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ウクライナのIT力とロシアの誤算:通信網『スターリンク』と『泥の海(ラスプティツア)』

今も、ウクライナの住宅、学校、病院、劇場、公共機関がロシア軍による爆撃で破壊され、多くの市民が命を落としています。

戦うウクライナの人たちの自由のためでなく、生きるために戦っている」という言葉に、現実の残酷さを感じました。

こちらは、昨日のnoteのライターさんの記事で紹介されていたYouTuber、『サワヤンちゃんねる』の河野さんとの対談です。

ウクライナYouTuberの流暢な日本語で、ウクライナがぐっと身近に感じます

ウクライナ人のIT力・情報発信力自国を守ろうとする断固とした姿勢で、現在、ロシアの軍事作戦は膠着状態になっています。

今回は、長引くロシアのウクライナ侵攻の要因についてです。

ウクライナのIT力とテスラーの通信網「スターリンク」

ロシアは、ウクライナ侵攻で最初にテレビ塔を破壊したことで、ロシア部隊が軍の通信ラインを使えなくなり、ウクライナの一般電話回線を使ったことで、ロシアの上官の死亡がウクライナ側に傍受されてしまいました。

一方、テレビ塔を破壊されたウクライナはアメリカの『スペースX(民間宇宙開発企業)CEOイーロン・マスク氏に依頼して、通信網『スターリンク』を利用し通信状況を回復しています。イーロン・マスク氏は電気自動車テスラーの創始者としても有名ですね。

ウクライナ軍情報当局は、3月8日、ロシア第41軍第一副司令官ヴィターリー・ゲラシモフ少将がハリコフ近郊の戦いで死亡したと発表した。
戦闘の現場で司令官クラスの上級将校が死亡することはまれだ。司令官は、戦況に応じて部隊を指揮するのが本務で、普通は生死をわける最前線には出ない。

ゲラシモフ少将は、
首都グローズヌイを瓦礫だらけの廃墟にした1999年の第二次チェチェン戦争や、2014年の電撃的なクリミア併合作戦、
さらに2015年のシリアの軍事作戦にも参加した歴戦の司令官だ。
 
ウクイナがゲラシモフ少将の死亡の情報を入手したのは、戦闘現場のFSB(連邦保安局)連絡員が上官に報告した際の、電話を傍受したことによるものだという。

ロシア軍情報員からの電話はウクライナのSIMを使い、ウクライナの国番号からロシアの国番号の上官宛にかけられていたため、やすやすとゲラシモフ少将の死がウクライナ軍当局に傍受されてしまったのだ。

■ 自らの攻撃が招いた最新通信システムの機能不全

2014年7月17日、ウクライナ東部を飛行中のマレーシア航空17便がミサイルによって撃墜され乗客乗員298人が犠牲になった事件だった。
明らかにロシア製の移動式地対空ミサイルが使われていたにもかかわらず、関与をかたくなに否定するロシアに対して、ウクライナ保安局は通信傍受記録を公開し、親ロシア派武装勢力がロシアに撃墜を報告していたことを明らかにした。

プーチンはこの撃墜事件を受けて、西側の通信機器を使用することを禁止し、勤務中個人の携帯を持つことを禁じるという措置をとった。2021年にERAという第3、第4世代移動通信システムを用いたクリプトフォン(暗号電話)を全部隊に配備していたはずだった。
しかしハリコフ突入時に、ロシア軍はハリコフの電波塔を、戦略施設として真っ先に破壊したため、ERAを使用できなくなり、禁じられていた一般回線を使うしかなかったようだ。

■ イーロン・マスク氏に協力訴えた副首相

一方、ロシア軍が電波塔を破壊したためインターネットが困難に陥ったウクライナのフョードロフ副首相は、2月26日ツイッターで、アメリカの民間宇宙開発企業『スペースX』のCEOイーロン・マスクに、「スターリンク端末をウクライナに提供してほしい。」と要請。
フョードロフ副首相は、デジタル転換相も兼ねる31歳の元ビジネスマンで、公共サービスや教育のデジタル化を進め、ウクライナ全土で4G回線の導入を実現させたデジタル世代の申し子だ。
『スターリンク』とはスペースX社が開発を進めるインターネットアクセス衛星で、1600を超える小型衛星と専用送受信機をつなぎ、ネットが使用できる仕組みだ。
3月13日の1日だけでも、スターリンクのアプリは、ウクライナ国内で2万1千回ダウンロードされていて、これまでの総数は10万回を超えるという。

■ 「イエスマン」に向けられた大統領の不満

プーチン大統領の最大の不満はショイグ国防相にむけられていると言われている。ショイグ国防相はKGBでの勤務経験もないまま、2012年プーチン大統領から白羽の矢を立てられて国防相に就任した。
ショイグ国防相は、2014年のクリミア侵攻、シリア空爆などにかかわり、巨額の予算を投じてロシア軍の近代化を図り、プーチン大統領のシベリアでの狩りや乗馬などに同行する「イエスマン」としてのイメージが付きまとっている。
残酷な戦争にも法はあり、ウクライナ各地でおこなわれているような民間人、民間施設への無差別攻撃は人道上の犯罪だ。だがウクライナ軍の捕虜になった若いロシア兵たちは、「軍からは犯罪を犯しても構わないという命令を受けている」と明かしている。
自身の失地回復にために、ショイグ国防相がウクライナ市民に対し、さらに無慈悲な攻撃に突き進むのではないか…そんな懸念すら現実味を帯びてきている。


戦車が雪解けでぬかるみの『泥の海(ラスプティツア)』に!

