに売りつけるわけではなく、いらなくなったらバラしてしまうので設定、解約と呼んでいる。)

投資信託の種類を運用方針の観点から分類するとパッシブファンドとアクティブファンドというものがある。
1868年のイギリスで投資信託が開発された当時、植民地などへの投資ニーズがあったが専門知識が必要であった。
投資信託はその後、中身を複雑な戦略を運用をするヘッジファンド的なものも現れてきた。
時代が変わるきっかけになったのは1952年に発表されたハリー・マルコヴィッツの平均分散アプローチ理論の論文であった。
それまで株への投資はリターン良し悪しのみが評価されていた。
しかし平均分散アプローチではリスクというものを考えた。
価格の変動性をリスクと捉えそのリスクに対してどれくらいのリターンがあるか、というシャープレシオが導入されるきっかけになった。
また平均分散アプローチに基づけばリスク・リターンのバランスが最も良いのは市場にある全ての株式を株式数×株価の大きさの比で持つ(つまり市場そのものを複製するのだ)のが良いという結論になる。
こういう比重のことを時価総額加重平均と呼び、この比で作ったものを市場ポートフォリオとかと呼んでいる。(そもそも株の集まりのことをポートフォリオと言っている。)

こうしてただ市場を複製するだけのポートフォリオが意外とパフォーマンスがいいよねという歴史的な経験に理論的なバックグラウンドができた。

世界初のインデックスファンドはウェルズ・ファーゴがサムソナイト社の社員の年金の運用向けに設定したものと言われている。
その後運用会社のヴァンガード社が市場そのものを複製する訳では無いが500銘柄の優良銘柄を選んで時価総額加重平均で保有する指数を開発した。みんな大好きS&P500である。

あとは我々の身近な指数に日経平均株価指数というものが存在する。日経平均株価指数は単純平均を計算するダウ方式を採用している。要は225銘柄の株価を全て足して225で割るわけだ。(除数は株式分割、配当落ちがあると指数の連続性を維持するために調整されるので2023年7月3日現在は225ではなく29.50866151となっている)
結果的に株価の数字自体が大きい値嵩株の影響を受けすぎるという構造的な問題がある。実際に日経平均のパフォーマンスはファーストリテイリングの影響を受けまくる。
これが主要な株価指数とされるというのはいかがなものか……
と言うことでもう一つ紹介したいのがTOPIXという株価指数である。
東証プライム市場(旧東証一部)全体の株式を時価総額加重平均したパフォーマンスを、1968年1月4日を100として算出したものである。そう考えると現在は20倍以上にもなっている。
しかし東証プライム市場には以前から指摘されている通り、ほとんど取引されない株や成長の見込めない株が上場しているのも事実である。(それを解決するためにプライム市場に変更したはずなのだが……これからの市場の動きに期待。)

日本にはろくな株価指数がないと思ったあなたに紹介したいのがJPX日経400という取引所グループと日経新聞社が共同で開発した指数である。
彼らが東証プライム、グロース、スタンダード市場から選出する400の優良(?)銘柄を時価総額加重平均したポートフォリオのパフォーマンスを2013年8月30日を10000として算出したものである。

ともかく何に投資したいかはお任せする。
インデックスファンド 一覧、とかでググるといろいろ出てくるだろう。

投資信託に投資するときに注意すべきことはコスト面である。運用してくれるプロに支払う報酬である信託報酬と販売会社への売買手数料である。
コストは大体投資額の何パーセントとという設定のされ方をする。つまりコストの数字の分だけ単純にパフォーマンスが悪化する。
投資信託を買う前に必ず、交付目論見書という書面が交付されるので絶対に確認すべきである。
同じ指数に連動するものなのであれば信託報酬は安いものである方が良い。
大体運用額が大きいファンドほど、シンプルなインデックスファアンドほど安い傾向にある。

ややこしいアクティブファンドほど報酬が必要なのは納得感があると思うが、本当に高い報酬を説明するほどパフォーマンスが良いかは過去のパフォーマンスからしっかりと確認すべきだし買ったあともしっかり注視していくべきだ。

インデックスファンドについて言えば金額が大きかろうが小さかろうが関わる人数は変わらないので運用額が大きいほど投資家一人あたりが負担するコストは安い。
しかしインデックスの中身に売買しにくい株などが含まれていると、運用する際にトレードコストがかさむため信託報酬が高くなる可能性がある。
マザーズ総合指数ファンドなどは運用額も小さく中身に取引が少ない株が多いためコストが高めである。

JPX日経400に関して言えば取引がしにくい株などは含まれないようになっているが、運用額が小さいため日経平均ファンドなどに比べればコストが高い。

S&P500などは取引しづらい株もなく運用額もとんでもないのでコストもかなり安い。
今後もアメリカの成長が続くと思うのであればかなりおすすめではあるが、為替には注意すべきである。
ファンドとしては円で投資できたとしても中身はドル建てである。つまり為替リスクがあるため円高に振れると円建てではパフォーマンスが悪くなる。
為替ヘッジ付きというものもあるが、この場合は為替ヘッジをするための取引のコストと追加取引に伴う手数料が取られる。
つまり信託報酬が高くなる。
今のように金利差が開いているときは要注意である。


余談ではあるがネットやツイッターではインデックス投資が最強でアクティブファンドは碌でもないといった論調を見かけることが多くなった。

確かに世に出回っているデータを元にアクティブファンドを評価してインデックスファンドと比較するとインデックスファンドのほうがパフォーマンスが良く見えるのは事実だ。
しかし世に出回っているファンドのデータというのは非常に限られている。
本当にパフォーマンスの良いファンドというのは一般の投資家が投資できる公募ファンドではなく、特定の人のためだけに組成されるプライベートファンドとして設定される事が多い。こういったものは一人で数十から数百億円相当の資金を用意できる人のために設定される。そしてそういったファンドのデータは公表されない。
また、プライベートファンドの戦略が公募ファンドとして世に出て流行ると皆が同じ取引をすることになり収益機会が減少した結果パフォーマンスが悪化する。

結果的に大衆が投資するならインデックスファンドだという言説はあながち間違っていなくもないのかもしれない。
しかしそれはインデックス投資が最強であることを意味しないということは理解しておくべきであると思っている。

今回はこのくらいで終わっておこう。
では、また、
さよなら、さよなら、さよなら。


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