食欲の秋に食育について考えてみよう
いくらか涼しくなってきましたが、まだまだ暑さは残る今日この頃。
とはいえ暦の上ではすでに秋になっています。気温も暦についてきてくれればいいのになぁ。
さてそんなわけで、今回からしばらくは「〇〇の秋」シリーズで子どもに関わるテーマを扱っていければと思います。
第1弾は「食欲の秋」です。
食欲の秋こそ、食べたいものを好きなだけ!
とでも言いたいところですが、ほどほどの良識を。
子どもも大人も意外と知らない「食育」の話について情報を集めてみたので、ぜひ親子で一緒に読んで、適度に食欲の秋を満喫してください!
1. 食育の基本を知る
「食育」という言葉が社会にとりわけ表立って出てきたのは、2005年(平成17年)に「食育基本法」が制定されてからです。
ここではその当時「食育」をどのような意味合いを込めて使おうとしたのか、そういった食育の基本を確認できる資料をご紹介します。
(1)『食育の推進に向けて〜食育基本法が制定されました〜』(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/seikatu/iken/pdf/syoku_suisin.pdf
【資料の概要】
・食育基本法が制定されたことを受けて作成されたパンフレット。
・食育の基本や食育を取り巻く課題、その推進体制等についての大まかな見取り図を知ることができます。
【目次】
1. 食をめぐる問題とは?
2. これまで食育はどう取り組まれていたの?
3. 食育の推進体制はどうなるの?
4. 今後、こんな取組みが進められます!
5. 食事バランスガイドを作成しました!
(2)食育ってどんないいことがあるの?(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/pdf/all.pdf
【資料の概要】
・様々な研究データを参照しながら、食育のメリットをエビデンスベースで説明するパンフレット。
・本資料から諸海外の食育関連サイトへ簡単にアクセスすることができるのが良い。
【目次】
・はじめに
・第3次食育推進基本計画を進めるために
・本パンフレットのメッセージを正しく読み取るために
・食育の推進に役立つエビデンス(根拠)
・諸外国の食育施策
2. 食育を楽しく学ぶ
さて続いて、食育をご家庭でも実践する上でためになるような情報をご紹介します。
イラスト豊富なものもたくさんありますので、ぜひ親子で楽しんで見てみてください!
(1)『食育ガイド』(内閣府)
https://www.pref.yamanashi.jp/shokuhin-st/documents/shokuikugaido.pdf
【資料の概要】
・家庭で食育に取り組む方向けの、すべてのライフステージに応じた食育の手引き。
・簡易な表現でイラストも豊富。小学生高学年以上向けとのこと。
【目次】
1. 生涯にわたる食の営み
2. 食べる
3. 生産から食卓まで
4. 災害への備え
5. まとめ
(2) 食育タウン(江崎グリコ)
https://www.glico.co.jp/shokuiku/index.html
【資料の概要】
・食育タウンの住民からいろんな情報を教えてもらえる、遊び感覚でも楽しめるサイト。
・食育に関するゲームや、食育ポスターのダウンロードなども可能。
(3)食育大辞典(株式会社日本食品薬化)
https://shokuiku-daijiten.com/
【資料の概要】
・食育に関するコラム等が掲載されているサイト
・食育の現場訪問や健康レシピの紹介、食の豆知識など、豊富なテーマから自分の関心のものを見ることができる。
3. 【主に先生向け】学校での食育
こちらでは学校の先生向けの食育情報を集めてみました。食育は複数の教科をまたがって実践される取り組みでもあるので、専門以外の方もぜひご確認いただければと思います。
(1)食育に関する指導の手引き(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/__icsFiles/afieldfile/2019/04/19/1293002_13_1.pdf
【資料の概要】
・食育の指導計画の立て方から評価の仕方まで、学校における食育の全体がまとめられた資料。
・末尾には食育に関する基本的な法律や計画などが原文で掲載されている。
【目次】
1. 学校における食育の推進の必要性
2. 学校・家庭・地域が連携した食育の推進
3. 食に関する指導に係る全体計画の作成
4. 各教科等における食に関する指導の展開
5. 給食の時間における食に関する指導
6. 個別的な相談指導の進め方
7. 学校における食育の推進の評価
(資料)
(2)食育活動集(全国学校栄養士協議会)
http://www.zengakuei.or.jp/pdf/publication/20190320/act201903.pdf
【資料の概要】
・食育の指導の実践例について、全国の様々な事例が集められた資料。
・指導案の実物を確認することができる。
【目次】
1. 給食の時間における食に関する指導
2. 食に関する指導の連携・調整
3. 教科等における食に関する指導(学習指導案)
(3)食育の時間+(マクドナルド、NPO法人企業教育研究会、NHKエデュケーショナル)
https://www.chantotaberu.jp
【資料の概要】
・「子どもたちに楽しく食べる喜びを知り、食に関する正しい知識と生活習慣を身につけることで食を選択する力を育んでほしいと願って開発した小学校向けのデジタル教材」
・「成長期の子どもたち自身が知っておきたい“食にまつわる基本”を7つのテーマにまとめ、アニメーションや動画、アプリを楽しみながら、自分事として学べる教材」
・もちろんご家庭でも使用可能。
おわりに 〜「食べること」を考える〜
いかがだったでしょうか。
健全な食生活を実践することができる。
そのために必要な食を正しく選択することができる。
そんな人を育てることを目指した「食育」のあらましを紹介してきました。
他方、「食育」の範囲からは少し逸れるかもしれませんが、そもそも「なぜ食べるのか」「食べることとは何なのか」ということについても少し立ち止まって考えてみるのも良いでしょう。
「食べること」は、「健全に生きるため」という理由以前に、人が「生きるため」には必ず必要とされる営みです。
さらにそれは、ただ単に健康に良いものだけを食べるというだけではなく、食べ過ぎること(蕩尽、過食)、食べないこと(拒食、断食)、食べるために殺生することなど、様々な姿を現してきました。
「なぜ食べるのか」「食べることとは何なのか」
最後に、そんな問いとじっくり向き合える本をご紹介します。
檜垣立也(2018)『食べることの哲学』世界思想社.
「…どうして私は食べることをテーマとするのかについて、おおきな枠組みを設定しておきたい。それは、食べることは人間を考えるときに、文化・社会としての人間と、身体・動物・生命をもった人間との両側面が、きわめて矛盾しぶつかりあいつつ接触する地帯であるからにほかならない。」
文化的・社会的に食生活を営む以前に、人間は「食べること」を通して身体的・動物的な次元にもつながっている。
そんなことを改めて考えさせてくれるような1冊です。
【本書のメニュー】
0. 突き出し:われわれは何かを殺して食べている
1. 前菜:料理の技法――味・レヴィ=ストロース・腐敗
2. オードヴル:カニバリズムの忌避――法の外のタブー
3.スープ:時空を超える宮沢賢治――生命のカニバリズム
4.肉料理:食べることは教えられるのか――「豚のPちゃん」から学ぶこと
5.海産料理:食べてよいもの/食べてはならないもの――イルカ・クジラ漁と『ザ・コーヴ』の真実
6.デセール:人間は毒を喰う――アルコール、嗜好品、デザート
7.食後の小菓子:食べないことの哲学――絶食と拒食
上記リンクから、「0.突き出し:われわれは何かを殺して食べている」の試し読みができます!ぜひ読んでみてくださいね!
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