ロシアが軍事侵攻を始めたちょうどその時、北京オリンピックが始まり、習近平さんはプーチン氏に「オリンピックが終わるまで待って」とお願いしたそうです。

それでも待てなかった理由に、雪解けの季節になると戦車がぬかるみの『泥の海(ラスプティツア)』で動けなくなる事情があったそうです。

キエフを2日で陥落させるプーチン氏の戦略は実現できず、まさに、雪解けで進路がぬかるみ状況になり戦況はさらに泥沼化してきています。

ロシアに抗戦奏功!?ウクライナ戦況異変(2022年3月20日)

ロシア軍のウクライナ侵攻から25日。南部の都市マリウポリなどへの、民間人の犠牲をいとわない”非人道的な攻撃”が激しさを増している。極超音速ミサイル「キンジャール」も初めて実戦で使用した。
その一方で、首都キエフへの進軍は停滞したままだ。ロシア軍は、ウクライナ軍の的確な反撃に加え、春の雪解けに伴う「泥の海(ラスプティツア)」で進軍が困難になっており、遠距離砲撃に頼らざるを得なくなっている可能性がある。
アメリカは、ロシアが苦戦に陥った場合に、生物・化学兵器を使用する恐れも警戒している。


「キンジャール」などの極超音速ミサイルで、民間住宅を攻撃する恐怖作戦に切り替え、化学兵器や核の使用もほのめかしながらウクライナに圧力をかけています。

Why was Russia’s invasion of Ukraine such a miscalculation? | Ukraine latest

Ukrainian Deputy Prime Minister said that a total of 3,343 people were evacuated from Ukrainian cities via humanitarian corridors on Thursday. She said 2,717 people managed to leave Mariupol, which is under siege by Russia. Russian forces had prevented humanitarian aid convoys from entering Mariupol.
Oleksiy Arestovych said that the battlefront is "practically frozen."
Russian forces are "practically at a standstill" and claimed
Russian troops lack the resources to advance their offensive.
Russian forces face shortages of fuel, ammunition and rations.

報道では、ロシアの戦略には誤算があり、長期化するなか、燃料・弾薬・食料の配給が足りていないようです。


The battle of Irpin: Meeting the Ukrainian resistance • FRANCE 24 English

In Irpin, just outside the Ukrainian capital Kyiv, a multi-faceted resistance movement is preparing to face the approaching Russian troops. Our team met Bohdan, a Ukrainian artist; Maxime, a Russian artist; and Sergiy, a Ukrainian member of the French Foreign Legion. All of them will play a role in defending their city.

キエフを2日で陥落、ウクライナ軍事侵攻を2週間で完了できなかった誤算

ウクライナ軍は、入手したロシアの機密文書をもとに、ロシアは2週間程度で侵攻を完了する計画だったと暴露した。
ロシアの侵攻停滞の理由について、燃料や食料の補給が依然としてスムーズに進んでいないと指摘。
スコット・ベリア米国防情報局長は、8日、ロシア軍の死亡者を2000~4000人と推計。
軍事サイト「Oryx」によると、
ロシア軍の戦車・装甲車の損失は22日時点で800台超(ウクライナ軍の3.5倍)
対地・対空ミサイルも約140とウクライナより約6割多い。

ロシアは侵攻までに15万~19万人の兵力を国境付近に集めている。
弾丸や燃料、食料など兵士1人の維持にかかる費用を1日1000ドル(約12万円)と仮定すれば、1日に1.5億~2億ドルの支出が続く。今後戦費調達が苦しくなることなどもあり、ロシア軍は激しい攻勢を長くは続けられないと分析。

ロシア軍は都市部への多数の砲撃などでウクライナの抵抗力をそぐ方針に転換し、南東部の港湾都市マリウポリでは、避難所や商業施設などへの無差別砲撃を繰り返し、深刻な人道危機が発生している。

少なくとも953人の一般市民が死亡したと国連は発表しているが、実際にはこの数を大幅に上回るとの見方が多い。1000万人超が国内外で避難生活を強いられている。


プーチン氏とゼレンスキー大統領のプロパガンダ対決

Will Vladimir Putin be removed from power? | 7NEWS

One of Australia’s leading intelligence experts gives his take on whether Putin’s days are numbered, as the Russian invasion stalls in Ukraine.

Interview with Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy | DW News

In an exclusive interview for Eurovision News in Kyiv, Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy has told TV reporters that he is ready to discuss a commitment from his country not to seek NATO membership in exchange for a cease-fire, Russian troop withdrawal and guarantee of Ukraine's security.


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