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自然科学系ノーベル賞はどう選ばれる?

みなさん、
「最近なんか新しい情報に触れる機会が減ったような気がする…」そんな悩みを持っていませんか??

クリエイターズマガジンはそんな時代に、みなさんの生活圏とは違った情報を得る機会を作りたいと考えています。
特に創作においては、そういう体験が新しいアイディアを生むきっかけになったりもしますよね!!

ということで、Twitterフォロワー3.8万人のサイエンスライター&Vtuberの彩恵りりさんに記事をお願いしました!!

今回のテーマはノーベル賞について!!

10月はノーベル賞の季節ですので…。


皆さんの創作の手伝いになれば幸いです

皆さんこんにちは!サイエンスライターの彩恵りりだよ!今回は、自然科学系ノーベル賞はどう選ばれる?を解説するよ!毎年スゴいスゴいと言われるノーベル賞だけど、では実際のところ何がどうスゴいのか、というのは中々ピンとこない人も多いんじゃないかな。今回はそういう、知ってるようで知らないことについて解説していくね!

なお、私はサイエンスライターだから、今回は冒頭を除き、自然科学系のノーベル賞について解説していくね。

ノーベル賞誕生の由来

ノーベル賞の名前は、ダイナマイトの発明家として知られているアルフレッド・ノーベルに因んでいるよ。彼は弟のエミール・ノーベルが化学工場の爆発事故で死亡した後、衝撃による不安定さを克服した爆薬であるダイナマイトを開発したよ。他の爆薬の開発や製造と併せて巨万の富を築いたよ。ところが、ノーベルが裕福であることに批判もあったよ。父親のイマヌエル・ノーベルも兵器開発で財を成した人物であることもそうだけど、何より爆薬技術が鉱山などの平和利用だけでなく、兵器にも使われていたこと、ノーベルはその威力が戦争の抑止力にもなると考えたことから、兵器に使われることに別に反対していなかったからだよ。そして1888年、兄のルードヴィ・ノーベルが死去した際、ある新聞がアルフレッドと間違え『死の商人、死す』という見出しを付けたよ。

誤報ではあったものの、ノーベルは自身の死亡記事にショックを受け、後世に自分がどう記憶されるかを考えるようになったよ。そしてノーベルは1896年に死去するけど、その1年前の1895年に遺言を遺したよ。その遺言には、「自分の財産から基金を設立し、その利子から毎年、特定の分野で人類のために貢献した人々に分配せよ」と書かれていたよ。この遺言に基づきノーベル財団が設立され、1901年より生理学医学賞、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞の5つが設立され、毎年1つの賞につき3人までが選ばれるようになったよ (平和賞のみ1つの団体を1人と数えても良いとする) 。

ノーベル賞の言う人類への貢献とは?

さて、ノーベル賞がとても受賞の難しい賞であることが、ノーベル賞がすごいと言われる理由だけど、何が一番難しいのかと言えば「特定の分野で人類のために貢献した」という受賞の要件だよ。何をもって “人類のために貢献した” というのもかなり難しいけど、自然科学系のものに限って簡単に言えば「当時は大発見・大発明であり、現在では当たり前となったもの」という感じかな。例えばヴィルヘルム・レントゲン (1901年物理学賞) が発見したX線は当時の大発見であり、今はレントゲン撮影を始めとして、様々な物質の構造解析や宇宙の観測にも登場する当たり前のものだよ。フリッツ・ハーバー (1918年化学賞) が発明したアンモニア製造法であるハーバー・ボッシュ法は、効率的な肥料生産法から “水と石炭と空気からパンを作る方法” と称されるほどの大発明であり、これが無ければ現在の半分以下の人類しか食料生産を担えないとすら言われているよ!

ただ、発表当時に大発見とか大発明とか騒がれていたものが、後世までその評価を維持しているかどうかは誰も分からないよ。何らかの誤りや、場合によっては捏造すらあるから、発表直後のセンセーショナルさは心眼を曇らせるよ。逆に、当時は見向きもされなかったものが、後の研究者によって物凄く化けるものもあったりするよ。なので、ノーベル賞の言う人類への貢献という評価にかけられるには、通常は何年も、場合によっては何十年もかかったりするよ。だから、具体的な応用がまだまだ先であるiPS細胞の開発をした山中伸弥 (2012年医学生理学賞) の受賞ケースは極めて例外的で、だからこそ受賞に一番驚いたのは生物学界隈だったんだよ。

最も厳しいノーベル賞受賞要件は生きていること!?

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