兵庫県・斎藤元彦知事、PR会社との関係に波紋—その真相とは?
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る選挙運動に関して、PR会社の代表が自身のSNSで「広報全般を任された」と投稿したことが問題となり、公職選挙法違反の可能性が指摘されています。この件について、知事側の代理人は「PR会社との契約書は交わしていない」と説明しました。
11月20日、兵庫県内のPR会社の代表がネット上で「選挙広報の戦略立案や監修を責任を持って行った」とする内容のコラムを公開し、これが公職選挙法に抵触する恐れがあるとの指摘を受けました。斎藤知事は、違法性を否定し、依頼した業務は法的に問題のない「チラシやポスターのデザイン制作」などに限定されており、約70万円(税込)を支払ったと説明しています。
その後、知事の代理人が「PR会社とは契約書を交わしていない」と述べ、指示はメールやSNSを通じて行われたと明かしました。代理人は、違法行為は行っていないと主張し、12月2日には選挙資金の収支報告書を提出予定であり、その前に業者からの請求書も公開する意向を示しています。
兵庫・斎藤知事がPR会社に支払った対価70万円
ここで、斎藤知事がPR会社に支払ったとされる70万円(税込)の内訳を見ていきましょう。
メインビジュアル企画・制作 10万円
チラシのデザイン 15万円
ポスター・デザイン制作 5万円
公約スライド制作 30万円
選挙公報デザイン制作 5万円
計70万円(税込)
※知事の代理人弁護士の証言に基づく
同じPR会社としての意見
私は映像制作・編集を行う会社を運営していますが、お客様からの依頼があれば映像以外にもチラシのデザイン、スライド制作、その他デザイン全般を請け負うことも珍しくありません。そのため、弊社も同様にPR会社と言って違いないわけですが、そんな私の意見を記載します。
まず最初に思った点ですが、これは朝の某ニュース番組でPR会社の業務内容に詳しいとされる方(以下Aさん)がインタビューに答えていた内容です。
1、PR会社に支払った対価が安い
まず最初に私が疑問に思ったのが、Aさんは「PR会社に支払った金額70万円(税込)は安い」と言っていたことです。Aさんはこの70万円の内訳を考えると支払った金額は安いほうだと言っていました。私はこれを聞いて、この人は全然詳しいことは分かっていないなぁと思いました。
多分この方は給料の良い素敵な会社でこれまで働いてきたのでしょう。
結論から言いますが、この70万円という対価は決して安くはありません。むしろ高額と言ってもいいと思います。
確かにPR業務を全て高い次元で請け負う大企業であれば70万円という金額は安いかもしれません。しかし、某PR会社もそうですが、大半のPR業務を請け負う会社は決して大きくはないと思います。
仮にこれがフリーランスへの業務委託であった場合、1/5の金額でも全然おかしくはありません。
実際に私の会社で同じ業務を請け負った場合でも、半分程度の価格で全て制作可能です。
上記理由から、70万円(税込)という請け負い金額は決して安くはないということを念を押しておきます。
2、斎藤知事とPR会社間で契約書を交わしていない
次に挙げられる問題が、斎藤知事とPR会社間で契約書が交わされていないという点です。これに対してもAさんは「契約書を交わさないのはあり得ない」「自分を守る上でも契約書は絶対に交わすべき」「契約書を見せないのは何か意図があるのでは?」といったニュアンスのことを言っていました。結論から言いますと、これも間違っています。
確かに自分を守る上でも契約書は交わした方が良いですし、契約書があるに越したことはありません。しかし様々な理由があって契約書を交わさない(交わせない)場合も多々あることを理解する必要があります。
いくつか理由を挙げますと、
金額が低く契約書を交わすほどでもない
契約相手との信頼性がしっかり築けている
あえて契約書を交わさない
などです。
何か問題があってもすぐに対応できる業務内容であれば金額は低く設定されますが、すぐに対応できるが故に契約書は不要だと判断されれば契約書は交わさない場合があります。
また、契約相手と何回も仕事をしていたり、プライベートで仲が良かったりして信頼関係がしっかり築けている場合も契約書を交わさないことがあります。
その他、こういったデザイン系の業務は途中で何度も変更があったりして金額が決めづらいことがあるといった理由から契約書を交わさない場合もあります。もちろんそういった点を織り込んだ契約書を作成するのが最もよいですが、マンパワーが不足しがちな小規模事業者、中小企業ではそこまで手が回らないことがあることも分かっておかなければなりません。
つまり、契約書を交わしていないという斎藤知事側の話は本当だと思いますし、実際に契約書が交わされていなかったとしてもおかしくはありません。
まとめ
斎藤知事が今後どうなるかは分かりませんが、色々なニュース番組で指摘されているような「この業務内容で70万円という金額は安い」「契約書が交わされていないなんてあり得ない」といった内容は必ずしも正しいとは限らないことを知っておきましょう。
こういった内容は全て大企業ベースで話しており、今回のPR会社のような小規模事業者、中小企業に対して適応できない点がかなり多いです。
当たり前ですが大企業と中小企業では請け負う価格帯も違えば業務内容も全く異なります。
今回の斎藤知事のニュースではしっかりとPR会社の業態や規模を考えた議論をする必要があります。
情報番組ではそれを踏まえて斎藤知事には違法性があるのかの議論を進めてほしいですね。
今後、このnoteではこういった時事ネタも発信していきますので、ぜひフォローしてこれからの投稿もチェックしてみてください(^^)