リキテックスって何?
だいぶ前に「アクリル絵の具って何?」ってことでガッシュについて書きましたけど、今回はリキテックスを取り上げたいと思います。
で、「リキテックスって何?」って話ですよね。
ワタシがこの画材に初めて出合ったのは今から30年近く前、専門学校(イラストレーション科)でのリアルイラストレーションを描く授業の時で、「人物画を描く」という課題に用いることになった画材でした。
見たことも聞いたこともない絵の具で、描き方なんてもちろんわからないですからそれを教わるわけなんですけど、先生からは「水で薄めて塗り重ねる。徐々に濃度を濃くして描く」っていうものすごくザックリした説明だけで、あとは「実際に描いてみて自分で具合を探る」しかありませんでした。
「もっと水を多く」「そろそろ濃度を濃く」みたいに、先生が個々の作品を見て周りながら口でアドバイスしていく授業だったので、正解がわからないまま「とにかく描く」しかなかったんですね。
リアルイラストというのは「手本とする写真そっくりに描く」というものなので、質感等を近づければ出来上がるわけです。
「絵の具の特性を理解して色味がわかればなんとかなる」という自分なりの答えが出たので、同じ色に仕上げていくことを意識して描き進めたというのを覚えています。
ってことで、ここでは技術(描き方)の話ではなく、リキテックスの特性について説明していきます。
リキテックスはバニーコルアート株式会社が扱う製品のアクリル絵具で、「紙やキャンバス以外にも、布・木材・石・コンクリート等の素材にも描くことができる」というのが特徴の、にじみ・ぼかし表現の他、厚く盛り上げて油絵具のように描くことも可能な、アーティストに人気がある画材です。
その人気の理由は、ラインアップの多さと、30種を超えるメディウムの存在が大きいのだと思いますが、「イマイチわからない」という方に向けて簡単に紹介することにします。
リキテックスにはベストセラーとなっている「レギュラータイプ、ソフトタイプ」をはじめ「ガッシュ」や専門家向けの「リキテックスプライム」があります。その他「マーカー」「スプレー」「 リキッド」など様々なタイプも増えて、幅広い使い方が出来るようになりました。
ワタシの場合は、ごくごく普通の「レギュラータイプ」を使っています。
絵の具のチューブを見ると、こんな感じに情報が印字されていて
ある程度のことはここで確認することができます。
色を塗る際に目安とするのは、明度と彩度です。
明度とは「明るさの度合い」、彩度とは「鮮やかさの度合い」をいいます。
明るさや鮮やかさの度合いがめちゃめちゃだとアンバランスな絵になるので、効果的に使うこと以外は度合いを整えることがポイントになります。
そこで、目安となるのがチューブに書かれている「VALUE(バリュー・明度)」と「CHROMA(クローマ・彩度)」です。
チューブに印刷してある色と色名だけでは実際の色味そのものは分かりませんが、明度と彩度の数値が書いてあることで度合いの予測はつくわけですね。
ただこれは、ある程度リキテックスで色を塗ってからでないとわからないと思いますから、慣れてきたら活用してください。
この他リキテックスでポイントとなるのが透明度で、不透明・半透明・透明の3種が記されています。
この表示を元に、塗り重ねる色を考えたりするわけです。
リキテックスっていうのは写真↓のように、塗り重ねると下の色が出てくる絵具なんですね。
(透明度が不透明でも、水の量によっては下の色が見えます。)
薄く(絵具に混ぜる水の量を少しずつ減らして)塗り重ねながら質感を出していく、というのが(リアル画を描く)ポイントになります。
絵で説明すると、最初はこれくらいで
塗り重ね3〜4度目でこれくらい(目の部分は水の量少なめ)です。
これについても、実際に描いてみないとわからないのですが、「不透明のガッシュとは別物」であるということは間違いありません。
まずはレギュラータイプで感覚を確認してみると良いと思います。(練りのやわらかいソフトタイプでもOKです。)
絵の具に混ぜて使うメディウム類や、いろんなタイプやカラーの地塗り剤などは、とにかくたくさんあるので、組み合わせることで表現の幅が大きく広がるっていうのが他にはないリキテックスで出来ることなんだと思います。
「ツヤ出し、ツヤ消し」とかの簡単なものだけじゃなく、盛り上げて模様みたいに出来たり、漆喰や砂のような質感が出せたり、繊維状の毛羽立った質感まで出せるものもありますから、アーティストにとっては可能性を無限に広げる画材になっているわけです。
リキテックスの商品については、こちらからどうぞ↓
描き方については、また別でお伝えする予定です。