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夏の着物たち

6月に入り、さほど暑くはないものの、もうあわせの着物は着ないので、単衣ひとえの着物と浴衣に入れ替え、襦袢や小物類も夏仕様にするべく、色々と手を加えています。
例えば補正は、より涼しく補正するために通常のタオルをお風呂用のボディタオルに変更したり、長襦袢は二部式にして替え袖は絽や薄手の生地のもの等、洗濯機でジャブジャブ洗える素材に変える、っていう感じです。

昨年、着物生活をスタートして

だいぶ慣れた着付けも、着物生活をしばらく休んでいたらコツを忘れまして、復習しながら再度練習しているっていうこのタイミングで、母から新たに夏用の着物を譲り受けましてね。

昨年もらった着物は、秋・冬・春に着る "袷"

今回は、夏素材の "単衣"と" 浴衣"。

しつけがついたままっていうのも、もちろんありまして

兎にも角にも、全てにおいて樟脳しょうのうのニオイがヤバいくらい染み付いてしまっています。

食品は「冷蔵庫にさえ入れておけばいつまでも保存が効く」と信じている母のことです、着物も「桐箪笥きりたんすにさえ入れておけば問題ない」と考えるんでしょう、虫干しをしないまま入れっぱなし状態で保管していたようです。
「たとう紙 (着物などを包むための紙) に入れてたから」と、桐と和紙のダブル保管をしているから安心安全大丈夫、っていう考えが植え付けられているんです。

カビが原因なのか?樟脳の影響なのか?もったいないことに白地の着物には茶色いシミが出来てしまっていました。

これ ↓ なんて、1回も着てないらしいですからね。

これらは素材が綿のため洗えますけど、この手のシミは取れませんから、部屋着として着ることになりそうです。

たとう紙は、湿気を除去してカビを防ぐという役割がありますが、この吸湿性は長くても2年で失われるといわれています。
何十年も同じものに包んでいるんですからこうなって当たり前ですね、残念ですけど。
桐箪笥についても、桐は防虫効果をもたらすタンニンを多く含んでいるものの、それは蒸散していくものなので永久に防虫効果を持つものではない、ということですし。
そもそも、母が所有している桐箪笥は祖母が使っていたもので、100年近い年月が経ってますから、タンニンなんてもう微塵も残っていないんじゃないかと思います。
『桐の箪笥は100年使える』とはいえ、ワタシがこれを譲り受けたら、その100年は確実に越えますからね。
101年から使えないってわけじゃないですけど、"買い換え" のタイミングもさっぱりわかりませんし、このまま使え続けられるのかは非常に微妙です。

とりあえず、樟脳の強烈なニオイを取るために着物ハンガーにかけて陰干ししましたが、そう簡単に取れるレベルではなく、2〜3日干し続けてもまだダメ、といった感じでだいぶ厄介なので、ここは気長に手入れすることにして、夏仕様の替え袖やらを作っていこうと考えています。

暑くなると着る枚数を1枚でも減らしたいので、長襦袢は着ずに肌襦袢に直接 "替え袖" をつけるやり方で着る予定です。
昔の着物は袖の丈が短めなんですけど、今回もらった着物もしかり、短いサイズの薄い生地の替え袖が必要になりますから、自作しないといけないんですね。

少し前に、手縫いでチクチク縫っていたすそよけが完成してお揃いの替え袖に取りかかっていましたが、サイズの合う指貫ゆびぬきがなくてとても縫いづらく、作業が止まっていたんです。
そこで、「ないなら作ってしまおう」と100円ショップでクラフト用の革を買いまして

これを細長く切り、自分の指のサイズに合わせて

縫い止めました。

"くけ縫い" の時に中指にはめて使うので、ピッタリサイズじゃないと具合が悪いんですよ。

せっかくなので、第1関節用の指貫も作りましたよ。

で、手縫いは?というと、とてもやりやすくなりました。

表から見ると、こんな感じ

表側に小さな縫い目が出て、裏側になる方の縫い目は見えない縫い方です。

これで、お揃いの裾よけと替え袖が完成しました。

せっかく作った裾よけ&替え袖ですが、薄い綿とはいえ、夏に着用するには暑いはず。
盛夏となれば、涼しい素材じゃないと厳しいですから、夏向けの生地をいくつか購入したので、これで新たな替え袖等を作る予定です。

クレープ / リネン / 絽

だいぶ慣れてきた "くけ縫い" ですが、これらの生地はとても薄いため、今までとは違う感覚でチクチクすることになりそうですね。


シミが気になった白地の着物は

手縫いしたブルー系の替え袖をつけて着てみたらあまり気にならなくなりましたし、対丈ついたけ (身の丈と同じ長さの布で仕立てていて、おはしょりを作らずに着つける) だったのもあり、とてもスッキリ見える着姿に仕上がり満足です。
かなりしっかりした生地だったのでてっきり着物だと思っていましたが、どうも浴衣だったらしく、母いわく「これはすごく高級な生地。今では手に入らないシロモノだよ」とのこと。

もう、ガッカリ。

「なら、ちゃんと虫干ししないとな」と、自分のせいではないのに、得体の知れない後悔のような感情が腹の中で渦巻きましたけど、まだまだこれから袖を通さないといけないのがたくさん待っているので、ちょっとずつ楽しみたいと思います。









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